「サスティナブルな社会」「サスティナブル企業」など、ニュースなどで最近よく耳にする「サスティナブル」という言葉。直訳すると「持続可能な」という意味だが、具体的にどういったことを指すのか今一つ理解できないという人もいるのではないだろうか。
本記事では新型コロナウイルスの影響で世界的に様々な不安が指摘されている昨今、ますます注目が集まる「サスティナブル」という言葉について、その由来やそれにまつわる社会的な取り組みについて解説する。
サスティナブルとはどういう意味?
まずは、「サスティナブル」という言葉がそもそもどこから来たのか、どうして今のように広まったのかを解説したい。
元々はサスティナブル(sustainable)という英語が由来
サスティナブルとは、元々英語で「sustain(持続する)」と「able(~できる)」という二つの単語から成る「sustainable」に由来している。つまり、「持続することができる」という意味を持ち、「サスティナブルな社会」であれば、環境を壊さず、限りある資源を使い切らないよう、将来にわたって持続していける社会のことを指している。
よく似た言葉で「sustainability(サスティナビリティ)」というものもあるが、こちらは「持続可能性」という意味の名詞。基本的に、「持続可能な~」のように後に言葉が続くならサスティナブル、「~の持続可能性」のように文章の最後に来るならサスティナビリティ、といった使い方をすることが多い。
環境破壊や異常気象が世界中で問題になる中、サスティナブルな社会に向けた取り組みが世界中の国や企業で注目されており、身近な所では2020年7月から実施されたレジ袋の有料化や、大手カフェチェーンでストローの素材がプラスチックから紙に変わったこともその一例だ。
広まったきっかけは?
1987年、国連が提唱した「Sustainable Development(持続可能な開発)」という概念によって、少しずつ注目を集めていた「サスティナブル」という言葉。取り組みが大きく広まるきっかけとなったのは、2015年9月に国連で採択されたSDGs(エス・ディー・ジーズ)だ。これは、「Sutainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略で、国連に加盟する193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標のこと。
「貧困をなくそう」「気候変動に具体的な対策を」など17の大きな目標と、それを達成するための169の具体的なターゲットから構成されている。このSDGsをもとに各国がそれぞれ目標達成に向けての取り組みを開始し、世界中に広がりを見せることとなった。
サスティナブル建築物等先導事業とは?
日本において、CO₂は全体のおよそ3分の1が家庭や会社から排出されているという。そこで、2009年に「日本サステナブル建築協会」が設立され、省エネルギー、省CO₂などの環境性能に優れたサスティナブル建築の調査や研究が行われるようになった。
これに関連して、「サスティナブル建築物等先導事業」という制度がある。これは、省エネや省CO₂に優れ、先進的な技術を用いて建てられた一般住居などに補助金を交付するというもの。新築だけでなく、リフォームした建物も対象となっている。工事を行う事業主を通じて申請し、認められれば一定金額の補助金が助成される仕組みだ。
また、2年に1度、特に省エネ性能に優れ、環境負荷を低減すると認められた住居以外の建造物を選び、表彰された事例を「サスティナブル建築賞」として公表している。こうした取り組みを通じて、環境問題に配慮した建築技術の普及を進め、サスティナブルな社会の実現を目指す狙いがある。
サスティナブルな取り組みが注目されているファッション・アパレル業界
様々な分野でサスティナブルな取り組みが進められているが、特に顕著なのはファッション・アパレル業界だ。その取り組みはさまざまで、企業によって取り入れ方も異なっているが、主に以下のようなものが挙げられる。
・動物の毛や皮を素材に使用しない
・再生素材を使用する
・製造や原材料に関わる労働環境を調査し、適正なものにする
・自社ブランドの取引や安全性について消費者に公表する
・過剰生産し廃棄することを避けるため、受注生産を実施する
こういった取り組みは主に、Stella McCartney(ステラマッカートニー)やLevi’s(リーバイス)など海外のファッションブランドで多くみられるが、日本でもGU(ジーユー)やLOWRYS FARM(ローリーズファーム)が環境に配慮した素材を使用するなど、国内ブランドでも少しずつその取り組みが広がっている。
消費者ができるサスティナブルな行動
企業だけでなく、消費者ができるサスティナブルな取り組みもある。先に挙げたような企業の商品を選んで購入するのもその一つだ。他にも、以下のようなことを意識することも、サスティナブルな行動と言える。
・着られなくなった服をリサイクルに出す、フリマアプリなどで売って廃棄物を減らす
・新品ではなく古着を購入する
・流行りの服やファストファッションを大量に購入するのではなく、上質で流行に左右されないデザインのものを選び、大切に長く着る
・衣服の量を減らし、シンプルな色や形のものを身に着ける
こうした日常の小さな積み重ねが、サスティナブルな社会を実現するために大切なことだ。
文/oki