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「ODA」とは何の略?覚えておきたい歴史と具体的な活動内容

2021.02.09

先日、韓国の首相が「2030年までにODAの支援額を現在の2倍以上に増やす」と表明したニュースがあった。「政府開発援助」ODAは、日本でもしばしばニュースで取り上げられ話題になるが、具体的にどんな国にどのような支援を行っているのかまでを理解している人はそう多くないかもしれない。そこで本記事では、世界や日本におけるODAの歴史や具体的な支援実績など、基礎知識を解説する。

ODAとは何か?その歴史と概要を解説!

まず、ODAとは一体どのようなものなのか、目的や起源について解説する。ちなみに、ODAは、WHOやIAEAのように国際機関自体の名称ではなく、あくまでも「援助そのもの」を指した言葉だ。

ODAとは政府開発援助の略

現在、世界に196ある国や地域のうち十分な飲み水や食料を得られなかったり、教育や医療を満足に受けられなかったりする人々がいるのは146か国、地域にも及ぶという。

そうした国の経済発展や福祉の向上を目的として、政府や政府関連機関が行う国際的な協力活動を「開発協力」と呼ぶ。簡単に言うと、この開発協力を行うための公的資金が政府開発援助、通称「ODA(Official Development Assistance)」だ。この場合の「援助」には金銭以外にも技術や医療、食料などが含まれる。

世界におけるODAの歴史

現在、ODAを行っている国は「DAC(開発援助委員会)」に属している。これはOECD(経済開発機構)の内部委員会の中の一つで、援助の額や内容についての話し合いを定期的に行っている、いわばODAの中心組織だ。こうした機関が誕生する以前は、各国のNGOによってODAが行っていた。

DACの前身である「DAG(開発援助グループ)」は1960年に設立した。当時、第二次世界大戦後のアメリカの援助によって欧州諸国は飛躍的な復興を果たし、先進国と言われるまでの成長を遂げていたが、世界に目を向けると地球の北側に先進的な工業地域が集中し、南側に発展途上国が多くなる「南北問題」が浮き彫りとなっていた。

この南北の経済格差を改善すべく、米、英、仏、西独、伊、ベルギー、ポルトガル、カナダを加盟国として誕生したのがDAGだ。日本も発足後まもなく招待され加盟を果たし、1961年にOECDが発足したことに伴いDACと改編された。

DACの発足以来、長い間ODAの実績ランキングはアメリカがトップだったが、冷戦終結後の1989年に日本がアメリカを抜き、2000年までの10年間は世界最大の援助国であった。その後、日本がODAの予算を削減したこともあり、それ以降は世界での順位は3位から5位の間を推移している。

ODAではどのような支援を行っている?

ODAで行う支援には二つの方法がある。直接対象国を支援する「二国間援助」と、国際機関に資金を拠出する「多国間援助」だ。この二つの違いについて解説しよう。

二国間援助

先進国が直接、途上国に支援を行うこと。「贈与」と「政府貸付」の二種類がある。贈与には、途上国が発展するために必要なインフラ整備や資源の調達に必要な資金を無償で提供し、返金を求めない「無償資金協力」や、研修員の受入れや専門家の派遣、最新機材の提供を行う「技術協力」が含まれる。

一方、政府貸付は、わかりやすく言うと途上国への資金を低金利で貸し出すこと。これを「円借款」と言い、提供ではなく貸し付けであるため、より適切な目的での利用を促すことができる。また、いずれ返済が見込めるという点で国の財政にも負担の少ない支援方法だ。日本では、JICAがこうした支援を一元的に行う実施機関となっている。

多国間援助

国際連合世界食糧計画(WFP)や国際連合児童基金(UNICEF)などの国際機関に資金を提供し、途上国への援助を行う方法。特にアジア開発銀行(ADB)への日本の出資率が高く、アメリカと並んで首位。

日本におけるODAとは?

2018年、日本は40年間続けてきた中国へのODAの打ち切りを発表した。今や世界第2位の経済大国となった中国だが、総額3兆円を超える日本からの援助は、中国の近代化に大きく貢献したと言える。ここからは、日本におけるODAの歴史について見てみよう。

日本は元々「被援助国」だった

敗戦直後の日本は被援助国として、さまざまな国や国際機関からODAを受けた。アメリカ政府の資金贈与や世界銀行の融資、その他多くの物資や技術提供により復興し、1954年の「コロンボ・プラン(アジア・太平洋諸国の経済開発機構)」加盟から他国への援助を開始する。初期の援助は戦後処理としての賠償支払いと並行して行われたが、その後は徐々に戦後処理と離れた支援も開始された。

日本が行っているODAの特徴

日本のODAは、アジアへの支援が圧倒的に多く、道路や橋、鉄道といったインフラ整備の占める部分が大きい特徴がある。また、贈与ではなく円借款の比率も高い傾向にあるが、これは元々被援助国であった日本が、援助国へ転換していく中で財源が不足していたことや、返済の義務を課すことで「自助努力」を促し、途上国の精神的な自立を助ける側面もある。

ODAが日本にもたらすメリットと問題点とは?

ODAによって途上国の発展を援助することは、日本にとってもメリットがある。支援国との関係強化や、日本企業の海外進出促進、マーケット拡大に加え、国際的な信頼や存在感を高められるのも重要な点だ。

2011年の東日本大震災後、日本には先進国のみならず、開発途上国も含めた多くの国から支援を受けた。これは、今まで日本が行ってきたODAの国際的な評価とも言われている。このことは、日本国内で否定的だったODAに対する評価の見直しにもつながったようだ。

一方、問題点としては、支援先の事業や資材の調達先を日本企業に限定し政治家との癒着が懸念される「タイド支援」や、ODA委託費の不正流用問題などが挙げられる。また、インフラの整備を行っても、支援国にメンテナンスをする技術や人材がなく、使用できなくなる例も指摘されている。

文/oki

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