野菜ジュースの栄養価は絞り方で変わる
健康志向の高い人に人気の自家製野菜ジュース。ただ、作り方によって野菜ジュースの栄養価が変わることをご存知だろうか?
ミキサーやジューサーなどを使った異なる3通りの作り方で比較した結果、野菜ジュースの抗酸化物質や植物性化合物の濃度に差が認められたというデータが報告された。
米テキサスA&M大学のBhimanagouda Patil氏らの研究によるもので、「ACS Food Science & Technology」に12月18日掲載された。
自家製野菜ジュース作りのための調理器具にはいくつかあり、それぞれ特徴がある
ミキサーは野菜を回転ブレードで粉砕し、作られたジュースは食物繊維が豊富で濃厚。それに対して高速遠心分離式ジューサーは、野菜を素早く粉砕して食物繊維を分離する器具で、薄めのジュースになる。
一方、低速ジューサーは回転が低速であるために、これらの方法の中で最も熱産生が少ないことが特徴。ジュースを作る時に発生する熱は、生野菜が持っている植物性化合物などの含有量を変えてしまう可能性がある。
Patil氏らはこれら3種類の調理器具を用いて、ケールやビート、ニンジン、カリフラワーなど19種類の野菜ジュースを作り、栄養価を分析した。
その結果、どの調理器具を使っても全ての栄養素をまんべんなく多く含む野菜ジュースを作ることはできず、総合的に最も優れている調理法は特定されなかった。
全体として、抗酸化物質とフェノール類の含有量は、ミキサーよりもジューサーで作られた野菜ジュースの方が優れており、特に低速ジューサーで作られたジュースはそれらのレベルが高かった。
ただし用いる野菜による違いもあり、例えばケールは低速ジューサーを使うと明らかにフェノール類の含有量が多かったが、ビートやニンジンはそれほどでもなかった。
また、ミキサーが必ずしも劣っているというわけではなく、α-アミラーゼ阻害作用のある化合物は、ミキサーで作ったジュースの方が含有量が多かった。α-アミラーゼの働きを阻害することは、食後の血糖値の急な上昇の抑制につながる。
この研究に関与していない、米国の栄養と食事のアカデミーのSonya Angelone氏は、「研究で検討されたいずれの方法にも一長一短があるようだ」とした上で、「野菜の摂取方法としてはジュースにするよりも、そのまま食べる方が良い」と勧めている。
その方が、腸の善玉菌を増やす食物繊維をより多く摂取できるのだという。もしジュースにするのなら、ミキサーで作ったジュースの方が食物繊維が比較的多く残っているとのことだ。
なお、「野菜ジュースの代わりに果物ジュースを飲む人もいるが、果物ジュースはほとんどが糖分のため、それは勧められない」と付け加えている。
Patil氏もAngelone氏と同様に、ジュースではなく野菜を丸ごと食べることを強く勧めている。ただし、野菜の味や食感が苦手という人もいる。そのような人でも、ジュースにすると取りやすくなることがある。
「野菜そのままではなく、ジュースにすることで摂取量を増やせるのであれば、砂糖入りの飲み物を飲むよりも体に良いことは間違いない」と同氏は述べている。
なお、この研究は米国農務省の資金提供により行われた。(HealthDay News 2021年2月1日)
Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.
(参考情報)
Abstract/Full Text
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsfoodscitech.0c00013
構成/DIME編集部