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説明できる?金融政策を行う日本銀行とアメリカのFRBとの違い

2021.01.31PR

銀行の銀行といわれる日本銀行(以下日銀という)は、金利誘導、国債買い入れなどにより金融政策を行います。

一方、米国でも日本銀行と同じ役割を担うFRBという機関があります。日本銀行とは、その仕組みが異なりますが、世界に影響を与える重要な金融政策を行っており日銀だけでなくFRBの金融政策も知っておく必要があります。

日銀の役割

日銀は、銀行の資金を預かったり、銀行に資金を貸し出ししたり、国債の買い入れをして資金を市中に流したりすることで、物価と金融システムの安定化を図っています。

日銀は物価の安定化として物価上昇率2%を目標としています。

日銀は物の価格が毎年2%程度上がることを目標にしているということです。

日銀が参考とする物価は総務省毎月公表される消費者物価のコア指数(コアCPI)で、この指数が2%になるように金融政策を行っています。ちなみにこの指数は、生鮮食品が天候などの影響を受けるため除かれています。

(参考)総務省 統計局

上記のように、日本の物価上昇率は中々2%に達していません。

そもそもなぜ物価は2%上昇した方が良いのか?2%を超えるような高い物価上昇が起きれば物の価格がどんどん上がり生活に支障を来してしまい、普通の人は嫌だと感じるでしょう。

一方で、2%程度の物価上昇が起きると、物やサービスの価格が上がることにより、その上昇分が企業の利益になり労働者の賃金が上がり、賃金が上がった労働者の購買意欲が上がりさらに物価が上がるという好循環を生みます。

また、物価が下がるのは物の価格が下がってうれしいことかもしれませんが、デフレ(物価下落)は海外の通貨に較べて円の価値が上がることになるため、デフレが続くと他の国がインフレになったときに円高となり、輸出企業の多い日本には痛手となってしまいます。

さらに、デフレは円の価値が上がっていく現象が起こるため、現金で持っておこうと考えお金を使いません。インフレとなれば現金のままもっていくと価値が目減りしておくため、消費、または投資という流れが起きます。

なぜ、2%という数字なのかというと、これは各国中央銀行が掲げる目標で、グルーバルスタンダードとなっているからです。

今の日本のように物価が下落するデフレは、物の価格が安くなり個人的にはうれしいものとなるかもしれませんが、それは企業の利益を圧迫し果ては給料が減ってしまいます。

ただし、日本の場合デフレで賃金が上がらないというだけではないと考えられます。

平成に入ってバブル崩壊後、企業はリストラ、非正規雇用を増やし、平成14年には完全失業率が5.5%に達しました。一方で、企業の業績はバブル崩壊後からリーマンショック前まで、リーマンショック後からアベノミクスまで伸びてきています。しかし、企業は内部留保を増やしており、それに対して賃金は上がっていません。

統計局ホームページ/平成31年/統計トピックスNo.119 統計が語る平成のあゆみ/3.経済 デフレの時代から景気回復へ (stat.go.jp)

賃金を上げることは政府の役割となりますが、日銀はそれを金融面から支えます。

日銀は、物価上昇率2%を達成するために、国債の買取りを行い国債自体は日銀に、買い取ったときの資金は市中に出回ります。また、国債の買い入れにより長期金利をゼロ%水準にしています。これは、国債は売れ残ると金利が上がっていきますが、買われると金利が下がっていくからです。

そして、銀行が日本銀行に預ける金利を-0.1%にして、銀行は低金利で貸し出しを増やしていくということになります。

さらに、優良企業向が発行できるCP、または社債の買い入れを行い、企業は低金利で資金を借りることが可能になります。これは、新型コロナウィルス感染症拡大により一時CP市場が混乱した際には、日銀が積極的に買い入れすることで金融システム安定化の役割も果たしました。

また、株式市場でETF、REITの買い入れを行い株式市場のてこ入れによる物価上昇を目指します。

一方で、長期金利低下により預金金利と貸出金利の利ざやで稼ぐ銀行の収益が低下してしまっています。また、低金利による資金余剰、日銀によるETF等の資産買い入れにより、株式市場が実態を伴わない上昇をしているのではないかという副作用も出ています。

アメリカのFRBとの違い

アメリカは連邦制であり、それぞれの連邦が国のような大きな力を持つため、それぞれの連邦に中央銀行のような地区連邦準備銀行というのがあります。さらにそれを統括しているが、FRB(連邦準備制度理事会)です。FRBの金融政策は、FOMC(連邦公開市場委員会)によって決められ、FRB理事7人とニューヨーク連銀総裁、ニューヨーク以外の連銀総裁4人の計12人で多数決によって決められます。日銀にもこのような会議があり日銀では、金融政策決定会合といわれています。

FOMCの結果も重要ですが、このなかで話し合われた議事録が決定後しばらく後に公開され、その中でのそれぞれ理事の意見、多数決の人数配分などで次回の政策決定会合がどうなるか予想されるため、大きな注目を集めます。

以前日銀では金融政策に使われる政策金利は日銀が銀行に貸し出す金利「公定歩合」によって操作され、民間銀行もこれに連動して貸し出ししていました。

しかし、民間銀行の金利自由化に伴い公定歩合によっては操作できなくなり、民間銀行が短期の資金を融通するための無担保コール翌日物の金利を操作することにより金融政策を行うようになりました。

さらに、デフレが改善されないことから2013年から金利だけでなく量的緩和政策として国債買い入れにより市中のお金の流通を増やすことを行っており、政策金利というよりも市中にどれだけ資金が出回っているかというマネタリーベースを年間60~70兆円増加目標として操作しています。

アメリカは比較的物価上昇率がゼロになることはなく、金利がゼロになることはほとんどありませんでしたが、サブプライムローン問題顕在化により一度ゼロ金利が導入されました。

FRBは、米国民間銀行が連邦中央銀行に預ける準備預金の金利であるFF金利(フェデラル・ファンドレート)を目標金利に誘導することで金融政策を行うため、FF金利が政策金利といえます。2018年末まで金利が少し上がってきていましたが、新型コロナウィルス感染症拡大により再びゼロ金利となり、日銀のように量的緩和として米国債の買い入れを行っています。

ただ、日本と違うのはまだ物価が上昇しやすいということです。日本はずっとデフレで金利を上げることができず現在マイナス金利となっていますが、米国は直近長期金利、CPIが上昇しているなど物価上昇の兆しがあります。

日本と同じく金融緩和による副作用として、資金余剰により株式市場が急上昇してしまっているところがあります。

物価上昇が2%を達成すれば現在のゼロ金利、量的緩和という金融政策の変更を迫られ、低金利による米国株式市場には冷や水となるかもしれません。

日本が2%の物価上昇目標から遠いのとは大きな違いといえます。

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文/大堀貴子
フリーライターとしてマネージャンルの記事を得意とする。おおほりFP事務所代表、CFP認定者、第Ⅰ種証券外務員。

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