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「EC」とは何の略称なのか?

2024.04.10

日本で一般的に使われるようになった、「EC」という言葉。インターネットに関連する用語であることはなんとなくわかるものの、正確な意味を説明できる人は少ないかもしれない。

そこで本記事では、インターネットにおける「EC」の意味を詳しく解説する。加えて最後に、同じ略語でありながら意味の異なる、2つのECについても紹介したい。

ECとは何の略?ネット・通販とは違うの?

ECは「Electronic commerce(エレクトリックコマース)」の頭文字をとった略語(IT用語)で、日本では「電子商取引」と訳される。読み方は「イーシー」。

インターネット上で商品やサービスの売買を行うことを指し、食品やアパレル、生活雑貨の通販サイトはもちろん、オークションサイトや旅行予約用の代理店、コンテンツ配信サイトやオンライントレードサイトなどもECに含まれる。提供元と販売対象の違いにより、ECは以下の3つに分類できる。

1. B to B(Business to Business)EC

法人同士が取引をする電子商取引のことで、企業が企業に向けて提供するショッピングサイトやサービスを指す。例として、原材料や部品などの商品取引、企業が導入するクラウドサービスなどが挙げられる。

2. B to C(Business to Consumer)EC

企業が販売する商品やサービスを、消費者に提供する電子商取引のこと。AmazonやZOZOは「ECサイト」、楽天市場やYahoo!ショッピングは「ECモール」に分類され、EC業界で最も市場規模が大きいと言われている。

3. C to C(Consumer to Consumer)EC

個人間で取引をする電子商取引のこと。消費者が消費者に対して商品やサービスを販売する仕組みで、例としてフリマアプリのメルカリや、オークションサイトのヤフオク、個人間でサービスの提供を行うストアカ、ココナラなどが挙げられる。プラットフォームを提供する企業は、個人間の仲介業者として役割を果たし、そこから手数料を受け取る仕組み。

eコマースとの違いは?

eコマースとは「Electronic commerce」に由来する造語で、ECとほぼ同義で使われる。しかしeコマースは、多くの場合「ネットショップなどの企業と消費者間の取引」、つまりB to Cを指すことが多いようだ。

ECサイトとは?

 ECサイトのイメージ図

ECサイトとは、インターネット上で商品やサービスを売買するWebサイトのこと。電子商取引を行うすべてのWebサイトを総称する言葉だ。ECサイトは、商品を売買するネットショッピングサイト以外にも、ネットオークションサイトや有料動画配信サイト、オンライントレードのサイトなども含まれるが、一般的には「買い物ができるサイト」という意味で用いられることが多い。

楽天市場、Yahoo!ショッピングのように多様なショップが同じドメインの下で営業する「モール型サイト」と、ユニクロや無印良品、Appleのように自社でECサイトを制作し運営する「ECサイト」の2種類がある。

ECサイトのメリット

ECサイトを利用する消費者側のメリットは、いつでもどこからでも買い物ができること。ECサイト自体には、営業時間や休業日がないため、場所や時間に左右されず利用できるのが特徴だ。また、定期購入機能やネットクーポンの活用など、Webならではの機能が使えるのもECサイトを利用するメリットの一つと言える。

ECサイトを運営する店舗側のメリットは、人件費や実店舗の家賃を削減できる点。また、実店舗と違い販売エリアが限定されず、環境さえ整っていれば、世界中を販売対象エリアにできる点も大きい。

多くの会社が参入する「越境EC」とは?

越境ECとは、国境を越えて行われる電子商取引のこと。具体的には、オンラインプラットフォームを介して異なる国や地域の消費者と事業者が商品やサービスを取引することを指す。

 例えば、中国のアリババやアリエクスプレス、アメリカのAmazonなどのプラットフォームを通じて、世界中の消費者が商品を購入したり、海外の事業者が商品を販売したりすることができる。

国際的な物流や通関、支払い、言語、文化の違いなどの課題を克服する必要があるが、事業者にとっては、国外での市場拡大や企業の成長、国際的な競争力向上などのメリットがある。つまり越境ECは、グローバルなビジネス展開において重要な戦略と言えるだろう。

日本国内におけるEC業界の今後

日本のEC業界は、過去数年間の成長率が安定している。特にスマートフォンを経由した市場規模は5年連続で増加。2019年には、およそ4割の消費者がスマホを活用してECを利用していることがわかっている。

パンデミックや生活の変化などにより、人と人が接触せずに買い物をしたりサービスを受けたりできるEC業界は、今後もまだまだ需要が見込めるだろう。

【参考】令和元年 スマートフォン経由の市場規模の直近 5 年間の推移 -経済産業省-

これだけじゃない!ECの意味

多様な人種のイメージ

日本では一般的に、ECといえばここまで解説してきた「電子商取引」をイメージする人も少なくない。しかしECには、「ヨーロッパ共同体」や「土壌の肥沃度を示す数値」の意味があることも、併せて覚えておきたい。

ヨーロッパ共同体“European Community”

「ヨーロッパ共同体(European Community)」もECと略される。1967年に成立した西ヨーロッパ6カ国の統合を指向する組織で、「ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体」「ヨーロッパ経済共同体」「ヨーロッパ原子力共同体」の3者が基盤となり結成された。

当初はイタリア、フランス、西ドイツ、ベルクス3国(ベルギー・オランダ・ルクセンブルク)の6カ国が参加。1970年代にはイギリスやアイルランド・デンマークが加盟し、「拡大EC」に発展した。その後も加盟国を増やすが、1993年に現在のヨーロッパ連合(EU)の誕生によりECは解消された。

農業におけるECは“土壌の肥沃度を示す数値”

農業の分野でECは、「Electrical Conductivity(電気伝導度/率)」の意味で用いられる。一言で言えば、「電気の流れやすさ」を示す数値のこと。土壌のECを測定し、数値が高ければ肥料成分の割合が高いことが、数値が低ければ割合が低いことがわかる。園芸や農業などをはじめたい方は、覚えておきたい用語。

文/oki

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