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相手を思いやれたり何でも真に受けたりする人ほど、些細なことで傷つきやすく気疲れしてしまいます。対人関係でストレスをためないためには、『スルースキル』を身に付けることが重要です。スルースキルを習得し、ストレスから自分を解放しましょう。
スルースキルの意味
耳にする機会の増えた『スルースキル』という言葉は、どのような意味で使われているのでしょうか。何となく知っているつもりでいた人も、改めてスルースキルの意味を確認しましょう。
不快なことを受け流す能力
スルースキルは、不快なことを受け流す能力を指します。相手からの何気ない一言に、ストレスを感じた経験のある人は多いはずです。
ただ受け流すだけでなく、ほかの人の発言に対して気にしすぎない心構えが、スルースキルといえるでしょう。
スルースキルを身に付ければ、自分の状態を安定させられます。また、相手の発言をスルーできれば、ストレスを相手や第三者にぶつける心配もありません。
スルースキルは自分を安定させるだけでなく、周囲との人間関係も円滑にしてくれるのです。
何でも受け流せばよいわけではない
スルースキルといっても、何でも受け流せばよいわけではありません。スルースキルを盾にして、自分にとって嫌な発言に耳を塞ぐのはただの逃げであり、スキルとはいえません。
たとえ耳の痛い発言でも、本質を突いていて自分の成長につながる内容であれば、スルーするのはむしろ損です。
嫌な発言を都合よく切り捨てるのではなく、受け流すべき発言と耳を傾けるべき発言を正しく区別するのも、スルースキルのうちといえるでしょう。
スルースキルが高い人の特徴
スルースキルが高い人には、どのような特徴があるのでしょうか。もし、今の自分のスルースキルが低いと感じているなら、スルースキルが高い人の特徴で、真似できそうなところを探してみましょう。
気持ちの切り替えが早い
気持ちの切り替えが早い人は、スルースキルが高い傾向にあります。
過去に起きたことは変えられないと分かっているため、いつまでも悩まないのが理由です。悩んでいる暇があるくらいなら、起きてしまったことの解決に向けて動き出す人ともいえるでしょう。
気持ちの切り替えが早い人の中には、意識的に気持ちを切り替える人もいれば、意識しなくても嫌なことを忘れられる人もいます。後者は『空気が読めない』『楽観的』『鈍感』といわれることも少なくありません。
もし、スルーできずに不満を吐き出しても、気持ちの切り替えが早い人はその場で話を終わりにします。不満を吐き出したあとはすぐいつも通りに戻るため、周囲に気をつかわせることがありません。
ポジティブ思考
ポジティブ思考の人にも、スルースキルの高い人が多いです。ポジティブに物事を考えられる人は、不快なことをポジティブに解釈したり、うまくかわしたりできます。
ポジティブ思考の人は相手の言動を前向きに捉えられるため、嫌味を言われても気づかない場合があるようです。自分の非を的確に指摘された場合もいつまでも落ち込まず、よいアドバイスがもらえたと、指摘を前向きに捉えられます。
ポジティブ思考の人は、自分のだめな部分を見つけても自分を肯定し、うまく感情をコントロールできます。いつも笑顔でいることが多いポジティブ思考の人は、周囲にもポジティブな効果をもたらすでしょう。
スルースキルで得られるメリット
スルースキルを身に付けると、人間関係や仕事が楽になるといわれています。スルースキルで得られるメリットの具体例を知り、悩みを解決できるか検討してみましょう。
ストレスをためずに済む
スルースキルを身に付けると、ストレスをためずに済みます。不快なことがあってもスルースキルがあれば受け流せるため、そもそもストレスが発生しません。
ストレスを抱えなければ、相手に反発したり、第三者に八つ当たりしたりすることもなく、周囲の誰もが円満に過ごせます。
スルースキルが身に付いていれば周囲と衝突する原因がなくなるため、職場の雰囲気もよくなるでしょう。
