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ビジネスシーンでよく聞く「VOC」とは何の略称?

2021.03.01

ネットやSNSを利用した情報発信が活発になり、企業と顧客の関わり方もさまざまな変化を迎えている。企業には今まで以上に「VOC」、つまり「顧客の声」を適切に分析し、サービスや製品の改善につなげることが求められる時代だと言えるかもしれない。

また、「VOC」にはもう一つ、地球の環境問題と関わりのある「揮発性有機化合物」という意味もある。本記事では、私たちの生活とも関わりの深い、VOCが持つ2つの意味について解説していく。

ビジネス用語のVOCとは何を表している?

まず、ビジネス用語として使われるVOCについて解説する。この場合のVOCは「Voice of Customer」の略語で、冒頭でも述べたように「顧客の声」と訳される。

ビジネスにおけるVOCは「顧客の声」のこと

VOCは、特にマーケティング分野でよく使われる言葉。「顧客の声」とは、言葉通り顧客から企業に対して向けられた意見や要望を総称したもので、競合他社と比較した自社商品やサービスの評価が得られる点や、顧客が今何を求めているのかによって市場の傾向を掴むという点において重要な要素だ。

VOCを適切に分析し、今後のビジネスに活かしていくことが企業の成長にもつながるため、簡単にVOCを収集できるツールなどにも近年注目が集まっている。

VOCの収集方法にはどんなものがある?

一企業が行っているVOCの収集方法は、顧客アンケート、コールセンターへの電話、SNSの3つに大別される。それぞれの特徴をみてみよう。

顧客アンケート

商品購入時やサービス利用後に収集されるアンケート。無記名であることも多いため、厳しい意見も書きやすく、顧客の本音が表れやすいとも言われている。

低コストで効率的にVOCを収集できるメリットがあることから、近年ではWeb上のアンケートを採用する企業が増えている。ただし、質問の設定や行う時期によっては有意義な回答を得られないこともあるため注意が必要。

コールセンター

顧客の生の声を収集できるコールセンター。アンケート同様、ユーザー側は匿名性が高いためネガティブな意見を言いやすい。さらに、アンケートとは異なりオペレーターが顧客の意見に対して即座に対応するため、より具体的なVOCの収集が可能。

コールセンターに寄せられる顧客の声の中でも、特に「クレーム」は重要視される。商品やサービスに不満を持った顧客の95%は意見を言うことなく離反すると言われているからだ。そのため、ユーザーとしての切実な要望や不満が含まれた貴重なクレームに対して、どのような姿勢で対応するかが企業として成長する鍵とも言える。

SNSの活用

市場調査の一環として、InstagramやTwitter、FacebookなどのSNSで顧客からの反応を集める手法も利用される。企業に直接言うほどではない、気軽に行った投稿や口コミも幅広く収集できる点が特徴だ。

VOCをビジネスで活用するためには?

こうして収集したVOCを活用するためには、膨大な量のデータを管理分析し、部署間で共有できるシステムの構築が不可欠。また、むやみにVOCを収集するのではなく、具体的な目標(商品の認知度向上、商品に対する満足度調査など)を設定してから分析を行うことや、「こういった商品が今求められているのではないか?」という仮説の裏付けとして利用するなど、目的を明確化した上で活用することが望ましい。

環境や健康に影響を及ぼすVOCとは?

VOCは、地球環境や私たちの健康に関係のある「揮発性有機化合物」を表す言葉としても使われている。これは光化学スモッグの原因の一つで、2004年大気汚染防止法が改正された際に、規制対象として新たに組み込まれるようになった物質のことだ。

VOC(揮発性有機化合物)とはどんな物質?

VOCは揮発性有機化合物を表す英語「Volatile Organic Compounds」の頭文字を取ったもの。揮発性有機化合物とは、常温で大気中に揮発し気体状となる物質で、接着剤や塗料など身近なものにも多く含まれる。

大気汚染防止法の改正で法による規制が開始され、「トルエン」「キシレン」「エチルベンゼン」といった特に注意すべき13物質について室内濃度の基準となる値を定めたり、対象物質を多く排出する施設に規制を設け、定められた測定方法による定期的な測定が求められるようになった。ダイソンなどの家庭用空気清浄機にも部屋のVOC濃度を測定できるものがあり、身近な有害物質としての認識が高まっている。

VOCが環境や健康に与える影響とは

VOCが規制対象として注目されるようになったきっかけは、1990年代頃から増加したシックハウス症候群だ。住宅の断熱性や気密性が上がるにつれて家の中に化学物質が充満しやすくなり、新築やリフォームしたての家で生活した人が頭痛や目まい、吐き気といった症状を訴えることが相次ぎ、発がん性も懸念されている。

また、健康被害を引き起こす大気汚染物質、光化学オキシダントの原因としても知られ、濃度が上がると空に”もや”がかかったような状態になり、いわゆる「光化学スモッグ」を引き起こしてしまう。こうしたことから、日本だけでなく海外でも規制の対象となっており、さまざまな対策が講じられている。大気汚染が深刻な社会問題となっている中国でも、2020年12月よりVOCの規制が始まった。

VOC対策には事業者や個人の取り組みも重要

住宅だけではなく、自動車や家電、化学品の合成や植物油の抽出といったさまざまな製造過程で利用され、現代の生活には欠かせないものになっているVOC。法による規制だけではなく「VOCの排出量が少ない原材料に切り替える」「VOCの放散が抑えられるような加工を行う」「作業の効率化によって無駄なVOCの排出を抑える」など、事業者が自主的に排出量削減に取り組むことが必要不可欠だ。

また、消費者である私たちもVOCに対する理解や関心を深めていく必要がある。自治体によってはHPでVOC調査結果を公表していることがある。それらを確認したり、VOCを含む可能性のある家庭用品(塗料やカー用品、防虫剤など)をより環境に配慮したものに変更したり、一人ひとりの行動によってVOCを少しずつ削減していくことが大切だ。

文/oki

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