「火事場泥棒」とはよく言ったもので、混乱に乗じて悪事を働く輩はいつの時代にも必ず存在する。昨今はコロナ禍に便乗した悪質な詐欺が世界中で横行しているという。
2020年、迷惑電話対策アプリWhoscallは、詐欺電話および詐欺SMS(詐欺メッセージ)2.8億件を含む、延べ65億件以上の未登録番号からの電話着信とSMSを識別。この膨大なデータをもとにこのほど「世界の詐欺レポート2020」を発表した。
国際詐欺トピック……2020年に世界の詐欺件数は過去最多となった
昨年3月より、コロナウイルスの世界的流行に便乗した詐欺グループの犯行が活発化している。感染対策は国によって異なるが、これに関連する詐欺は世界共通の社会問題となっている。
台湾や韓国の警察とも協力し、国際的な詐欺被害対策に取り組んでいるWhoscallでは、2020年に年間2.8億件以上の詐欺電話と詐欺SMSを阻止した。この数字は、2019年と比較すると190%も増加しており過去最高を更新、そのうちSMSによる詐欺の増加率が8割を占める結果となった。
詐欺SMSのメッセージ内には危険なリンクが挿入されていることが多く、うかつにリンク先にアクセスしてしまうと、偽のSNSや金融機関のサイトに飛ばされ、アカウントIDやパスワードなどの個人情報を入力するように仕向けられる。これはスミッシングという手法で、近年は増加の一途をたどっている。
また、デバイスがトロイの木馬ウイルスに感染させられたり、詐欺の拡散や中継機として悪用されたりするケースもある。詐欺メッセージの内容としては、米国、日本、台湾などでは宅配便を装った不在通知詐欺が最も多く見られ、その他、銀行を装うことでクレジットカードの情報を盗み出す詐欺も急増しており、年末にはタイで深刻な集団的被害をもたらした。
国内詐欺トピック……詐欺電話やSMSの増加率は国内で前年比178%と急増
日本においてもコロナウイルスに関する詐欺が横行した。警察庁によると2020年コロナウイルスに関連した特殊詐欺の認知件数は55件(うち未遂2件を含む)、被害額は1億円と現金をだまし取られる被害が各地で発生した。
スミッシング(フィッシング)被害も年々拡大しており、宅配会社、ECサイト、クレジットカード会社をかたるSMS詐欺が多発した。
「+674(ナウル共和国)」から始まる見慣れない番号からの着信による詐欺や、実在しない国番号からの着信による詐欺など国際電話にまつわる事件も多く起こった。
Whoscallによるとゴールデンウイークや年末年始の大型連休前に詐欺が増える傾向がある。2020年統計では、日本における詐欺電話や迷惑SMSの受信件数の増加率は前年比178%、このうち海外から発信されたものが25%を占めた。
詐欺グループは通信規制が比較的緩い海外に拠点を置き、インターネットを介して発信できるIP電話を利用し、電話番号を偽造しながら詐欺電話をかけるという手口を使っている。
これにより追跡は極めて困難になるが、海外から発信される番号には、着信時に「+」で始まる国番号が表示される。このような着信が有ったときは特に注意が必要だ。
各ランキングから詐欺を分析
Whoscallは未登録番号による着信を識別する技術を駆使して、ユーザーが重要な着信にはしっかりと反応でき、迷惑電話を回避し、詐欺電話の脅威からも解放されることを目指している。
そのため、今年日本のユーザーが同社データベースを使用し番号検索を行った回数を元に、初めて未登録の番号による着信数ランキングを作成した。全く新しい角度から、迷惑電話の動向を探る。
■Whoscall電話番号識別における統計データ
2020年、Whoscall の各ユーザーには平均して653回の未登録番号からの着信があり、Whoscallがその未登録番号を識別した。その内訳は、ビジネス電話615.5回、迷惑電話31.7回、および詐欺電話5.8回だった。
■詐欺電話がかかってくる時間帯
2020年の詐欺電話の統計データを分析すると、休日に比べ、平日の着信が20%も多いことがわかる。これは、詐欺グループが行政機関や銀行、その他の公共機関を装って電話をかけているからではないかと推測される。よって、詐欺電話の多い時間は平日の勤務時間帯と一致する。
■海外詐欺電話の国番号ランキング
詐欺グループは警察の追跡を逃れるため、海外に拠点を置いたり、IP電話を利用して電話番号を偽造したりすることで、海外の番号を使用して日本への詐欺を行っている。
そしてその際、着信側では「+」から始まる番号が表示される。Whoscallは、2020年にかかってきた詐欺電話の中から、最も多く識別された海外からの詐欺電話の番号を公開し、「+」から始まる番号には特に注意するよう呼びかけている。
■SMSの特徴ランキング
2020年以降、危険なリンクが記載されたSMS詐欺の数が急増している。もし誤ってURLをクリックすると、デバイスがウイルスに感染したり、偽サイトに飛ばされ、個人情報を盗み出される可能性がある。Whoscallでは、2020年に送信されたこのようなフィッシング詐欺の中で最も多く使用されたドメイン3つを公開する。
■番号を報告する国ランキング
Whoscallは東アジア最大である16億もの電話番号データベースを保有しており、このデータは主に、公表されている番号(役所、病院、企業など)、各国の警察による情報提供、AIによる検出技術、全世界の8,000万を超えるWhoscallユーザーからの報告(フィードバック)によって構成されている。
その中でも、世界中のユーザーによるフィードバックは、番号識別サービスの品質を向上させるのに非常に役立つ。よってWhoscallは、各国のユーザーからの詐欺電話・迷惑電話の報告件数・報告率を重視しているが、そのトップは日本だった。
出典元:Gogolook株式会社
構成/こじへい