職場での人間関係は、転職理由の上位に入るほど仕事に大きな影響を与えます。このことからも、ストレスをためずに済むことによるメリットは大きいといえるでしょう。
仕事の効率アップにつながる
スルースキルを身に付けると、仕事の効率アップにつながります。スルースキルが高いと、必要な情報だけを取捨選択して集中できるためです。
スルースキルが低いと、仕事に関係のない部分に気を取られ、集中力を削がれてしまいます。例えば、上司からトゲのある発言を受けた場合、スルースキルがないと発言を正面から受け止め傷ついてしまうのです。
しかし、無駄な情報に惑わされなければ、トゲの部分を無視して上司が伝えたかった本質だけを捉えられるため、必要以上に傷つかずに済みます。
上司の言葉選びは直せなくても、発言を受け流せるようになれば仕事に集中できるでしょう。
スルースキルを身に付ける方法
仕事関係の相手の場合、苦手でも顔を合わせずにはいられないことも多いでしょう。そこで大切なのが、スルースキルを高めることです。
スルースキルを身に付けるには、いくつか方法があります。今の自分に足りないと感じるものがあったら、積極的に取り入れていきましょう。
他人との価値観の違いを受け入れる
他人との価値観の違いを受け入れると、不快なことを言われてもあまり気にならなくなります。
雨が降ると分かっていれば、傘を持ち歩いたり外出を控えたりするのと同じで、違う価値観を持つ相手だと分かっていれば、ストレスを感じる前に対処することが可能です。
例えば、『チームみんなで結果を出したい人』と『自分だけが評価されたい人』の価値観は相容れません。
後者の価値観の人が、自分を目立たせるため周囲を貶めようとしても、前者の価値観の人はそうした考え方を理解できないでしょう。
仕事に限らず、人によって価値観が異なるのは当たり前です。自分と価値観が違う相手だと分かっていれば、「この人はそういう考え方の人だから」と割り切ることができ、かなり気持ちが楽になるでしょう。
職場の人間関係において「割り切る」と「開き直る」はどう違う?
感情に振り回されない
他者の気持ちに敏感で周囲を思いやれる人ほど、深みにはまってしまいます。そのため、スルースキルを鍛えるには、感情に振り回されないことが重要です。
ストレスを感じたり、イラッとしたりすることは、他人と接していれば多かれ少なかれあるでしょう。一時的なストレスや苛立ちに振り回されると、必要以上に消耗する原因になります。
人と接していてストレスを感じたときは、いったん心を落ち着かせます。
特にビジネスシーンでは、感情的になってもよいことは何もありません。不快なことを言われたら一度冷静になることを心がけ、そのあとで情報を取捨選択しましょう。
物事を客観視する
スルースキルを高めるためには、物事を客観視することが大切になります。物事を客観視するにあたって重要なのが、俯瞰の視点です。
自分を中心にした一人称で物事を捉えているからこそ、相手の発言に対して不快感を抱きます。第三者の視点に立って物事を客観的に捉えられれば、感情的にならずに済み、相手の言動を受け流しやすくなるでしょう。
相手の発言に不快感を覚えた場合は、不快な気持ちを抑えることが重要です。不快感を抑えられれば、物事を客観視できるようになります。
必要な情報のみに集中
必要な情報のみに集中する能力は、スルースキルの中でも非常に重要です。取り入れる情報を選ぶには、ストレスの原因になる情報を遠ざけることが近道でしょう。
とはいえ、職場の上司や同僚が相手であれば、ストレスの原因だからといって逃げるわけにはいきません。
その場合、仕事で必要な情報以外は聞き流しましょう。仕事の話のついでに愚痴を振られても、愚痴の部分は適当に相槌を打ち、失礼にならない程度に無視します。
必要な情報だけを選ぶには、自分のストレスの種になることを把握したり、ストレスの種に直面しても感情的になったりしないことが大切です。
価値観の違いの認識や物事の客観視など、ほかの方法も身に付けてこそ、必要な情報に集中できるようになります。
構成/編集部