みなさんはトライアルという競技を見たことがあるだろうか。岩や急坂のコースでバイクに乗ったまま走破できるか否かを競うものだ。
そんなトライアルを50ccバイクでも楽しめたのだ。その立役者が、1983年12月20日に発売された、ホンダ「TLM50」だ。
トライアル入門に最適なバイク
ホンダ「TLM50」は、低速でも粘り強い出力特性となる、HERP付き2サイクル49ccエンジンを採用、最高出力は4.8PS/7000rpmを発揮する。ミッションは5速リターン式だ。
リアサスペンションには、目的に応じてショック吸収性能を5段階に調整可能な機構をおごっている。
さらに、軽量で高い剛性を誇り、しかもスリムなセミダブルクレードル式のフレームを採用し、ハンドルの切れ角は中心より左右に62度とワイドにとられている。
また、最低地上高は305mmもあり、フロント2.50-21-4PR/リア3.50-18-4PRの大径タイヤとの組み合わせ、乾燥重量73kgと軽量なこともあいまって、50ccでも本格的なトライアル走行が可能となっている。
車両価格はいくらだった?
17万9000円
ホンダ(HRC)はトライアルバイク、「RTL300R」を2020年モデルとして販売。
HRCによる完成車での価格は124万3000円(2020年2月発売モデル)だった。
こちらはレース専用車であり性能は素晴らしいが、TLM50のように公道も走り、ちょっとトライアルコースで走りを楽しむという次元のバイクではない。
TLM50はトライアル競技を身近にしてくれた、希少なバイクだったのだ。
文/中馬幹弘