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短期予測で的中率9割を誇る地震予測サービスの会社に聞く「将来の巨大地震の可能性」

2021.01.15

M5以上の地震を驚くべき精度で予測

12月に入って、震度4~5クラスの比較的大きな地震が各地で発生している。直近では、21日未明に青森県沖を震源とするマグニチュード6.3の地震が発生し、岩手県で震度5弱を観測。気象庁によると、2011年に起きた東日本大震災の「余震とみられる」というから驚く。

「天災は忘れた頃にやってくる」というが、コロナ禍のせいで、震災リスクを忘れかけているわれわれに揺さぶりをかけてくる昨今の地震は、何かの予兆なのだろうか?

「日本は、世界のマグニチュード6以上の地震が20%以上起きている地震大国です。日本列島は絶えず揺れています。ただ、今は“いつ”と言えませんが近い将来に南海トラフ、首都直下地震は間違いなく起こります。」とコメントするのは、インフォメーションシステムズ(株)の代表取締役・平井道夫さんだ。

同社は、東日本大震災直後の2011年4月より、産学連携で地震情報を提供する「地震解析ラボ」を運用。具体的には、法人向けの「EAL地震予測情報」と個人向けのスマホアプリである「地震サーチ」の2本立てでサービスを展開している。

このサービスのすごさは、マグニチュード5以上の地震の大半を数日前に予測できていることだ。例えば、2020年4月15日から8月10日にかけて、マグニチュード5以上(震度は1~4)の地震は33件発生しているが、うち9割にあたる30件を予測。また、冒頭でふれた12月21日の東北地方の地震も、17日の時点でしっかり予測されている。

12月21日の東北地方の地震を4日前に予測(EAL地震予測情報より)

的中率9割の高精度の予測は、どのような仕組みで行われているのだろうか? 平井さんは、「2種類の地震計データの統計解析と電磁気観測の地震前兆データ、それぞれの解析結果を統合し、重なる情報を抽出して予測をしています」と説明する。

様々な観測データを複合的に組み合わせ高精度の予測を実現

もしも大地震が予測されたら?

この予測システムは、EAL地震予測情報と地震サーチの両サービスに適用されるが、個人向けの地震サーチは、「法人サービスから不要な機能を削り、情報をわかりやすくしたうえで提供価格を抑えた」仕様になっている。

利用方法は簡単。スマホのApp Store(iPhone)かGoogle Play(Android)にて「地震サーチ」を検索してインストールするだけ。月額360円かかるが、最初の30日間は無料なので気軽に試すことができる。

地震サーチでは、原則的に毎週月・木曜日に予測情報を更新。地震が予測されたら、当該地域に楕円形のアイコンがつく。マグニチュードの大きさによって、アイコンは、青、黄、赤と色分けされる。これとは別に、マグニチュード4以上の地震が実際に起きた場合、黄色の円のアイコンが表示される。

下の画像は12月21日の定例予測の画面。最大マグニチュード6.0の予測が東北に、最大マグニチュード5.5の予測が4か所あるのが見える。うち、4か所において実際に地震が後日起きた(大小黄色の円)のがわかる。

もしも、自分が住んでいるエリア、あるいは郷里の実家など大事な人が住むエリアに、赤色のアイコンで大規模地震の予測情報が表示されたら、どうすべきだろうか?

地震大国とはいえ、「地震は予測できないもの」という固定観念が染みついていたわれわれに、「数日後に9割の確率で大きな地震が起きる」と言われても、思考停止に陥りそうな気がする。それに対し、平井さんは、こんなアドバイスをする。

「まず、人類は不可能と言われたことを実現してきました。地震予測も科学とテクノロジーの融合で必ず実現できます。大地震の予測情報が出た時は、防災用の備品は備えていると思いますが、突然の地震の対応は難しいものがあります。そこで、短期の地震予測を活用することで、ご家族などと備品と日々の行動・連絡について再チェックをします。さらに、どこで地震に遭うか分かりませんから、外出時の持ち物に非常用品も携行し、できるだけ避難を意識して行動しましょう。そうすることで地震発生時からしばらくの期間の生存率は上がります」

いつかは来る巨大地震に備えよ

地震解析ラボは、数か月とか数年といった中・長期のスパンでの予測は行っていない。一方で政府は、南海トラフ地震が過去100~200年の周期で発生していることをふまえ、「30年以内に、70~80%」の確率で起きると発表している。さらに、11月には東京都で首都直下地震を想定した総合防災訓練が行われたが、この地震も同じぐらいの確率で発生するのではないかとされている。本当に起きれば、東日本大震災を上回る惨禍をもたらしかねない。

東日本大震災に匹敵する地震が首都圏で起きたら?

多くの日本人が、生きているうちに見舞われる可能性が高い大規模な地震だが、個々人としては、これをどう捉えて対策を講じるべきだろうか? 平井さんは次のように語る。

「3.11東日本大震災から10年を迎えるにあたり、国家予算を遙かに凌駕する被害が想定される南海トラフ、首都直下地震の警戒、対策は怠ることは出来ません。第一に建造物の強化。インフラの強靱化。これは国の施策で行われてきています。自治体は避難所などの整備。特にコロナ禍のような時期は、複合災害が懸念されます。個々人としては巨大地震発災時の救助は1週間以上無いと考えた方が良いでしょう。自治体と共に日頃から“寄りそう防災”を重要課題として自治会や隣近所との実質的な運用マニュアルの検証、そして避難訓練と防災備品、連絡手段の繰り返しチェック。何が何でも生き延びるためには自助・共助の大切さを共有することです。」

首都圏を含めた地域が大地震に見舞われたら、助ける側の中央の公的機関すらも被災者になってしまうのは明らか。この点をふまえ、日ごろから家族・職場・地域ぐるみで、予測情報の取得を含め、被害をミニマムに抑える策をとっておくべきだろう

文/鈴木拓也(フリーライター兼ボードゲーム制作者)

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