今年も花粉シーズンが近づいている。2021年は2月上旬に九州や四国、東海、関東の一部から飛散が始まり、東京のスギ花粉の飛散ピークは3月上旬から下旬の見込み。飛散量は九州から関東で前シーズンより多いと予想されている。
花粉症の人はもちろんのこと、この時期になると肌にかゆみや荒れなどが起きる場合も、花粉対策は飛散前から万全にしておきたい。
そこで今回は、花粉肌荒れについての新知見や対策アイテムを紹介する。
肌荒れは花粉症でなくとも起きうることが判明
資生堂はこのほど、花粉症でなくても、花粉により肌荒れが起こるメカニズムを発見したことを発表した。
資生堂は、春先の花粉の時期になると肌荒れすると感じている女性が多いことに着目して研究を行っていたが、スギ花粉の中でもアレルギー性の高いタンパク「Cryj1」が皮ふ表皮細胞に直接作用し、トロンビンという酵素を活性化することでバリア機能を低下させることを発見した。つまり肌荒れはアレルギーの有無にかかわらず、直接花粉が触れることでも起き得ることが分かった。
この研究結果を受け、皮膚科医の日比野佐和子先生は「花粉症の有無に関わらず、花粉肌荒れ予防策を講ずるべき」と述べている。
花粉肌荒れの予防策とは?
では、花粉肌荒れは具体的にどのように予防できるのだろうか? 日比野先生によると、予防のポイントは、「花粉を肌に付着させないこと」と「皮膚のバリア機能を低下させないこと」の2つにあるという。
花粉をなるべく肌に付着させないと同時に、花粉が付着しても対抗できるよう、肌のバリア機能を整えておくことが重要だという。
1.花粉をなるべく肌に付着させない
花粉を肌に付着させないためには、コスメやマスクなど覆うもので物理的にガードする、なるべく外出しないといった方法がある。今では、花粉などの空気中の気になる微粒子汚れや、紫外線ダメージ・乾燥などの外部刺激から守ってくれるスキンケアやメイクアイテムが市販されているので、これらを使用すると良い。
マスクは必須の生活が続いているため、マスクで覆われていることから花粉からも肌を守れると思いがちだが、隙間から花粉が侵入することも考え、顔に塗るものはマスクの下に隠れる部分も塗っておこう。花粉から守る衣類やメガネを利用するのも良いだろう。
2.肌のバリア機能を整える
肌のバリア機能を整えるためには、スキンケアをはじめ、食生活、睡眠、生活リズム、ストレスケアなどトータルの対策が必要となる。
肌のバリア機能は、肌の表層部である幅わずか0.02mm程度の角層の部分が、皮脂膜によりきちんと水分が保たれ、かつ細胞間脂質がきちんと生成されていることで維持されるという。洗顔後やお風呂上がりはなるべく早いタイミングでしっかりと保湿することが大事だ。
栄養素としては抗酸化物質のビタミンA、C、Eを含む野菜や果物、腸内環境を整えるヨーグルトなどを意識して摂取しよう。
花粉対策で活用したいアイテム4選
市販の製品には、花粉肌荒れや花粉症など、花粉を避けて生活したい人にとって役立つ、さまざまなアイテムが存在する。ここでは、ライターが独自に集めた4つのアイテムを紹介する。
1.資生堂「dプログラム アレルバリア エッセンス N」
花粉肌荒れに悩む人の間では定番の「アレルバリアシリーズ」が、今年リニューアル。花粉肌荒れ対策に適した敏感肌用美容液だ。花粉・ほこりなどの微粒子汚れ・紫外線ダメージ・乾燥などから肌を守るアレルバリアテクノロジーNEOを搭載している。またグルタチオン、スーパーヒアルロン酸配合により、すーっと軽くみずみずしく広がり、白さを残さずなじむのも特徴だ。角層深くうるおって、なめらかな美肌を長時間保ってくれる。顔にも全身にも使え、室内・室外問わず花粉からガードしてくれる。
2.BONOTOX「セカンドスキンクリーム」
まるで“第二の皮膚”のようであり、通気性は保ちながら密閉できる「セカンドスキンクリーム」には、花粉から肌をガードする機能も期待できるという。
BONOTOXの研究員によると、セカンドスキンクリームで肌の表面に膜を形成することで密閉状態にすることで、花粉から肌を防御するバリア効果が期待できるそうだ。
クリームを塗った後に乾かすと、ラップのような薄くて柔らかい膜ができ、そのまま眠ってしまうこともできる。寝ている間も花粉が肌に付着するのを防いでくれるため、花粉肌荒れのリスクが抑えられるかもしれない。寝具による刺激も防いでくれそうだ。
3.ポール・スチュアート「花粉プロテクトコート」
三陽商会が手がける花粉プロテクトコートは、「花粉を屋内に持ち込まない」をコンセプトにした、花粉が落ちやすい素材を使用したスプリングコートだ。今年は14型登場。そのうちの一つが、このメンズ向けのポール・スチュアート「花粉プロテクトコート」だ。1月下旬発売予定で、価格は税込110,000 円。日本製で花粉だけでなく春の雨に備え、はっ水性を併せ持つ素材を使用している。色はベージュとネイビーの2色。
屋内に入る前にコートを脱いで軽く払うことで、コートに付着していた花粉の多くを落とすことができ、屋内に持ち込む花粉を大幅に削減できる。
4.Zoff(ゾフ)「AIR VISOR ULTRA(エアバイザー ウルトラ)」
メガネブランドZoff(ゾフ)の目元への飛沫・花粉対策メガネ「Zoff PROTECT」シリーズに、花粉高カットモデル「AIR VISOR ULTRA(エアバイザー ウルトラ)」全4種が加わった。
AIR VISOR ULTRAは、目元への侵入を防ぐフードとフェイスラインの密着度を上げることで、より高い花粉カット率を実現している。着用することで、目元への花粉の侵入を最大約98%カット。また、全モデルくもり止め(防曇)レンズを標準装備しているため、マスクによるメガネレンズくもりの防止につながる。
花粉肌荒れは誰にでも起こりうる。早めに予防策をとっておき、花粉シーズンの悩みを軽減させよう。
取材・文/石原亜香利