新しい生活様式へすんなり順応できるほど、人の身体は都合良く出来てはいない。四六時中のマスク着用、テレワークの増加など様々な変化の中で、何らかの不具合が生じることもあるだろう。
医師12万人以上(国内医師の3人に1人)が参加する医師専用コミュニティサイト「MedPeer(メドピア)」を運営するメドピアではこのほど、会員医師を対象に「コロナ禍のいま、広がる新現代病」についてアンケート調査を実施。その結果、1位が「マスク皮膚炎」、2位が「マスク依存症」となり、新型コロナウイルスの感染予防のために多くの人が日常的に着用している「マスク」に関する疾患が上位となった。
以下で調査結果の詳細を伝えていく。
【Q】今注意すべき「新現代病」だと思うものを最大3つ選んでください。(選択式)
1位:マスク皮膚炎 / 490
2位:マスク依存症 / 416
3位:スマホ肘 / 271
4位:手洗い強迫性障害 / 265
5位:ふれあい拒否症候群 / 247
6位:デジタル時差ボケ※1 / 194
7位:デジタル認知症 / 142
8位:子ども腰痛、ぎっくり腰 / 107
9位:ドケルバン病※2 / 105
10位:急性内斜視 / 101
順位 / 病名 / 回答数
※1:デジタル時差ボケ……デジタルデバイスが発するブルーライトにより、体内時計が乱れ、昼夜が逆転する状態。
※2:ドケルバン病……親指と手首を繋いでいる2本の腱と腱を覆う「腱鞘(けんしょう)」がこすれ合い、炎症が起こる病気。
■1位「マスク皮膚炎」
●選択理由
・コロナウイルスの影響でマスクは生活必需品となったから。(精神科、30代)
・業務上、自身や仲間が罹患している。(救急医療科、40代)
・外来で多くの患者さんから相談されているから。顔面の皮膚かぶれや発赤などは去年まではほとんど相談されることはなく、自分自身もかぶれを自覚しています。(整形外科・スポーツ医学、40代)
●予防法
・適切なマスク使用、皮膚状態の観察。(一般内科、30代)
・保湿。自分に合った素材のマスクをつける。(一般内科、20代)
■2位「マスク依存症」
●選択理由
・マスクがないと落ちつかない人の増加が目立つので。(一般内科、30代)
・マスクをしていないと、周囲から暗黙のプレッシャーがかかる社会が持続。(一般内科、40代)
●予防法
・マスクが不要の場面ではすぐに外す。(一般内科、60代)
・マスクをしていることが大事なのではなく、マスクを正しく使用すること、他の人がマスクをしていない場合には、近くに寄らない等の自分の行動で対処できるので、イライラしないようにすること。(健診・予防医学、50代)
■3位「スマホ肘」
●選択理由
・スマホを長時間使用し、肘の内側外側の痛みを訴える人が増えている。(一般内科、40代)
・日常生活でスマホの利用時間が長い。(麻酔科、60代)
・昔は聞いたことがないからです。(一般内科、50代)
●予防法
・スマホを置いて使用する。(一般内科、60代)
・スマホから離れる時間を長くする。充電器を別の部屋に置いたり、すぐに手の届かないところにスマホを置く。
・セルフマッサージやストレッチをする。(消化器外科、30代)
■4位「手洗い強迫性障害」
●選択理由
・手洗いに過度に敏感になっている印象がある。(一般内科、50代)
・新型コロナウイルス感染症等への恐れから、病的に手洗いを繰り返すことをやめられない患者さんの存在を知ったので。(一般内科、50代)
・病的まではいかないまでも、自身にも少しその傾向があると思っているから。(一般内科、50代)
●予防法
・手洗いの回数を決める。(一般内科、20代)
・リラクゼーションや人に話すことで不安を和らげる。(一般内科、40代)
・恐怖や不安をあおる情報から少し距離を置く。(一般内科、50代)
■5位「ふれあい拒否症候群」
●選択理由
・デジタル社会で人対人の直接会話がないことに慣れ、対人関係が薄くなっているところへ、コロナによる接触恐怖が加わっている。(一般内科、70代)
・自粛ムードの中、家にひきこもりがちになり、ますます他者との交流が減ってきている感じがします。(老年内科、60代)
●予防法
・なんらかのコミュニケーションの機会を毎日作る。(小児科、40代)
・積極的なものの考え方を持ち、気まずくなっても気にしない事。(一般内科、70代)
■6位「デジタル時差ボケ」
●選択理由
・老若男女問わず、スマホなどのデジタル環境に依存する時間が増えているから。(小児科、30代)
・深夜のスマホ操作による睡眠障害が増えているので。(一般内科、40代)
●予防法
・規則正しい生活を心がける。夜間はスマホを触らない。(小児科、30代)
・朝は速く起きて通勤がなくても窓をあけたり散歩をして太陽光を15分浴びる。(腎臓内科・透析、60代)
■7位「デジタル認知症」
●選択理由
・デジタル化が加速する中、自分で思考し記憶しようとする人がどんどん減っているように感じられるので。(一般内科、50代)
・実際に自分自身が経験するので。(一般内科、70代)
●予防法
・デジタルから離れる時間をつくる。定期的計画的な運動をする。(一般内科、60代)
・意識して覚えようとすること。まずはアドレスリストの電話番号から。(小児科、40代)
・1日の中で、頭の中で出来事を整理する時間をつくる。(消化器内科、30代)
■8位「子ども腰痛、ぎっくり腰」
●選択理由
・親世代のテレワークや、子供も外で遊び辛くなっているため。(一般内科、40代)
・ランドセルが重い(整形外科・スポーツ医学、40代)
・子供の運動機能低下が背景にあると思う。(小児科、50代)
●予防法
・体を定期的に動かす。(整形外科・スポーツ医学、40代)
■9位「ドケルバン病」
●選択理由
・スマホ社会で、罹患者が急増しているから。(緩和医療、50代)
・おうち時間が増えスマホを使うようになった。(その他、20代)
・いままで見られなかった若年者に多くなった。(リウマチ科、60代)
●予防法
・なるべく親指だけで操作するのを止める。通常行う動作のみにして特定の動きを繰り返し行わない。(一般内科、50代)
・親指を休ませる。湿布などの対症療法。(精神科、50代)
・安静、外用剤、それでもだめなら整形外科受診。(整形外科・スポーツ医学、50代)
■10位「急性内斜視」
●選択理由
・スマホなど近い距離でものを見ることが増えている。(腎臓内科・透析、30代)
・コロナの影響もあり画面を見る時間が長くなっている。(その他、20代)
●予防法
・定期的に遠方をみるようにする。(一般外科、40代)
・デジタル機器を長時間使わない。(皮膚科、50代)
※医師専用コミュニティサイト「MedPeer」調べ
https://medpeer.jp
<調査概要>
調査対象:医師専用コミュニティサイト「MedPeer」の医師会員
調査期間:2020年12月19日~2020年12月22日
有効回答:1,058人
出典元:メドピア株式会社
構成/こじへい