老け顔の原因は顔の脂肪量の減少
老け顔の原因は、皮膚のたるみが原因であるだけではなく、顔の脂肪の減少も関係していることが、「Plastic and Reconstructive Surgery」2月号に掲載された論文で明らかにされた。米ウィスコンシン医科大学のAaron Morgan氏らによるこの報告は、美容整形外科医が患者の外見をより自然なものにする上で役立つ可能性があるという。
従来、顔の老化の原因はたるみであると考えられてきた。たるみとは、加齢に伴い、顔面軟部組織が重力に屈して下がってくる状態のことをいう。また、顔の中央部で皮膚や脂肪を支えている靭帯の劣化により軟部組織の下垂が起こるという説もある。
しかし、最近の研究では、顔の老化の真の原因は、皮膚表面近くにある脂肪(皮下脂肪)と深部にある脂肪の喪失であることが指摘されている。
Morgan氏らは今回、30〜65歳の男女19人(女性14人、男性5人)を対象に、顔面中央部の皮下脂肪量と深部の脂肪量、およびバッカルファット(頬の内側の深部にある脂肪)の量を、10年以上の期間をあけてCTスキャンで2回撮影して調べた。参加者の平均年齢は、1回目のスキャン時点で45.9歳、2回目のスキャン時で57.3歳だった。
その結果、顔面中央部の平均脂肪総量は、1回目のCTスキャン時は46.47cc、2回目のCTスキャン時は40.81ccであり、1回目から2回目の検査の間に平均で12.1%(5.66cc)減少したことが明らかになった。
脂肪量の減少の程度は部位により異なっており、皮下脂肪量は平均11.3%の減少であったのに対して、深部の脂肪量では平均18.4%、バッカルファットでは平均7%の減少であった。
研究グループは、この研究により得た知見は、「脂肪減少説」を裏付けるエビデンスであり、顔の若返りを求めるに至る患者の悩みを理解する上で役立つ可能性があるとみている。
Morgan氏は、「特に、顔面深部の脂肪量が減少すると、その上を覆う脂肪を支えることができなくなる。ほうれい線が深くなるのはこのためだ。また、皮下脂肪が減少すると、頬がこけて見える」と具体的に説明している。
さらに、脂肪量の減少により、老け顔のもととなる顎の周りのたるみや目の周りのくぼみを説明することもできるという。この点についてMorgan氏は、「顔面上部はもともと脂肪が少ないため、脂肪の減少がより目立つ。それに対して、バッカルファットは減少量が比較的少ない。このため、顔面中央分の他の部分が変化すると、頬のあたりが張っているように見える」と説明している。
Morgan氏は、「美容整形外科医はこの知見を踏まえ、患者が若い頃の顔面の脂肪分布の再現を目指すことで、患者をより自然な方法で若返らせることができるのではないだろうか。この研究により、加齢に伴う皮膚のたるみだけでなく、脂肪量の減少も顔の老化の原因であることが証明された。それゆえ、顔を若返らせるには、外科的処置を施すだけでなく、脂肪の補充も行うべきだ」と述べている。(HealthDay News 2021年2月1日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://journals.lww.com/plasreconsurg/Fulltext/2021/02000/Facial_Aging__A_Quantitative_Analysis_of_Midface.10.aspx
Press Release
https://www.plasticsurgery.org/news/press-releases/how-fat-loss-accelerates-facial-aging
構成/DIME編集部