ビジネスシーンで、取引先やお客様に改まった内容の手紙やメールを出すときは、時候の挨拶から始めて本題へとつなげます。3月の時候の挨拶とは、どのようなものでしょうか。同じ3月の中でも、出す時期によって挨拶はさまざまな表現があります。
3月の時候の挨拶とは?
3月がどのような季節なのかを考えると、ふさわしい時候の挨拶が見えてきます。どのように書き出せばよいのか、さっそく見ていきましょう。
春を感じさせる内容で
3月は寒かった冬が終わり、ようやく暖かくなり始める時期です。気候の変化とともに、多くの草花が芽吹き始める時期でもあります。3月の時候の挨拶は『春の訪れ』を感じさせるような一文がふさわしいでしょう。
人によっては、卒業や人事異動など、新しい門出の季節だと感じる人もいるかもしれません。挨拶状の内容に合わせ、華やかな雰囲気になる言葉を選びましょう。
企業同士のやり取りや目上の人への挨拶状は漢語調の挨拶、親しい友人などには口語調の挨拶を書くことが一般的です。例えば、漢語調では『〇〇の候』、口語調では『梅が香る季節になりました』のように書きます。
相手の地域に合わせることも大切
地域によっては、まだ寒かったり雪が多く残っていたりする場合があります。逆に暖かい地域では、かなり気温が上がっていることもあるでしょう。
挨拶状を出すときは、相手の地域の気候も考慮すると、ちぐはぐな印象になってしまうことを防げます。3月上旬に寒い地域へ挨拶状を出すなら、2月下旬の時候の挨拶でもマッチすることが多いです。
3月の時候の挨拶の例文
挨拶状を書き慣れていないと、書き出しに悩むことは多いものです。同じ3月でも上旬・中旬・下旬で、ふさわしい挨拶が異なるので混乱しやすいでしょう。時期別に、時候の挨拶の例文を紹介します。
寒さが残る「3月上旬」
3月上旬は、まだ完全に春が来たとは言い難く、寒さを感じる場合が多いでしょう。
そのような場合にぴったりな時候の挨拶が『浅春の候』です。浅春は『せんしゅん』と読み、春でもまだ寒さが残る時期を示す言葉で、3月上旬頃の本格的に春めいていない場合に使用します。
『浅春の候 皆様におかれましては益々ご健勝のことと存じます』のように、書き出しましょう。
ほかにも『梅花の候』や『向春の候』なども3月上旬に使用できます。梅花の候は梅の花が咲く頃を意味し、向春の候は春の足音が聞こえて来る頃を意味する言葉です。
時候の挨拶に続く言葉は、相手の健康や繁栄を祝う内容になります。ただし、お悔やみの場合は、時候の挨拶は省いて本題に入ることがマナーです。
暖かな風が吹く「3月中旬」
3月中旬頃は『春風の候』を使用するとよいでしょう。春風の候は、吹く風に春らしい暖かさが感じられるようになったことを意味します。
『春風の候 貴社におかれましてはより一層ご清祥のことと存じます』と、書き始めるとよいでしょう。
3月中旬であってもまだ寒さが続いているような場合は、『浅春の候』を使用して構いません。同様に、例年よりも暖かい場合『春暖の候』を使用するなど、実際の気候を見て使い分けることがおすすめです。
一気に春めく「3月下旬」
3月21日から4月3日頃までは『春分の候』を使用できます。春分は『二十四節気』の一つなので、次の『清明』に移る前までに使用することがポイントです。4月4日以降に使用すると間違いとなるので注意しましょう。
春の暖かさを意味する『春暖の候』も、おすすめの言葉です。ポカポカした陽気が続くような場合は、3月中旬頃に使用しても問題ありません。
『春暖の候 貴殿におかれましてはいよいよご活躍の由お喜び申し上げます』のように書き出します。春暖の候は、4月に入っても使用できる言葉なので覚えておきましょう。
「3月全般」に使える言葉も
『早春の候』は春の最初の方を意味する言葉で、2月24日の立春を過ぎたら、3月全般に使用してよいことになっています。相手が住んでいる地域の気候がよく分からない場合に、使用すると便利です。
ビジネス文書やメールなどで、多く見かける表現なので、聞いたことがあるという人は多いでしょう。『早春の候 貴社益々ご繁栄のことと存じます』のように書き出します。
併せて使いたい結びの言葉
挨拶状は、本題を書き終えたら結びの言葉で締めます。3月に出す挨拶状に使いたい、結びの言葉を見ていきましょう。
ご自愛ください
自分を愛すると書いて『自愛』という字の通り、自分を大切にすることや健康に気を付けるという意味があります。
目上の人にも同じ立場の人にも使用でき、組み合わせる言葉を変えれば季節に左右されることもないので、ぜひ使い方を覚えておきましょう。
単体で使用するのではなく、体調を気遣う言葉とセットで使用します。ただし、病気であることが分かっている場合には、使用しないことがマナーです。
- まだまだ朝夕の寒さが続きますがくれぐれもご自愛ください
- 季節柄体調を崩さぬようご自愛のほどお祈りいたします
ご発展をお祈りいたします
結びには相手の健康だけでなく、繁栄や発展を祈る言葉を入れてもよいでしょう。ビジネスの挨拶状やメールでは、結びに相手の発展を祈願する言葉を入れて締めることが一般的です。
ただし、書き出しに使用した言葉とかぶらないようにすることがマナーとなります。内容が重複しやすいので、チェック漏れがないようにしましょう。
- 春光を受けますます変わらぬご発展をお祈りいたします
- 貴社のより一層のご発展を心よりお祈り申し上げます
構成/編集部