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覚えておきたい「漸く」と「暫く」の違いと正しい読み方

2024.08.29

『漸く』の正しい読み方は『ようやく』であり、簡単ではないことがやっと実現した様子を意味します。正しく読めて意味も分かるようになれば、文章の内容も理解しやすくなるでしょう。間違いやすい『暫く』との違いや、『漸く』を使った例文を紹介します。

「漸く」の正しい読み方とは?

読めそうで読めない漢字の代表例として、『漸く』が挙げられます。『暫く』と間違えられやすい漢字でもあり、どちらも読み方さえ分かれば意味が理解できるでしょう。

意外と知らない「漸く」の読み方と言葉の語源

「ようやく」と読む

『漸く』は、正しくは『ようやく』と読みます。予想以上に時間がかかる様子や苦労・努力が実った様子を表す、『やっと・かろうじて』を意味する言葉です。

あるアンケート調査では、正しく読めた人が3割程度にしか達していません。間違った読み方で覚えていたり、どのように読むのか分からなかったりしがちな漢字として知られています。

『ようやく』の意味を知らない人は、ほとんどいないでしょう。読み方さえ知っていれば、文章で使われているときにも意味を理解しながら読み進められます。

「暫く」と間違いやすい?

『漸く』は、見た目が似ている『暫く』と間違えやすい漢字です。『暫く』は『しばらく』と読みます。

しばらくは『少しの間』を意味し、「暫くお待ちください」「暫く留守にします」のように使う言葉です。漸くと同様に時間の経過に関連した言葉ではありますが、漸くとは全く意味が違います。

それぞれの漢字を含む『漸次』と『暫時』も、読み方を間違えやすい熟語としてよく取り上げられるでしょう。『漸次』は『ぜんじ』、『暫時』は『ざんじ』が正しい読み方になります。

「漸く」の意味は?

『漸く』には、ニュアンスが微妙に異なるいくつかの意味があります。意味を知るのと同時に、言い換え可能な類語も押さえておきましょう。

やっと実現した・かろうじて実現した

『漸く』は、『やっと・かろうじて』実現した様子を意味する言葉です。長年の苦労や努力が結実したときや、簡単ではないことがぎりぎりのところで実ったときに使用します。

また、『徐々に・ゆっくりと』の意味合いで用いられることも覚えておきましょう。少しずつ進行・変化する様子を表すときに、『漸く』と表現できます。

『漸』は、水を意味する『さんずい』と、刀で切ることを指す『斬』から構成されている漢字です。水を斬る行為が容易ではないことから、少しずつ時間が経過する意味に転じたとされています。

言い換えができる「漸く」の類語

かろうじて実現した様子を意味する『漸く』を言い換える言葉には、『やっと』『なんとか』『どうにか』が挙げられます。中でも漢字で『漸と』と書く『やっと』は、同じ漢字を使う『漸く』と関連性の高い言葉です。

長い時間をかけたり苦労・努力が実ったりしたときには、言い換えできる類語として『ついに』が適しています。最終的に実現した様子を意味するケースでは、『とうとう』と言い換えが可能です。

ゆっくりと経過するときに使う『漸く』の言い換えとしては、『徐々に』『次第に』が向いているでしょう。このように、『漸く』にはニュアンスが異なる多くの類語があります。

「漸く」の使い方と例文

『漸く』の意味は、大きく三つに分けられます。それぞれの使い方と例文を確認しましょう。

苦労や努力が実ったとき

長い時間や年月をかけたり、苦労や努力が実ったりしたときには、以下の例文のように『漸く』が使えます。『ついに』『とうとう』と言い換えられることがポイントです。

  • A社と3年前から共同で進めてきたプロジェクトが漸く完了した
  • 寝る間も惜しんで勉強してきた甲斐があり、3回目にして漸く司法試験に合格した
  • 企画段階からさまざまなトラブルに見舞われたが、漸く本格稼働させられることをうれしく思う

かろうじて実現したとき

容易には達成できないことをかろうじて成し遂げたときにも、『漸く』を使うことが可能です。『やっと』『なんとか』『どうにか』に置き換えられることを、下記の例文で確認しましょう。

  • 今回の選挙で当落線上にいると言われていた彼は、わずか数票差で漸く当選した
  • 残業が思いのほか長引き、急いで走って漸く終電に間に合った

1例目の使い方は『3度目の立候補で漸く当選した』といったケースと比べ、『漸く』のニュアンスが違うことに注意が必要です。意味を的確に伝えたい場合は、前後の文脈でサポートしなければなりません。

経過がゆっくりなとき

物事が少しずつ進行・変化しているときには、以下の例文のように『漸く』を使えます。『徐々に』『次第に』に置き換えられるパターンです。

  • 漸く5合目までやってきたが、頂上まではまだまだ長い道のりである
  • 今シーズンは早い時期から真夏日や猛暑日が多かったが、漸く暑さが和らいできた

ただし、これらの使い方では、『やっと』や『ついに』などの意味に捉えることも可能です。経過がゆっくりであることを強調したい場合は、『徐々に』『段々と』といった、より明確に意味を伝えられる言葉を使う方が良いでしょう。

構成/編集部

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