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「聞く」と「聴く」の違いとは?覚えておきたい言葉の正しい使い分け方

2024.06.26

『聞く』と『聴く』の違いをしっかりと説明できる人はあまり多くはいないのではないでしょうか。両者には明確な違いがあり、きちんと意味を理解することで適切に使い分けることが可能です。意味や違い、それ以外の漢字やそれぞれの熟語を紹介します。

それぞれ「きく」の意味を知ろう

その違いが分かりにくい『聞く』『聴く』だけではなく、『きく』と読む漢字は他にも種類があります。主な漢字の具体的な意味を、例文を通して理解してみましょう。

3つの「きく」の意味と使い分け

「聞く」

耳に入ってくる音や声を『無意識にきく』場合は、『聞く』を使います。話を情報としてきく場合も同様です。以下の例文で確認しましょう。

  • 毎晩のように隣の部屋から聞こえる人の声で眠れない
  • ビジネスマンとしての彼に関する評判は、いたるところで聞いている
  • 今回の旅先では、見ることや聞くことの全てが新鮮で刺激的だった

人の話をきくケースでも、漢字の使い分けに注意する必要があります。話の内容を積極的に理解しようとしていない場合なら、選ぶべき漢字は『聞く』です。

「聴く」

音や声を『注意深くきく』場合に使う漢字は『聴く』です。耳に入ってくる音の情報を積極的に理解しようとしているケースで使用します。例文は以下のとおりです。

  • 議員にとっては、有権者の声を聴くことが最も大事な仕事である
  • いつもはなんとなく授業を聞いているが、今日はテスト範囲が解説されるため、授業をしっかり聴こうと思う
  • コミュニケーションスキルを高めるためには、話を聴く力を身に付けることが重要だ

他人との会話でも、相手の話をしっかりと理解するためにきくケースでは『聴く』を使います。正しい使い分けを覚えることが大事です。

「訊く」

「きく」と読む漢字としては、他に『訊く』も挙げられます。『回答を求めて尋ねる』ことを意味する言葉です。以下に例文を紹介します。

  • 自分がしたことは本当に正しかったのか、胸に手を当てて訊いてみなさい
  • 遊園地で迷子になった子どもについて、見かけた人はいないか訊いて回った
  • 今回の講義内容で分からない部分があったため、後で講師に詳しく訊きに行こうと思っている

『訊く』は常用外漢字であるため、公用文では使用されません。訊くの使用がふさわしい場面でも、質問するという意味が含まれている『聞く』を使うのが無難です。

「聞く」と「聴く」の違い

「きく」の中でも区別しにくい漢字が『聞く』と『聴く』です。両方の違いをきちんと理解することで、シーンに応じた使い分けができるようになるでしょう。

意識しているかどうか

音や声が自然に耳へ入る場合は『聞く』を使います。一方、音や声の出所にまで意識を向け、注意深く耳を傾けるケースで使う漢字が『聴く』です。

『聞き入る』『聞き流す』『聞き耳を立てる』など複合語として使う場合は、一般的に『聞く』を使います。熱心に聞く様子を表す言葉でも、『聴く』を選ばないように気を付けましょう。

コミュニケーションスキルを向上させたい場合は、自分の話をするばかりではなく、まずは相手の話を聞くことが大事です。必要に応じて質問し、話を『聞く』のではなく『聴く』ことを意識すれば、相互理解がより深まるでしょう。

音楽にはどちらを使う?

『音楽をきく』と表現したい場合には、状況に合わせて『聞く』と『聴く』を使い分ける必要があります。

自然に音楽がきこえてくるときの漢字は『聞く』、積極的に耳を傾けるなら『聴く』です。いくつかの例文を紹介します。

  • 近所の喫茶店で心地良いBGMを聞きながら、毎朝コーヒーを飲むのが日課だ
  • 街中を歩いていたら、若いころに好きだった音楽が聞こえてきた
  • クラシックの名曲を聴くためにコンサートへ行く予定だ

「聞」と「聴」の違いを熟語でチェック

『聞』と『聴』が使われている熟語を比べれば、それぞれの違いがより分かりやすくなるでしょう。代表的な熟語と意味を紹介します。

熟語を比べると違いが分かりやすい

「聞」を使った熟語

『聞』を使用した主な熟語は、『伝聞』『見聞』『百聞』などです。いずれも『自然に耳に入ってくる』の意味で使われています。

伝聞は、他人から話を伝え聞くことです。見聞は、見たり聞いたりして知識や経験を蓄えるという意味で、『見聞を広げる』などと使われます。

何回も聞くことを意味する百聞は、目で確かめた方が早いことを意味する『百聞は一見に如かず』で知られる熟語です。

『聞』を使用した熟語には、『新聞』や『醜聞』もあります。これらは、情報や噂としてきくという意味で『聞』を使っている熟語です。

「聴」を使った熟語

耳を傾けて注意深くきく意味の『聴』は、数多くの熟語で使用されている漢字です。主な例としては、『傾聴』『聴覚』『視聴率』などが挙げられます。

傾聴とは、相手の話を熱心に聴くことです。『傾聴に値する話』『傾聴すべき意見』のように使われます。聴覚は音を聴く感覚を意味する言葉です。テレビがその時間に見られていた割合を視聴率といい、ラジオの場合は聴取率といいます。

耳を傾ける意味が『聞き入れる・許す』という意味まで派生した熟語が、『聴許』『聴納』です。謹んで聴くことを意味する、聴くの謙譲語『拝聴』も覚えておきましょう。

構成/編集部

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