投資をしている人はもちろんそうでない方も、一度は「NASDAQ(以下、ナスダック)」という言葉を耳にしたことがあるはず。では、ナスダックとは一体何を意味する言葉なのだろうか。
本記事では、初心者でも理解できるよう、ナスダックをわかりやすく解説する。ナスダックの理解に欠かせない「NYダウ(ダウ平均)との違い」「S&P500との違い」もぜひチェックしてほしい。
NASDAQ(ナスダック)とは
ナスダックは、英語の「National Association of Securities Dealers Automated Quotations」の頭文字を取った略語で、全米証券業協会(NASD)により、1971年に開設された世界初の”電子株式市場”のこと。アメリカにある世界最大の新興企業(ベンチャー)向け株式市場であり、AmazonやApple、Google(アルファベット)、マイクロソフト、フェイスブックといった名だたるIT関連企業がナスダックに上場している。
開設当時は、コンピューターネットワークによる証券市場として注目を集めた。現在、ナスダックにはグローバル企業が数多く上場してこともあり、日本の株価にも影響を与える大きな要素と言われている。
また、米国企業だけでなく日本からは日産自動車、任天堂などの銘柄もナスダックに上場している点も覚えておきたい。ナスダックの取引時間は、現地時間で9:30から16:00まで。
ナスダック総合指数とは
先述したとおり、ナスダックは株式市場のことを指すが、指標として見る際には「ナスダック総合指数(NASDAQ Composite Index)」が用いられる。ナスダックが誕生する前は、株価指標として「NYダウ工業指数」「S&P」が一般的だったがIT企業、情報関連企業が数多く名を連ねていることから今ではナスダックも「米国3台指数」として認知されるようになった。
ナスダック総合指数は、ナスダックに上場しているすべての銘柄を「時価総額加重平均」で算出したもの。単純に”平均”するのではなく、時価総額つまり”量の大小”を反映させ、一時点(1971年2月5日の値を100とする)での時価総額合計と比較をして求める。
なお、日本では日経平均株価は単純な平均であるのに対し、東証株価指数(TOPIX:トピックス)はナスダックと同じ「時価総額加重平均」で計算されている。
NYダウ(ダウ平均)との違い
ナスダックを理解する上で併せて覚えておきたいのが、NYダウ。これは、アメリカ株式市場の全体的な値動きを把握するために用いられる指標で、正式名称は「ダウ工業株30種平均(Dow Jones Industrial Average)」という。
ナスダック市場やニューヨーク証券取引所に上場する30銘柄を選出し、それらの平均株価をリアルタイムで公表している。なお、30銘柄は時代に合わせ入れ替えが行われており、「工業」という言葉が用いられているが、実際には一定の基準を基に幅広い業種の銘柄が含まれている。
先述したとおり、ナスダックは時価総額加重平均で計算されるのに対し、NYダウは日経平均株価のように、単に株価を平均することで求められる点がナスダックとの違い。誕生は1896年と、他の指標に比べてもっとも長い歴史を持つ。
S&P500との違い
もう一つ、アメリカ株の代表的な指数に「S&P500」がある。これは、ニューヨーク証券取引所、ナスダックに上場している銘柄から、代表的な500銘柄の株価を選出し、浮動株調整後(大株主の保有する持分は含めないなど)の時価総額比率で加重平均し指数化したもの。起源は1923年と歴史は長いが、ダウ平均同様、条件を基に銘柄の組み替えが行われる。
S&P500の特徴は、時価総額順で組入比率が決定されるため「今勢いのある企業」が上位を占める点で、単に株価が高い銘柄が上位を占めるNYダウと異なっっている。また、数も500銘柄と多く分散されているため、個別銘柄の変動に影響されにくいのも特徴的。
文/oki