「キリン 一番搾り 糖質ゼロ」や「本麒麟」のヒットなど、ビール類が好調のキリンだが、次の一手としてウイスキーを強化しているらしいという噂を聞きつけた@DIME編集部。キリンが昨年リリースした、「キリンウイスキー 陸」は、今年のヒット商品の候補ともなりそうだ。どんなこだわりがあるのか? おいしさだけでなく、飲み方のポイントまでをマーケティング担当者に取材した。
ウイスキー事業50年のノウハウを結集した「キリンウイスキー 陸」の魅力とは!?
お会いしたのは、国産ウイスキーのマーケティングを担当している、キリンビール マーケティング本部 事業創造部の原田 崇さん。
キリンの国産ウイスキー担当。「キリンウイスキー 陸」の魅力の伝道師、原田 崇さん。
――ビール類が絶好調ですね。そのような状況で、なぜ今、ウイスキー事業に注力しているんですか?
もしかしたら、「キリンビールがウイスキー?珍しい!」と、いうイメージがあるかもしれません。ですが、キリンビールのウイスキー事業の歴史は長いんですよ。1972 年キリン・シーグラム社の設立以来ずっと、ウイスキービジネスをしてきています。
1973 年に操業した「富士御殿場蒸溜所」は、モルトウイスキーとグレーンウイスキーの両方の原酒をつくることができる、世界的にも希な蒸溜所なんです。世界的なウイスキー需要の高まり、販売数の増加に備えて約80億の投資も行い、樽熟成庫の増強と発酵・蒸留設備の新規導入を行ない、将来にわたり高品質なウイスキーを安定して供給できる生産体制を目指します。
――そうなんですね!
そして、実は富士御殿場蒸溜所のグレーンウイスキーは世界で高い評価を得ているんです。WWA※1というウイスキーコンテストで、2016 年、2017 年、2019 年と過去3回に渡り、「富士御殿場蒸溜所 シングルグレーンウイスキー AGED 25 YEARS SMALL BATCH」が“ワールドベスト・グレーンウイスキー”に選ばれています。2020年には「キリン シングルグレーンウイスキー 富士 30年」が同じくWWAで“ワールドベスト・グレーンウイスキー”を獲得。加えて、ISC※2という別の品評会でもジャパニーズウイスキーカテゴリーで最高賞となる“トロフィー”を獲得しました。
※1 WWA(ワールド・ウイスキー・アワード):イギリスのウイスキー専門誌「ウイスキーマガジン」主催の国際的ウイスキーコンテスト。各国のウイスキー専門家による厳正なブラインドテイスティングの審査を経て、ロンドンで最終審査が行われます。「グレーンウイスキー部門」のほか、複数の各部門で1品ずつ、世界最高賞が認定されます。世界のウイスキー業界の関係者が注目しているアワードとされています。
※2 ISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ):イギリスの酒類専門出版社「ドリンクス・インターナショナル」が毎年主催している酒類品評会。ウイスキー部門のほか、ブランデー、テキーラ、ジン、ウォッカなどの部門があり、各部門のカテゴリーから、ダブルゴールド、ゴールド、シルバー、ブロンズなどが選ばれます。ウイスキー部門については、世界のウイスキー蒸溜所のブレンダーやディスティラーが審査員となり、ブラインドテイスティングによって審査するため、権威ある賞とされています。
――そんな中、「キリンウイスキー 陸」を開発されたきっかけは?
