日本でも人気の高い、弁護士ドラマ。そこにさらに昼ドラ的愛憎劇をふんだんに盛り込んだ、刺激的な英国産ドラマはいかがだろうか。
Huluでシーズン1~2が独占配信中の『ザ・スプリット 離婚弁護士』は、シーズン全6話と短かめだが、各エピソードがかなり濃厚で見応え抜群。
製作総指揮・脚本は、映画『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』の脚本家でエミー賞受賞歴もあるアビ・モーガン。
主演は『MI-5 英国機密諜報部』のニコラ・ウォーカー。
あらすじ
世界的にも離婚率の高い都市ロンドンで家族法専門弁護士として働くハンナのもとには、結婚生活にトラブルを抱える人々がひっきりなしにやってくる。
そしてハンナ自身とその家族もまた、結婚や家族についての悩みが絶えないのだった。
ハンナの家族は、弁護士の夫ネイサンと3人の子ども。ハンナの実母ルースと妹ニーナも、同じく弁護士。
もうひとりの妹ローズは弁護士の道には進まず、ベビーシッターのアルバイトを経て結婚、妊活を頑張っている。実父はハンナたちが幼い頃に蒸発し、行方不明。
シーズン1では、ある事件からネイサンの不倫が発覚。大々的に報道されたため、ハンナは深く傷ついた。
シーズン2では、ハンナとネイサンが再構築を試みるが、わだかまりは残ったまま。一方ハンナもまた、仕事仲間の弁護士クリスティとの禁断の恋に溺れていくのだった。
プライベートで深刻なトラブルを抱えながらも、ハンナは離婚弁護士として依頼人のために奔走する。
見どころ
本作に登場する離婚弁護士たちは、他人の相談にのっている場合じゃないのでは?と思うほど、皆しっちゃかめっちゃかな私生活を送っている。
しかし仕事中はあくまでも弁護士としてのプライドをかけて、依頼人を全身全霊で守ろうとするのだ。
シーズン1では夫の不倫が報道されてしまい、強い屈辱を味わったハンナ。しかしそれをきっかけに大物女性芸能人からの依頼が舞い込むと、涙ぐむ彼女に「大丈夫、私はあの(不倫スキャンダルの被害者)ハンナよ」と力強く語りかける。
自身の辛い経験すら仕事の糧にする、転んでもただでは起きない弁護士。それがハンナだ。
このように依頼人に対しては冷静で頼もしいのだが、不倫相手クリスティの前では“ひとりの女”としての無防備な顔を見せる。
クリスティとは仕事中に職場でキスするわ痴話喧嘩の末号泣するわで、もうやりたい放題。テーマが結婚・離婚であるだけに、法律的な内容だけでなく、メロドラマ的なシーンも満載だ。
つい最近まで自分も夫の不倫に激怒していたくせに、何やってんだか……と呆れながらも、続きが気になって仕方ない!
論理的思考が得意な弁護士のハンナでも、自身の恋愛や結婚となると、理屈では割りきれないのかもしれない……。
『ザ・スプリット 離婚弁護士』シーズン1~2
Huluで独占配信中
© Sister Pictures 2019
文/吉野潤子