自動販売機の脇にあるボックス、普段どのように利用しているだろうか。きっと、多くの人は自販機で何かのドリンクを購入して飲み終わった後に、ペットボトルや缶を捨てていることだろう。また、時には手元にゴミがあった際に、捨てていることもあるかもしれない。しかし、実はそのボックス、「ゴミ箱」ではないのだ。
そこで今回は、その自動販売機の脇にあるボックスの正体と正しい利用方法を紹介する。
自販機横のボックスの本当の役割
結論から言えば、自販機横のボックスはゴミ箱ではなく「飲料容器専用のリサイクルボックス」である。
全国清涼飲料協会が一都三県の15歳~59歳の男女1,000人を対象に実施した「リサイクルボックスに関する消費者意識調査」では、自販機の横にあるボックスはゴミ箱ではなく、飲料容器専用のリサイクルボックスであることを知らなかった人は、42.4%にも上った。特に若者の認知度が低く、20代女性では66%が「知らなかった」と回答。
そして、ゴミ箱と勘違いしている人は、ペットボトルや缶以外のゴミが出た場合に、そのボックスに捨てると回答した人は52.9%にも上った。
しかし、リサイクルの現場では、リサイクルボックスに混入したゴミなどの異物によってペットボトルがリサイクルできずに燃やされてしまったり、リサイクル工程まで異物が紛れてしまうことで、効率の低下や品質の悪化につながったりと、リサイクルの妨げになっているという。
ゴミにとどまらず、こんなあり得ないものまで!
このリサイクルボックスには、ゴミのみならず、あり得ないものまで捨てられていたこともあったという。「リサイクル・プラザJB」副工場長 佐藤康史さんのコメントとともに見ていこう。
1.飲料用のプラスチックカップ・紙カップ
透明のプラスチックカップや紙カップは、コンビニやカフェなどでテイクアウトすると手に入るが、これらはリサイクルボックスによく捨てられているそうだ。しかし、実際は入れてはいけないものだという。
●リサイクル企業のコメント
「プラスチックカップはペットボトルとは素材が違うため、実は一緒にリサイクルできません。またリサイクル工程では機械での選別ができないため、すべて手作業で選別しています。そのためリサイクル効率の悪化につながります。飲み残しがある場合は匂いの原因にもなります」
2.ライター、モバイルバッテリー、スプレー缶
煙草に火をつけるためのライター、モバイルバッテリー、スプレー缶などもボックスに入っていることがあるという。もちろん、これらはボックスには入れてはいけないものだ。
●リサイクル企業のコメント
「これらは火災が発生する危険や、従業員の怪我にもつながる可能性があります。過去に、モバイルバッテリーのショートにより発火し、選別ラインが停止した事例がありました」
3.医療系廃棄物
在宅医療で使用するインスリン注射針などは、本来は医療機関に持ち込み廃棄となるが、リサイクルボックスに入ってくることがあるという。
●リサイクル企業のコメント
「リサイクル選別工程作業中に、針が刺さった場合は、感染症など人命に関わる重大な事故に発展する可能性があります。こちらで確実に選別しますので、リサイクルペットボトルへの影響はありませんが、絶対にやめて欲しいと思います」
4.様々な異物
髭剃り、リモコン、水筒、フライパン、鉄アレイ、懐中電灯など、ありえないこれらの異物もボックスに入っていることがあるという。
●リサイクル企業のコメント
「このような異物は従業員の怪我の発生や設備の故障による工場の稼働停止など、リサイクル効率の悪化につながります」
自動販売機横のリサイクルボックスの正しい利用法!貢献するには?
実態を知ると、リサイクルボックスの正しい利用法を認識し、貢献できる行動を取りたくなってくる。正しい方法を見ていこう。
●自動販売機横のリサイクルボックスの正しい利用法
・飲料空容器(ペットボトル・缶・ビン)以外は入れない。
・キャップは必ず外してから入れる。
・ラベルは、できればはがす。
・洗浄はなしでOKだが、飲み残し・異物を入れるのはNG。
リサイクル会社は、次のように解説する。
「自動販売機の横のリサイクルボックスの場合、ラベルはがしと中の洗浄は可能であればで結構ですが、必ず守ってもらいたいことがいくつかあります。
まず、リサイクルボックスはゴミ箱ではないので、飲料容器である缶・びん・ペットボトル以外を入れるのはやめてください。次に、必ず中身は空にした状態で入れてください。
この2つは多くの人が取り組んでいますが、実はもう一つ、捨てる前に必ず行って欲しいこととして『キャップ外し』があります。実は、リサイクルボックスにペットボトルを入れる際、リサイクルに大きく貢献できるのがこの『キャップ外し』です。キャップを閉めたままの状態のペットボトルは体積が大きく、収集車で潰すことができないため、回収作業の効率を下げてしまいます。また、収集車内で圧力がかかったペットボトルが破裂し、内容物で周囲を汚してしまったり、作業員がケガをしてしまったりなどのトラブルが発生する原因にもなっています。これまであまり知られてきませんでしたが、『キャップ外し』を行うだけで、回収の効率が大きく上がります。持続可能な社会の実現のため、皆様のご協力をお願いいたします」
自動販売機横のリサイクルボックスには、ゴミは一切入れず、しっかり飲み切った飲料容器だけを入れよう。キャップがある場合は外すことでリサイクルに貢献できる。ぜひ実践しよう。
取材・文/石原亜香利