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ダイアナ妃も愛した画家・吉田博の回顧展が話題、世界を魅了する木版画の見どころは?

2021.02.16

吉田博という洋画家の名前を聞いたことがあるだろうか。むしろ海外の方が実は著名で、あのマッカーサー元帥、精神科医フロイト、そしてダイアナ妃が同氏の作品を愛したことで知られている。

西洋の写実的な表現を取り入れ、世界を魅了した木版画が一堂に会する「没後70年 吉田博展」が、2021年1月26日より東京都美術館にて開幕した。

世界で広く名を知られた吉田博とはどんな人物なのか

はじめに、吉田博(1876~1950)について説明したい。

福岡県久留米市に生まれた吉田は図画の教師・吉田嘉三郎に画才を見込まれ、14歳で吉田家の養子に入り、絵の英才教育を受ける。17歳で義父を亡くし、7人の家族を養うために死に物狂いで絵を描く。

絵画を学ぶためにフランスへ留学する者が多い中、吉田は対抗してアメリカで勝負することを決意した。23歳で初めて渡米するとたちまち評価され、33枚の水彩画作品全てを完売させた。アメリカンドリームを実現させた次に、吉田は世界中を旅した。各国の展覧会で数々の油彩、水彩画で評価された後、49歳の頃から木版画に本格的に取り組み始める。

新たな挑戦に取り組んだ理由は、当時のアメリカでは日本の木版画が人気で、粗悪な浮世絵まで高値で取り引きされており、「自分ならもっと良い木版画を作れる」と反骨心が湧き出たからだ。洋画家の経験を活かしながら独自の技法で木版画を確立した。吉田博は常に世界での自分の立ち位置を意識して、世界に対抗しうるオリジナルな「絵」を模索し続けた画家である。

本展覧会で絶対に見ておきたい作品

左《欧州シリーズ スフィンクス 夜》、右《欧州シリーズ スフィンクス》大正14(1925)年 木版、紙

展覧会は木版画を中心に、11章に分けながら吉田の人生と作品を紹介する。

浮世絵では平均10回ほど摺って制作するが、吉田の作品は平均30数回、多いもので90回以上も摺る。洋画で培った技術を基に、うつろう光や大気、繊細な色彩のグラデーションまでも木版画で見事に表現している。絶対に見ておきたい作品をご紹介したい。

《日本アルプス十二題 劔山の朝》大正15(1926)年 木版、紙

幼い頃から登山を愛し「山岳画家」とも呼ばれた吉田の傑作。こちらは本展覧会のポスターや図録に使用されており、野営の朝の特別な一瞬を描いている。彫師と摺師を雇いつつも、自らも彫りや摺りの研究を丹念に行った。

ダイアナ妃の執務室に吉田の作品が掛けられている。1986年にダイアナ妃が初来日した際に、左の《猿澤池》を自ら購入したという。右の《光る海》の入手先は分かっていないが、吉田の作品を愛していたという事実はとても嬉しいエピソードではないだろうか。

《瀬戸内海集 光る海》大正15(1926)年 木版、紙

陽の傾く頃を描き、丸ノミの跡で海面のきらめきを巧みに表している。ダイアナ妃が愛しただけでなく、天皇陛下の著書『水運史から世界の水へ』の表紙にも使用されている。

海の濃淡、空と海の境界線など、美しいグラデーションは秀逸で、足を止めてゆっくりと鑑賞したい。

《瀬戸内海集 帆船 朝》大正15(1926)年 木版、紙

朝、霧、夕、夜など時間のヴァリエーションを堪能できる6作品。同じ版木を使って色を替える「別摺」と呼ばれる方法で、刻々と変化する大気や光を緻密に表している。

摺り方など、木版画について分からないことがあっても心配ない。展覧会では木版画の制作工程や吉田について紹介する映像が随時放送されているので、そこで理解を深めることができる。

《冨士拾景 朝日》大正15(1926)年 木版、紙

長辺が70cmを超えており、木版画としては最大級の作品。本作の隣に版木も展示されており、作品が完成するまでの背景を知ることができるのも見どころだ。ほかにも山を描いた作品は多く、山頂から、山腹から、麓からと登山家ならではの視点を楽しめる。

