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資産家でなくても要注意!相続のプロが伝授する遺産相続争いを防ぐヒント

2020.12.27

争族が起きるのは資産家とは限らない

親の遺産をめぐる家族同士の相続争いは、俗に「争族」と呼ばれ、その件数は増える傾向にある。

そう言われても「争族なんて資産家だけの話。ウチは関係ない」と思っている方が多いかもしれない。

実は、家庭裁判所に持ち込まれた相続争いだけでも、3割が遺産額1000万円以下。主な遺産が自宅・土地だったりで公平に分割できず、揉め事へ発展するパターンが多いが、それに限らない。

相続のプロとして約4千件の案件にかかわり、『プロが教える 相続でモメないための本』(アスコム)の著者でもある江幡吉昭さんは、「争族によって人生がめちゃくちゃになった人々を嫌というほど見てきました」と語る。

遺産500万円で深刻なトラブルに

江幡さんにもとに駆け込む相談者の少なからずは、富裕層ではないごく一般家庭の人だ。江幡さんは、実際にあった争族として以下の例を挙げる。

「長男1人、姉妹3人の子を持つ母親が亡くなられた時の話です。父親は10年ほど前に他界しています。父親が遺言を残さなかった経験から、母親はしっかりと遺言公正証書を残していました。その遺言の内容は『財産の一切を長男の良一に相続させる』というもの。金額的には500万円ほどでした。つまり、遺言にしたがい、長男がこの額をすべて受け取ることになります。それに納得のいかない3人姉妹が長男に詰め寄り、争族へともつれこんだのです」

この話だけ聞くと、姉妹の怒りももっともなことに思えるが、これには背景がある。キャリア官僚を定年まで勤めあげ、その後は企業役員を務めて相応の資産を築いた父親は、亡くなったとき遺言書を残していなかった。しかし、長男の主導のもと行われた家族会議では、「遺産とその評価額を提示したうえで、自宅は長男が受け継ぎ、現金は3姉妹が1人当たり約1000万円ずつ分け、その他の不動産や株等の財産は母親が相続する」ということで落着。わが子の教育費など何かと物入りであった3姉妹は、遺産を現金で受け取ることに納得したため、ぶつかり合いもなくスムーズに済んだ。

それが、母親が亡くなったときも、当然のように1000万円もらえるものと期待していたのが、トラブルの原因となったわけだ。実際の話、母親が亡き夫から受け継いだ株・不動産は、信用取引の失敗や賃貸収入の激減によってほとんど消えてしまい、3姉妹に1000万円ずつ残すなど不可能であった。かくして、資産家でもなく、法的には問題のない遺言公正証書があっても、骨肉相食むような事態になってしまったわけだ。

遺言書があるのに深刻なトラブルに(写真はイメージです)

決め手は“良い”遺言書を書く

よく、争族を避ける確実な方法として「遺言書を書いておく」といわれるが、上記の事例では解決法になっていないようにみえる。だが、江幡さんはこのケースについて「最大の問題は、お母さまの遺言が3姉妹の遺留分を侵害するものだった。3姉妹の不満は、法的に正当といえるのです」と指摘する。

「遺留分」とは、民法で定められている、一定範囲の相続人なら最低限受け取れる財産を保障する制度。母親にこの知識がなかったのか、遺言でゼロにしたのはまずいが、もともとの遺産が500万円では、1000万円を要求する3姉妹にも無理がある。結局、長男が、手元にあったなけなしのお金を3人の妹に支払い、形ばかりの解決となったが、遺恨は解消されないままだ。

このケースをふまえ江幡さんは、「“良い”遺言書を書くこと。この一点に尽きます」と力説する。

「実際に遺言が執行される場面で、子どもたちや親族たちがどのようなことを主張するか、具体的にイメージする必要があります。場合によってはその解決に必要なお金も遺産としてとっておくべきでしょう」

また、何か考えや想いがあって、相続人の誰かが不満を抱くような分割をする場合、その理由を遺言書のなかで丁寧に述べるようにとも。これが、争族を未然に防ぐ「特効薬」なのだという。

“良い”遺言書を書くことが何よりも重要(写真はイメージです)

争族を予防するために子ができること

統計的にみると、遺言書を作成する人の割合は10人に1人。

私事になるが、筆者の親も大勢を占める「遺言書を書かない派」(?)の1人だ。先日、久しぶりに帰省し、80歳を過ぎて足腰の衰えが目立つ老親にそれとなく遺言書の作成を促したが、面倒なのかまったくその気がない。

主たる相続人の立場である子どもは、将来の争族を避けるためにも、どのようなアクションをとるべきだろうか? 江幡さんは、次のようにアドバイスする。

「やはり親と近くに住んでいることは大きくて、近くに住んだ子供が多く相続することが大半です。よって親とのコミュニケーションは大事と言えるでしょう。とはいえ、その気の無い親に遺言を書いてもらうのは大変なことです。親が体調を壊したりしたときに心変わりして遺言を書く気になる時があります。そういうときに迅速に動いてあげられるようにしておきたいところです。

また、親が信用している人、例えば友人などから促してもらうのも手です。もちろん距離を詰めすぎて、逆に親の逆鱗に触れることもあるので注意する必要はありますが。親は遺留分に配慮した遺言を作成する必要がありますし、法的拘束力はないとはいえ、付言事項もやはり、きっちりなぜ兄弟間で相続される金額に差があるのか明確に記すべきです。離れていても、兄弟間の人間関係を良好に保つ努力は必要です。親の介護・面倒を近くにいる兄弟がキッチリ見ることで、『兄貴が親の面倒を見たから仕方ないよな』と他の兄弟に思ってもらう『世論づくり』も大事だと思います」

就職・結婚などで距離が離れてから、親や兄弟姉妹とは疎遠になる一方になっていないだろうか。なんとなく面倒という気持ちがあるかもしれないが、家族間のコミュニケーションを保つことは、将来の争族を防止するためにも大きな意味を持つことがわかる。江幡さんのアドバイスで、「はっ」と思い当たる方は、リモート帰省でもよいので、たまには顔を見せてあげることから始めてみよう。

江幡吉昭さん プロフィール
大学卒業後、住友生命保険に入社。その後、英スタンダードチャータード銀行にて最年少のシニアマネージャーとして活躍。2009年、経営者層の税務・法務・財務管理・資産運用を行う「アレース・ファミリーオフィス」を設立。以降、 4000 件以上の相続案件を手がけた「相続のプロ」。また、「一般社団法人相続終活専門協会」を設立し、代表理事 に就任するほか、遺言・相続情報のポータルサイト「遺言相続.com」の運営も手がける。著書も複数出しており、『プロが教える 相続でモメないための本』が最新の著書。

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文/鈴木拓也(フリーライター兼ボードゲーム制作者)

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