フランスのタイヤメーカーである日本ミシュランタイヤ株式会社は、厳選した飲食店・レストラン、宿泊施設を紹介する 「ミシュランガイド東京2021」 を2020年12月10日に発売した。
東京を対象としたミシュランガイドは2020年で14年目となり、総掲載施設は480軒となった(うち、飲食店・レストランは446軒、宿泊施設34軒)。
オンライン記者会見で発表された、新たに三つ星として掲載された2つのレストランや新設された「ミシュラン グリーンスター」を含む、「ミシュランガイド東京2021」で特に注目したい点をご紹介する。
「ミシュランガイド東京2021」新三つ星に2軒、料理カテゴリーは多様な38種
ミシュランガイドの調査員とは
改めて、ミシュランガイドの調査員や評価基準をおさらいしておきたい。
調査員は全て日本ミシュランタイヤ株式会社の正社員であり、世界統一の評価基準で調査し評価ができるよう、日本人の調査員を含めて全員がフランスで厳しいトレーニングを受ける。
一般のお客様と同様にレストランやホテルを予約・支払いをして匿名で調査するが、この匿名性こそがミシュランの鍵となっている。掲載はミシュランガイドの調査員、編集長、ガイドブックの総責任者による合議制で、総意に基づき決定。そのセレクションが1冊の本となって出版される。
ミシュランガイドの評価基準
料理カテゴリーに関係なく、世界共通の5つの基準のもとに行われる。また、提供される「料理」に対する評価であり、サービスは対象とならない。
1.素材の質
2.料理技術の高さ
3.味付けの完成度
4.独創性
5.常に安定した料理の一貫性
三つ星…そのために旅行する価値のある卓越した料理
二つ星…遠回りしてでも訪れる価値のある素晴らしい料理
一つ星…近くに訪れたら行く価値のある優れた料理
ビブグルマン…価格以上の満足感が得られる料理
(良質な素材で丁寧に仕上げており、6000円以下で楽しめる)
「ミシュランガイド東京2021」新三つ星に2軒
新三つ星の茶禅華/中国料理(港区)は、日本のミシュランガイド初の中国料理の三つ星。日本料理の経験を活かし、だしや炭火焼など和の技法も使う“和・漢”の文化を見事に融合させた料理を提供している。
もう一軒の新三つ星はレフェルヴェソンス/フランス料理(港区)。2012年に一つ星で初掲載、2015年に二つ星となり今回三つ星と評価された。
三つ星は計12軒で、かんだ/日本料理(港区)、カンテサンス/フランス料理(品川区)、ジョエル・ロブション/フランス料理(目黒区)は14年連続三つ星での掲載となった。
料理カテゴリーは38種類と多様で、その中でもビブグルマンで掲載されたエンリケマルエコスは、日本で初めての「モロッコ料理」カテゴリーとなる。
宿泊施設に関しては、外資系ホテルの新規開業が多く、7軒が新たに掲載となった。日本初進出のブランドホテル、和を意識したホテル、元銀行を改装したホテル、都心に居ながらにして自然を感じられるホテルなど、独自性を打ち出した個性的なホテルが掲載されている。
サステナブルな取り組みを評価する「ミシュラン グリーンスター」とは?
次に、今回から新設された「ミシュラン グリーンスター」をご紹介したい。
ミシュランは持続可能なモビリティを世界的に推進しており、ミシュランガイドの調査員は、料理と同時に飲食店・レストランのサステナブルな取り組みを調査した。
フードロスの削減、森林活性化に寄与、環境に配慮する生産者の支援、絶滅危惧種の保護など、都心にありながらできる取り組みを積極的に推進しており、今回6軒がミシュラン グリーンスターとして掲載された(店名はカンテサンス、シンシア、NARISAWA、フロリレージュ、ラチュレ、レフェルヴェソンス)。
「ミシュラン グリーンスターの選定は、調査員による実地調査、アンケート、聞き取り調査による評価です。これらは料理の美味しさを表す星やビブグルマンの評価とは全く別の評価です。
ミシュランガイドに掲載する施設は、まず、読者の皆様におすすめしたい、美味しい食事を提供する飲食店・レストランです。ミシュラン グリーンスターはその中で、持続可能なガストロノミーを実践する、真に献身的で革新的な施設です」と担当者は解説した。
例えば、新三つ星のレフェルヴェソンスは、厨房にレンガの薪窯を作りガス利用を削減し、絶滅が危惧される魚を使わないなど、サステナブルな取り組みを積極的に行う。
カンテサンスは、持続可能な漁業を推進するため保護活動を目的とした団体の代表を務めている。書籍には、お店の取り組みを伝えるシェフの言葉が掲載されているので、そちらを参考にして欲しい。
食材の生産から消費、調理法、レストランの経営方針まで、美食は持続可能な開発と結び付くため、「ミシュラン グリーンスター」というレストラン選びの新たな視点にも、今後益々注目が集まるのではないだろうか。
コロナ禍の今だからこそ「ミシュランガイド東京2021」を発行する想い
日本ミシュランタイヤ株式会社 代表取締役社長ポール・ペリニオ氏より、外食産業や観光業にとって非常に厳しい一年となったこの年の瀬に、「ミシュランガイド東京2021」を発行することへの想いが語られた。
「モビリティカンパニーであるミシュランがドライバーに移動する喜びを提供するためにミシュランガイドを創刊し、今年で120周年になります。
2020年が、飲食・観光業界にとっていかに困難な年であったか、私たちは認識しています。自粛生活を通して、私たちは移動する楽しみ、人と会って関係を深める喜びをさらに強く感じています。
ミシュランが飲食店・レストランの調査と評価の公開を続けることを決めたのは、それが飲食・観光業の再興に貢献できる、最善の方法だと考えたからです。健康を守るためのガイドラインを守りながら、レストランに行けるというメッセージも伝えたかったです。目の前のことだけでなく、もっと明るい将来があると私は信じています。ミシュランの役割であるモビリティの貢献と、レストランに行ける喜びを伝えたいと思います。
『ミシュランガイド東京2021』で、国内・海外の皆さまに東京の魅力を知っていただければ嬉しいです。人と会って関係を深め、新たなビジネスや文化を生む場での体験の価値を改めて感じていただきたいと思います」
東京は今年も、世界で一番星の多い都市となった。2位はパリで、3位は京都、4位は大阪、ニューヨーク、香港、ロンドンと続く。
新型コロナウイルス感染拡大の影響はまだ続いているため、レストランへ行く際は慎重な検討が求められるが、改めて日本、特に東京は世界最大の美食都市であることは誇りたいものだ。
(C)MICHELIN
●「ミシュランガイド東京2021」書籍概要
【発売日】2020年12月10日
【定価】税抜3180円
【発行】日本ミシュランタイヤ株式会社
【判型】A5 変形
●「ミシュランガイド東京2021」掲載店発表動画配信概要
Michelin Guide Asia YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/watch?v=I265tlIvk4w
●ミシュランガイド公式WEBサイト「クラブミシュラン(CLUB MICHELIN)」
https://clubmichelin.jp/
【取材協力】
日本ミシュランタイヤ株式会社
取材・文/Mami
(一社)日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
https://mamiwine.themedia.jp/