「おうちごはん」のトレンドに伴い、人気上昇しているのがYouTubeのレシピ動画。
いまや、飲食店のシェフから主婦まで、多くの人が動画の作り手としてチャンネルを開設し、YouTubeの動画ジャンルの一大勢力圏を形成している。
静岡県清水町の「ラーメン ろたす」の店主、髙梨樹一(しげかず)さんもそのひとり。大学中退後、地元ラーメン店で修業を重ね、30歳で独立開業。現在、38歳ながら熟練の技で多くのお客さんをうならせる達人だ。
YouTubeで注目、レシピ集も
髙梨さんがYouTubeを始めたのは1年ほど前。店の宣伝になるかと、様々なラーメンの作り方を配信し始めた。本格派のラーメンを自宅でも作れると評判が広まり、チャンネル登録者数も13万人を超えるほどに。
再生数200万回超の「家で簡単にできる【中華そば】の作り方」
この成功を受け、今年1月には約50のレシピをまとめた書籍『極上のおうちラーメン – 家史上最高の一杯の作り方 –』(ワニブックス)を上梓した。
「プロの味を自宅で作る」と聞くと身構えてしまうが、小気味よく展開する動画と同じく、本書も簡潔な説明に徹してわかりやすい。その中から若干を紹介しよう。
「家史上最速のしょうゆラーメン」
本書に掲載のラーメンのほとんどは、スープ、たれ、香味油などを仕込むところから始める必要がある。対して「家史上最速のしょうゆラーメン」は、市販の手に入りやすい調味料だけを掛け合わせて作れる入門的な一品。
【材料(1人分)】
・中華麺:1玉
[スープ]
・濃口しょうゆ:30ml
・鶏ガラスープの素:2g
・ホタテ顆粒ダシ:1g
・和風ダシの素:1g
・ラード:5g
・中華ダシ(ペースト):2g
・水:300ml
[具材]
・チャーシュー:2枚
・味玉:1/2個
・メンマ:20g
・青ネギ(小口切り):5g
【作り方】
1 丼にスープの材料を入れて軽く混ぜる。
2 分量の水を沸かして1にそそぐ。
3 ラードと中華ダシを混ぜて溶かす。
4 たっぷりのお湯でゆでた中華麺を3の丼に入れる。
5 具材をトッピングして完成。
次は、「竹岡式ラーメン」。千葉県富津市竹岡で発祥したご当地ラーメンで、しょうゆダレの黒いスープとふんだんに使ったチャーシューが特徴。こちらは、まず「万能しょうゆダレ」を作る必要がある。
「万能しょうゆダレ」
【材料(作りやすい分量)】
・濃口しょうゆ:600ml
・水:300ml
・みりん:75ml
・料理酒:25ml
・砂糖:12g
・長ねぎの青い部分:1本分
・ニンニク:1片
・ショウガ(薄切り):5g
【作り方】
1 鍋にすべての材料を入れ、強火にかけながらかき混ぜる。
2 ふつふつと沸騰したら完成。
「万能しょうゆダレ」は、特定のラーメンだけでなく、「味玉やチャーシュー、炒め物、チャーハン」と、いろいろ使えて便利。冷蔵庫で約2か月保存できる(味玉やチャーシューに使った場合は冷蔵庫で3日ほど保存可)。
「竹岡式ラーメン」
【材料(1人分)】
・乾麺:1個
・万能しょうゆダレ:70ml
・うま味調味料:1g
・ラード:10g
・麺のゆで汁:180ml
・お湯:150ml
[具材]
・タマネギ:70g
・チャーシュー:5枚
・メンマ:15g
・のり:1枚
【作り方】
1 スープ用、麺ゆで用の湯をそれぞれ別の鍋で沸かす。
2 麺ゆで用の湯が沸いたら乾麺を、袋の表示時間どおりにゆでる。
3 タマネギをみじん切りにする。
4 丼に万能しょうゆダレ、ラード、うま味調味料を入れ、麺のゆで汁と別の鍋で沸かしたスープ用の湯を注ぎ、よく混ぜる。
5 湯ぎりした2の麺を入れ、具材をトッピングしたら完成。
「竹岡式ラーメン」の元祖の店「梅之家」で使用している「都一」の乾麺を使うとより本格的になるそうだ。
髙梨さんは、「ラーメンは食べた人を幸せにする食べ物だと思っています」と語り、今日もおいしいラーメン作りに余念がない。何かと世知辛い今、おうちごはんの定番として髙梨さんのラーメンを取り入れてはいかがだろう? きっと、家族の笑顔が増えるはずである。
髙梨樹一さん プロフィール
静岡県清水町の「ラーメンろたす」のオーナー兼現場担当。経営と並行して、店の日常から、仕込み、さまざまなラーメンレシピを公開するYouTubeチャンネルで人気沸騰。チャンネル登録者数は現役ラーメン店トップクラスを誇る。公式Twitter: @ge_c_ramen
文/鈴木拓也(フリーライター兼ボードゲーム制作者)