2009年のハイボールブームに始まり、ウイスキーの人気・消費が拡大しているのはご存知の通りです。しかし、ウイスキー人気は高まる一方、原酒不足もあり、新しい提案が出来ていない状況でした。また、まだウイスキーを飲んだことがない、
当社が実施したウイスキーに期待する価値についての意識調査では、
・癒されたい
・自由で、解放された気分を味わいたい
・上質な時間を楽しみたい
といったニーズが高いこともわかってきました。
また、お客様は「もっと自分に合うウイスキーがあると思う!」と感じていることも分かりました。そういった、お客様の望みをかなえるべく誕生したのが、「キリンウイスキー 陸」(以下「陸」)なんです。
コンセプトは、「自分に合う愉しみ方が発見できる、うまさ濃い口のウイスキー。」です。世界的にも高い評価を頂いている富士御殿場蒸溜所のグレーンウイスキーをベースに、ウイスキー本来のおいしさを求めて、世界から良質な原酒を厳選。香味豊かな複数のウイスキーをブレンドすることによる香味豊かな、やわらかな味わいに仕上げてあります。また、樽出しに近い状態にこだわり、アルコール度数50度で商品にしています。アルコール度数とうまみには実は大きな関係性があるんです。
富士御殿場蒸溜所のグレーンウイスキーを主体にしていることで、やわらかな味わいで、様々な飲み方に対応できるおいしさを実現し、ハイボールはもちろんのこと、水割りやロック、ホットなど、どんな飲み方をしても「おいしい!」と感じられ、ウイスキーの魅力を実感していただけます。
――それは飲んでみたくなりますね! シンプルなパッケージも印象的です。
白バックに黒文字、シンプルを極めたデザインにしました。これまでのウイスキーにありがちな赤や金、黒といった重厚で近寄りがたいイメージをあえて使わず、シンプルさを追求しました。ラベル側面には、英文でブレンダーおすすめのおいしい飲み方や愉しみの注意事項を記載するなど、遊び心のあるデザインにしています。例えば、正面にあるバーコードもデザインの一部ですが、実際に使えるものなんですよ(笑)。
――よく見ると、サイドに「ブレンダーのおすすめは、ハイボールだけじゃありません」や、「ひとりじゃなく、みんなで楽しんで」といった「RIKU WARNING」が明記されているんですね! 面白い!
デザインに溶け込むように洒落の効いたパッケージ。
生活空間に自然に溶け込むデザインなので、部屋に置いておいても気にならない。また、店頭で人の目を気にせず手に取りやすいといった声もあります。
―― 一般的な700mlのボトルに比べて、少し小ぶりな500mlというサイズ感も、手を伸ばしやすいですね。
いよいよ試飲! まずは、ハイボールで! ホットも美味!?
原田さんに「飲んでみましょう!」と言われ、早速、試飲することとなった。まずは、ハイボールで! 割合は、ラベルにある「ハンサムブレンダー」おすすめの「陸:ソーダ=1:5」だ。続いてホットは「陸:お湯(60℃)=1:3」で。
ハイボールとお湯割り。どちらも香りも味わいもしっかり濃い口でおいしい~。
――ハイボール、予想以上においしいですね! 味わいもしっかり濃い口に感じます。食事とも合いそうだし、ゆっくりと味わいながら飲みたい。ホットも香りがよくて、リラックスできますね。こんなに美味しいのに、1本1000円台(!)って信じられない(笑)。
よかった! 樽由来の味わいと甘みが 感じられ、後味のキレがいい。ハイボールや水割りなら1:10くらいの割合でもしっかり楽しんでいただけます。
――それは……お得過ぎます! おうち時間が長くなったこともあり、家で夫婦やカップルで楽しんでいる人たちも増えているようですね。
そうなんです。総務省統計局の家計調査データ(2020年)によると、ウイスキーへの支出金額は増加しており、家でウイスキーが登場するシーンが増えているのかと思います。
昨年10月にSNSキャンペーン「みんなー!自由にウイスキーしようよ!あなたの飲み方投稿キャンペーン」を実施したところ予想を超える投稿数でした。
飲み方の1位は、やはりハイボール。ですが、単にソーダで割るのではなくフレーバーソーダで割るなどアレンジも多かったです。夫婦で違う飲み方をしたり、日によって飲み方を変えたりと、「陸」がコミュニケーションツールのひとつとなっていて嬉しかったですね。私たちも色々新しい愉しみ方を発見できました。投稿がきっかけで試してみたミルクティー割りもおすすめです。飲んでみますか?
――市販のミルクティーで割るだけなので手軽ですね。あ、甘くておいしい! 後から、ウイスキーのいい香りが追いかけてくる感じ。スイーツがわりにも楽しめそう!
そうなんですよ。ウイスキーの愉しみ方に決まりはないんです。100人いたら100の愉しみ方がある。その魅力をこれからも伝えていきたいですね。
さて今夜は、どうアレンジして飲もうかな?
原田さんにお話を聞き、試飲して、ラベルにもあるが、「陸」のPURE&MELLOW……樽そのままの味わいと複層的な香りに魅了された。今日は仕事終わりに、まずは薄めのハイボールでスタートし、濃い目のお湯割りで締めようかな。こうした、味わい方の自由さも気に入っている。
「ウイスキーの愉しみ方を拡げる=ウイスキーの新大陸」から名付けたというウイスキー「陸」。早速、味わって、自分好みの新たな大陸を見つける旅に、出かけてみてはいかがだろう。
キリン ウイスキー陸
容量:500ml
アルコール度数:50%
商品情報
https://www.kirin.co.jp/products/whisky_brandy/riku/
取材・文/はまだふくこ 撮影/深山 徳幸