コスメブランドが運営するベジタリアンレストラン「REVIVE KITCHEN」
若い女性から支持されるコスメブランド「THREE」が運営するレストラン「REVIVE KITCHEN(リバイブ・キッチン)」
食を通じて現代人のからだと心に再生を促す、「THREE」のフィロソフィを新たな一面から体現するレストランで、青山店と日比谷ミッドタウン店の2店舗を展開している。
ベジタリアンメニューを中心にヴィーガンにも対応している青山店では、昆布で出汁をとった「押麦リゾット」などのヴィーガン料理を楽しめる。
日比谷ミッドタウン店で提供している料理のコンセプトは「MODERN SHOJIN」
シグネチャーディッシュである「お膳PLATTER」は、女性ウケ抜群の彩り鮮やかな、美しい盛り付けのお膳。
竹炭パウダーを練り込んだ「豆乳甘酒スムージー」からはじまり、「胡麻豆腐」、「ソイチキンと長芋の粒マスタード和え」、レンコンに山椒、昆布を挟んで焼いた「レンコンのはさみ焼き」など、伝統的な和の食材をモダンにアレンジした、まさに現代版精進料理である。
受ける印象が大きく異なる「ヴィーガン」と「精進料理」
青山店では「ヴィーガン」とうたい、日比谷ミッドタウン店では「精進料理」とうたう、リバイブ・キッチン。料理名を聞いた際に受ける印象は大きく異なる。
最近ヴィーガンメニューを提供する飲食店や、代替肉を発売するメーカーが増加してきたが、まだまだ日本における「ヴィーガン」の認知度・浸透率は低い。
日本には古来から「精進料理」が存在しており、ヴィーガンを受け入れられる文化・風土ができているにも関わらず、「ヴィーガン」と聞くとなぜか抵抗を覚える人も少なくはない。
そもそもヴィーガンと精進料理の違いとは何だろうか。
実はヴィーガンより使用食材に制限がある精進料理
精進料理の「精進」とは、「美食を戒めて粗食をし、精神修養をするという」意味を持った仏教用語。
仏教の戒律である
①動物を殺してはいけない
②心身の欲望に刺激してはいけない
に基づいて、精進料理は動物性の食材は一切使用せず、野菜や豆類などの植物性の食品のみを使用して作られる。
使用できない食材は動物性食材だけではない。
「②心身の欲望に刺激してはいけない」に基づき、刺激の強い植物であるネギ、ニンニク、ニラ、ラッキョウなどは「五葷(ごくん)」と呼ばれ、食べることが制限されている。
刺激の強いニンニクやスパイスも食べられるヴィーガンと比較すると、精進料理の方がルールが厳しいと言えるだろう。
なぜヴィーガンに抵抗を示す人が多いのか?
ヴィーガンよりルールの厳しい精進料理。それにも関わらず、なぜヴィーガンに抵抗を示す人が多いのだろうか。
「精進料理は馴染みのある和の食材を使用しているから」などの理由もあるだろうが、一番の理由は「ヴィーガン=過激な宗教・文化のイメージがあるから」ではないだろうか。
一部の過激なヴィーガニストが引き起こす暴動によりイメージが悪化する「ヴィーガン」
世界では、過激なヴィーガニストが引き起こす暴動がたびたび発生している。
例えばフランスで相次いで起きた、ヴィーガンによるとみられている肉屋の襲撃事件。食肉解体場の放火事件なども発生し、工場で働く80人の従業員が失業状態に陥る事態となり、大きな問題になった。
本来、食生活というものは一人一人が自分に合ったものを選ぶものであって、他者に対して行動を強要するものではない。
それにも関わらず、一部の過激なヴィーガニストは他者にヴィーガンを強要しようとし、このような事件が世界では多発している。
なぜヴィーガニストは他者に価値観を強要してしまうのか?
このような事件が起きる背景には宗教の違いも関係しているかもしれない。
神社で初詣をし、お寺にお参りに行き、教会で結婚式をあげる日本人の行動からも明らかなように、日本の宗教は多神教である。
多神教である日本人は他人の価値観を否定することはないし、異なるものも受け入れる耐性がある。
しかし、世界では大半の人がキリスト教やイスラム教などの一神教徒である。それゆえ、「絶対的な1つのものしか信じられない」「他のものは排除したい」という想いが強まり、自分の価値観を押し付けたり、同調させようとしてしまうのかもしれない。
食は楽しむものであり、強要するものではない。
世界の人々が異なるものを受け入れる耐性を持ち、異なる宗教・価値観の人が一緒になって笑顔で食卓を囲む日がくることを切に願う。
文/小松佐保(Foody Style代表)