テレビCMなどで「リコール対象製品のお知らせ」を目にしたことはないだろうか。そのイメージから「リコール」と聞くと“自主回収”をイメージする人も多いはず。しかし、リコールの意味はそれだけではない。例えば、政治のニュースでも「リコール」という言葉が登場することがある。
そこで本記事では、そもそも「リコール」とはどのような言葉なのか、意味や場面ごとの使い方を解説する。リコール対象になった場合の確認方法や、対処法も併せて紹介したい。
リコールとはどんな意味?
そもそも、「リコール」とは何を意味する言葉なのだろうか。由来となっている英語「Recall」の意味からチェックしていこう。
4つの意味を持つ英語「Recall」
英語の「Recall」は、「Re(再び)」+「call(呼ぶ)」を組み合わせた単語。このことから、以下の4つの意味を持っている。
1.「呼び戻す」「召喚する」
2.(記憶を)「呼び起こす」(「記憶」自体を意味する場合も)
3.(呼びかけて)「回収する」
4.(召喚して)「解散する」「解任」「撤回」
日本では主に「自主回収」「解散や解職」を指すことが多い
カタカナ語である「リコール」は、上述した英語の意味の3と4の影響を強く受けている。日本で「リコール」と言われる場合のほとんどは、「(商品や製品の)自主回収」もしくは「(議会などの)解散や(役職の)解職」を指す。
一説には、英語の「Re」には「(後ろに)戻る」というニュアンスが含まれるため、“元の良い状態に戻す”との意味を込めて、ネガティブな場面で「リコール」を好んで使うようになったとも言われている。
商品、製品リコールの基本
商品や製品に欠陥が発見された場合、製造者はその事実を消費者に公表して回収し、無料修理や交換、返金を行う。企業が自主回収を実施する際の判断基準は以下のとおり。
・欠陥が引き起こすと予想される被害の程度
・法令で定められた基準
・社会的影響(コンプライアンスや企業のブランドイメージへの影響)
実は、日本の法律では、リコールについて製品の分野全体に共通する明確な定義はない。各分野で定められた制度が用意されており、担当省庁や根拠となる法律も異なる。
家電など、消費生活に関するもの
「消費生活用製品安全法」では、経済産業大臣がリコール(危害防止命令)を命じる権限を有し、発動した際は公表しなければならないと規定されている。ただし、この適用は過去に3件しかなく、ほとんどは業者による自主回収だ。
自動車やバイクなど、車両関係
毎年およそ300件以上と、報告件数が多い車両関係のリコール。国土交通省令で規定する「道路運送車両の保安基準」に適合しないとメーカーが認める場合や、設計・製造過程に起因する欠陥が見つかった場合、メーカーが自主判断で国交大臣へ事前届出を行い実施する。なお、これは車両や部品だけでなく、タイヤやチャイルドシートにも適用される。
医薬品や食品など、医療や衛生に関するもの
人命に大きく関わる医薬品や食品関係では、商品本体の異常だけでなく、ケースや容器などの欠陥、ラベルの表記や印字のミスでもリコールが実施されることがある。
医薬品や医療機器は、健康への危険度の程度により、以下のようにクラス分類されている。
クラスI:重篤な健康被害又は死亡の原因となりうる状況。
クラスII:一時的もしくは医学的に治癒可能な健康被害の原因となる可能性がある、または重篤な健康被害のおそれはまず考えられない状況。
クラスIII:健康被害の原因となるとはまず考えられない状況。
食品では、食品衛生法や食品表示法に違反する、またはその疑いのあるものについて事業者の自主判断で実施される。2021年6月からは、行政(最寄りの保健所を通じて厚労省)への届出が義務化される。
商品、製品がリコールになったら
近年では、自主回収の件数も増加傾向にあるという。誰でも対象になる可能性があるため、リコール製品の確認方法や対処法を覚えておこう。
どうやって確認する?
車両のように、購入時に所有者登録が必要なものの場合、販売店やメーカーから直接通知があるのが一般的だ。しかし、日用品のように購入者の履歴が残らないものは、消費者側からの確認しなければならない。
メーカーや各担当省庁の公式サイトでも確認できるが、消費者庁や国民生活センターからは管轄を越えたリコールのデータが公表されてて便利だ。
参考:消費者庁 リコール情報サイト
参考:独立行政法人国民生活センター 中央省庁からの情報
近年では、販売店が発行するポイントカードなどの購入履歴から、リコール対象者に通知を行う試みも進められている。
どう対応すればいい?
リコール対象であることが判明した場合は、すぐにメーカーに連絡しよう。リコールが行われる場合、費用の消費者負担はない。基本的にはリコール対応に期限はないため、対象になっていることに気付くのが遅れた場合でも、まずはメーカーに連絡取るようにしよう。