「ワークライフバランス」は有名だが、「ワークシックバランス」とは、どんな意味かわかるだろうか?
「ワークシックバランス」が目指すのは、仕事と病気の調和。病を抱えながら働く人が、周囲の理解を促しながら、病があっても自分らしい働き方を選択できることを目指す考え方を指す。
ヤンセンファーマ株式会社が「IBDとはたらくプロジェクト」の一環で提唱し、炎症性腸疾患(以下、IBD)という難病を抱えている患者が “自分らしくはたらく”ことをもっと当たり前にしていくため、普及に努めている。
そんな「ワークシックバランス」に関する意識調査がこのほど、全国の就労中の男女1000人を対象にして実施された結果、8割以上が「ワークシックバランス」の重要性に共感しているものの、実際のサポートや体制に関しては、何らかの疾患を抱えている人(375人)とその周囲の人(625人)の間にコミュニケーションギャップがあることが明らかになった。
調査結果の詳細は以下の通り。
「ワークシックバランス」という新しい考え方について
■ワークシックバランスへの共感
ヤンセンが2020年11月に打ち出した「ワークシックバランス」という新しい考え方について、持病の有無に関わらず8割以上の方が共感を示した。
Q.「ワークシックバランス」という考え方について、以下の項目はそれぞれどの程度あてはまりますか。
■仕事と病の両立に対する理解
「ワークシックバランス」を実現するための、仕事と病の両立について、多くの人が理解を示している。
Q.以下に挙げる項目について、あなたのお考えや行動はどの程度あてはまりますか。
■持病を抱える人のうち「ワークシックバランス」がとれていると回答したのは68%
Q.あなたは自身の症状と上手に付き合い、自分らしく働く「ワークシックバランス」がうまくとれていると思いますか。
■自身の会社が「ワークシックバランス」の実現を推進していると考える人は約半数
Q.あなたの会社は、病気を抱える社員が自分の症状と上手に付き合い、自分らしく働く「ワークシックバランス」の実現を推進していると思いますか。
「仕事と病の両立」の実態
■働く人の約3人に1人が定期的な通院が必要な持病を抱えている事実が明らかに
※「持病はあるが、定期的に通院していない」「特に持病はない」回答者を除いた割合:31.6%
Q.あなたは現在、定期的に通院が必要な持病(医師から診断されたもの)がありますか。あてはまる病気をすべてお選びください。(いくつでも)
■持病を抱えて働く人の半数以上が日常や仕事に影響があると回答
※「あてはまるものはない」以外の計:55%
Q.以下の項目の中から、あなたにあてはまるものをすべてお選びください。(いくつでも)
■持病がもたらす仕事への影響
通院が必要な持病を持ちながら働く人316人の回答から、仕事による治療への影響、持病による仕事内容への影響、周囲への影響が約20~30%の割合で存在することが明らかになった。またIBDの患者は、それぞれの影響が他の持病の患者全体と比較して、相対的に割合が高い結果となった。
【仕事による治療への影響】
仕事のために通院や治療が思い通りにできない…27%(IBD:26%)
仕事のために通院や治療に必要な休み・早退をとることが難しい…25%(IBD:26%)
仕事のために通院の予定をキャンセルしたことがある…33%(IBD:38%)
【持病による仕事内容への影響】
通院や治療のために、やりたい仕事をあきらめたことがある…17%(IBD:29%)
持病のために、今の仕事を続けることに不安を感じる…25%(IBD:33%)
【周囲への関係】
持病のために、会社や同僚、仕事関係の人々に迷惑をかけることがある…28%(IBD:45%)
Q.下記の項目について、あなたのお気持ちや行動はそれぞれどの程度あてはまりますか。
「仕事と病の両立」が実現される世の中に向けて
■持病を持つ人の働き方
持病を抱える人が仕事と病を両立するために実践している取り組みは、「食事への配慮」「治療に前向きに向き合う」「病気のことを周囲へ事前に伝える」「自分に合った治療選択」などが挙げられる。
一方、持病を抱えて働く人のうち「職場の上司や同僚・人事に持病のことを詳しく伝えている人は、2~3割に留まっている。
職場の上司や同僚・人事に持病のサポートを相談しにくい…27%(IBD:45%)
職場の上司や同僚・人事に持病のサポートを相談しても意味がなさそう…34%(IBD:43%)
Q.あなたが、自分の症状と上手に付き合い、自分らしく働く「ワークシックバランス」をとるために行っていることとして、あてはまるものをすべてお選びください。(いくつでも)
Q.あなたは会社の上司・同僚や人事にご自身の持病・疾患のことを伝えていますか。
Q.下記の項目について、あなたのお気持ちや行動はそれぞれどの程度あてはまりますか。
■周囲の意識
一般ワーカーに調査を行ったところ、「自分の周囲で、誰がどんな持病を抱えているのかわからない」「持病を抱えている人に対して、病気のことを聞いてよいのかわからない」「持病を抱えている人に対して、どうサポートすればいいかわからない」と、約7割にとまどいの意識が見えた。
Q.下記の項目について、あなたやあなたの会社の状況は、それぞれどの程度あてはまりますか。
■リモートワーク関連
コロナウイルス感染拡大により推進されたリモートワークは「ワークシックバランス」にとって好影響があったと考える人が約半数存在し、「体調管理しやすくなった」が65%、「治療と仕事を両立しやすくなった」が58%、「症状を抱えていても仕事をしやすくなった」が56%という回答となった。
Q.下記の項目について、あなたのご状況や行動はどの程度あてはまりますか。
<調査概要>
調査方法:インターネット調査
調査会社:楽天インサイト
調査対象者:性別 男女
エリア 全国
年代 29歳~69歳の就労中男女
調査期間:2020年10月19日~10月23日
出典元:ヤンセンファーマ株式会社
構成/こじへい