猫嫌いが、愛猫家の猫に「好かれない」ようにする秘訣
■猫は、猫嫌いの人に寄っていく
世の中には(不思議なことに)猫嫌いという人もいます。年配の男性の場合、「特に興味がない」「だから目障り」という程度の人が多いようですが、中には「子供の時に噛みつかれて以来、見るだけで恐怖」などのトラウマを持つ女性も…。
ところが数人の人が話している部屋に入って来た猫は、猫を異常に恐れている人のところに行くことがよくあります。その人にとっては毛が逆立つほどの恐怖だろうに、なんと、その人の脚に体をすりよせ、ひざに飛び乗ろうとすることすらあります。
私の夫の実家の猫もそうでした。元ノラなので警戒心が強く、引き取った直後にケージから脱走。以後、フードを食べトイレは使うものの、家のとこにいるかわからない、さすらいの所在不明猫に…。そんな猫が最初になついたのが、家の中で唯一の猫嫌いだった義父だったのです。けんめいに世話をしていた猫好きの義母が、悔しがることといったら…!なぜ猫は、こんなにへそまがりなのでしょう?
■猫にとって、人の視線は恐怖
猫が部屋に入って、その部屋を見回すシーンを想像してみましょう。猫好きな人は、目を輝かせて猫をガン見しますよね。でも猫の世界では、見つめることは「ガンを飛ばす」のといっしょ。つまり、「なんか文句あるのかこら」と威嚇されているのです。部屋にいる全員からそんな威嚇をされたら、猫だってビビりますよね。ましてや、名前を呼ばれたり、触れようと手を差し出されたりしたら、恐怖はピークに…。
そんな時に、一人だけ、威嚇してこない(つまり目を合わせようとしない)人がいたら、どうでしょう。猫が怖くて、猫が近寄ってこないことを祈りながら目をそらしている人だからこそ、猫は寄っていくのです。つまり猫がすりよっていくのは、怯えさせないボディ・ランゲージへの感謝の行為ともいえます。
そういえば義父も、書斎に猫が姿をあらわしても(興味がないから)、視界には入ってもガン無視。一方義母は、ちょっとでも姿を見せると、大喜びで名前を呼び、追いかけまわしていました。猫が最初に義父になついたのは、今思えば当然だったのです…。
■飼い主の失礼にならないように、猫を撃退するには?
どんなにすり寄ってくる猫が怖くても、飼い主の手前、シッシッと追い払うことなどできません(友情にヒビが入る可能性大です)。ですから、猫が部屋に入ってきた時には、寄せ付けない工夫が必要です。一番いい方法は、猫のほうに身を乗り出し、目を大きく見開いてじっと見つめ、手を振り動かし、耳障りな大声で猫を呼ぶのです。こうすれば猫は寄ってこないので、飼い主の大事な猫に失礼なことをしたと思われずに、安心して過ごすことができます。
というようなことを、動物行動学のバイブルとも呼ばれる「キャット・ウォッチング~ネコ好きのための動物行動学~」(デズモンド・モリス)には書いてあるのですが、でもこれ、すごく人好きな猫の場合は逆効果じゃないでしょうか…?わが家の初代猫は超人好きで、保護主さんのところで初めて会った瞬間から「わーーいお客さんだ」「おなか撫でる?」と大サービス。あの子なら、こんな作戦をとったら絶対に大喜びで飛びかかっていくような気がしますが…。
文・桑原恵美子(PETomorrow編集部)
参考資料/「キャット・ウォッチング~ネコ好きのための動物行動学~」(デズモンド・モリス著・羽田節子訳/平凡社)
構成/inox.
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