《雲井櫻》大正15(1926)年 木版、紙

奈良県吉野山の名樹を描いた特大版。伝統的な木版画は湿らせた和紙に色を摺り重ねる。紙は湿ると伸び、乾くと縮む。それらの計算が特大版では難しく、版木と紙の収縮の違いから木と花がずれてしまい、摺師が二人がかりで仕上げて大変苦労したという。桜の花びらやおぼろげな月の光は、まるで油彩画と見間違えてしまいそうな精巧さだ。

《東京拾二題 亀井戸》昭和2(1927)年 木版、紙

亀戸天神は今も藤の名所として人気だ。こちらは何と88度も摺り重ねた渾身の作品。日本各地の風景と何気ない人々の生活も多く描いており、祖先の暮らしを垣間見ることができるのも、また楽しい瞬間である。

《印度と東南アジア タジマハルの朝霧 第五》昭和7年(1932)年 木版、紙

昭和5年には、四度目の外遊であるインドへ旅立った。これまで訪れたアメリカやヨーロッパとも異なる景色と出会い、作品にはより幻想的な表現が見られるようになった。気温や空気感まで伝わってくるようで、まるで自分も旅行している気分になるだろう。

ほかにもアメリカ、ヨーロッパ、シンガポール、中国、韓国など、生涯をかけて世界の風景を描写してきた作品の数々に圧倒される。己の表現を探求し続けてきた軌跡を堪能して欲しい。

《欧州シリーズ ヴェニスの運河》大正14(1925)年 木版、紙

ビジネスシーンにも使える!魅力的なオリジナルグッズをご紹介!

吉田博作品の魅力を最大限に引き出した、本展覧会オリジナルグッズを3点ご紹介したい。

1.トートバッグ 880円(税込)

主催者のイチオシはA4サイズも入る程よい大きさのトートバッグ。

「《劔山の朝》をワンポイントに抑え、色も使いやすい黒とグレーの展開としました。『グレー』はチャコールグレーのニュアンスで、スーツ姿にもとてもぴったりです。黒はシックな雰囲気なので、どんな場面や服装でも使いやすい王道です。」

グレーと黒の二色展開で(上記写真はグレー)、ビジネスシーンやちょっとしたお買い物にも使える仕上がりとなっている。

2.マスクケース2種 各440円(税込)

新品マスク用と使用中マスク用との使い分けや、プレゼント用としてもおすすめ。チケットケースとしても使える。上記のトートバッグ同様、ビジネスシーンでも使いやすい。

3.塗り絵セット(4図柄入り)880円(税込)

巷で人気が出ている「大人の塗り絵」。在宅時間も長いことから、新しい趣味として塗り絵に挑戦してみるのはいかがだろうか。

コンパクトな売り場ながらも、ポストカードやマグネット、エコの時代に1枚あると活躍する風呂敷なども充実。展覧会の記念に、ぜひ立ち寄って欲しい。

本展覧会は会期中に一部作品の入れ替えがあるが、本記事でご紹介した作品は全て通期で鑑賞できる。

「絵の鬼」と呼ばれた吉田は若くして成功を収めたが、そこで満足することはなかった。

常に世界に視点を置いて挑戦し続ける姿、50歳間近になって新たな技術が必要な木版画という異なるジャンルへ果敢に挑み、自分の可能性をもう一度開花させたところなどは、現代を生きる我々にも大きな刺激を与えてくれる。

光や影の繊細な描写は、印象派や西洋画が好きな人にもおすすめ。吉田の作品を見て癒されたり、前向きな気持ちになったり、新しいことに挑戦したいと思ったり、見た人の心にきっと何かを残してくれるはずだ。緊急事態宣言が解除されたら、ぜひ足を運んで欲しい。

【展覧会詳細】
「没後70年 吉田博展」(東京都美術館企画展示室)
・会期:2021年1月26日(火)~3月28日(日)
※会期中、一部展示替えがあります。
・開室時間:9時30分~17時30分(入室は閉室の30分前まで)
・休室日:月曜日
・観覧料:一般1600円、大学生・専門学校生1300円、高校生800円、65歳以上1000円、中学生以下は無料 
・問い合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル)
・チケット購入場所:展覧会公式オンラインチケット、イープラス、ファミリーマート(コンビニでの購入は別途手数料)、東京都美術館
※その他詳しいチケット情報はこちら
https://yoshida-exhn.jp/ticket/

【展覧会公式サイト】
https://yoshida-exhn.jp

(東京都美術館における新型コロナウイルス感染症予防対策とご来館される皆様へのお願い)
https://www.tobikan.jp/information/20200629_1.html

取材・文/Mami
https://mamiwine.themedia.jp/

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