イワシの頭を飾る、豆をまくのと同じく、恵方巻を食べるのは節分にやる風習の一つです。恵方巻を食べる方角は年によって違いますが、2021年はどの方角を向いて食べれば良いのでしょうか。節分の由来や豆まきの意味とともに解説します。
2021年の恵方はどっち?
節分の時期になると、スーパーやコンビニでは恵方巻が売られます。恵方巻は、節分の楽しみの一つではないでしょうか。
恵方巻を食べる際に気になるのが「どっちの方向を向いて食べるか」です。2021年の節分は、どの方角を向いて恵方巻を食べたら良いのかを解説します。
2021年の方角は南南東
恵方とは、陰陽道において『歳徳神』という神様がいるとされる方角です。歳徳神とは、金運や幸運を司る神様を指します。
恵方は吉方ともされ、その方角を向いて事に望むと吉と出るとも言われています。
恵方は毎年変わります。2020年は西南西でした。そして2021年は、『南南東が恵方』とされます。恵方巻を食べる際は、この方向を向いて食べるようにしましょう。
恵方の決め方にはルールがあった
恵方は毎年変わります。ですがその方角は、ランダムに決まっているわけではありません。恵方はあるルールに基づいて決定されています。
それは、その年の『十干』です。十干は、陰陽道における五つの元素である「木・火・土・金・水」と「陰・陽」の組み合わせの10パターンに分かれ、『甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸』の10種類があります。
この十干によって恵方が決まります。2021年の十干は『辛(かのと)』であり、辛の年は、恵方は南南東と決まっています。
恵方巻の食べ方とは
恵方巻を食べるに当たり、自分の好きなように食べて良いというわけではない点は注意しましょう。きちんと恵方の恩恵を受けられなくなってしまいます。そうならないよう、恵方巻を食べる際のルールについて解説します。
恵方巻は切らずに食べる
恵方巻は、人数分を用意しましょう。家族が4人ならば、用意する恵方巻は4本です。1本まるごと食べるのは、幸福を一気にいただくという意味合いが強いとされています。
そして、切らずに食べることがルールです。
恵方巻を切ることは、『縁を切る』ことに通じてしまい、良縁を断ってしまうからだと言われています。
コンビニなどでは切られた恵方巻も売っているので、完全にNGというわけではありませんが、ジンクスが気になる人は切らずに食べるのが吉と覚えておきましょう。
恵方を向いて食べる
恵方には『歳徳神』という神様がいるとされています。日本では、「歳徳神のいる方角に向かって事を行えば万事吉」とされていて、初詣や節分のお参りは、自宅から見て恵方の方向にお参りをするという習わしがあるのです。
恵方巻を恵方を向いて食べるという風習も、この「歳徳神のいる方角に向かって事を行う」というところから来ています。
幸運を招けるように、恵方を確認してから恵方巻を食べるようにしましょう。
食べ終わるまでしゃべらない
恵方巻を食べている間は、しゃべらないのがマナーです。口から恵方巻を離すと、そこから福が逃げてしまうと言われています。歳徳神の福をきちんと授かるためにも、恵方巻を食べている間は、しゃべらないように心がけましょう。
また、しゃべらない理由としては他にも、願い事に集中できないからというものが挙げられます。
例えば、神社やお寺に参拝して願い事をする間、誰かと会話する人はまずいません。目をつむって、無言で、心の中で願い事を唱えることに集中しましょう。
食べている間、口から離さないためにも、最初に醤油をたっぷりつけておくのもポイントです。
節分と恵方巻の関係
「節分の日には恵方巻を食べる」というルールは、当たり前のように日本に浸透していますが、そもそもなぜ恵方巻を食べるという風習が生まれたのでしょうか?
節分と恵方巻にどのような因果関係があるのか、またどうして節分には豆をまくのかについてもあわせて解説します。
恵方巻の由来は諸説あり
恵方巻の由来にはいくつかの説があります。
江戸時代に、節分の時期にゲンをかついだとする説や、幕末から明治時代にかけて大阪の商人や芸子が商売繁盛や節分をお祝いする際に食べたとする説、船場の旦那衆の遊びだったとする説などさまざまです。時代も場所も説によって異なります。
ただ、かつては恵方巻という名称では呼ばずに、『太巻き寿司』や『まるかぶり寿司』と呼ばれていました。恵方巻という言葉が浸透したのはかなり近年になってからで、1980年代の末期に、大手コンビニチェーンが販売する際に名付けたのがはじまりと言われています。
そもそもの節分は四つの季節の別れ目
節分とは「節を分ける」という字の通り、季節の分かれ目のことを指します。冬以外にも、春夏秋すべての季節に節分はあります。
節分の翌日は『立春』です。立春とは1年を24に分けた『二十四節気』の最初の節気に当たります。節分とは立春の前の日のことを指すので、立春の日にちが変われば、節分の日も変わるのです。
2021年の立春は2月3日であるため、節分の日は例年より1日早い2月2日となります。間違えないように気を付けましょう。
豆まきをする理由
豆まきは、元々中国から伝わった風習とされています。「豆」は「魔滅(まめ)」に通じ、魔を滅するとされてきました。魔とは鬼のことで、昔から日本では、病気や怪我、不作や天災などの悪いことは鬼の仕業だと考えられてきました。豆をまくことで鬼を遠ざけるということから、無病息災を祈る意味に転じたのです。
豆まきに使うのは炒った豆が良いとされています。炒るは「射る」に通じ、魔を射貫く意味があります。また、五行節では金は火に弱い関係にあります。鬼や豆は金に属するので、炒ることで魔を射る力を高めるという意味も含んでいます。
豆まき前には、升に豆を入れて神棚に供えておくことで、鬼を退治する力が増すとされているので、神棚が家にある場合はぜひ準備しておきましょう。
恵方巻を自宅で作るには?
恵方巻を自宅で作る際には、どんな具材を使えば良いのでしょうか。基本的なレシピやアレンジについて解説します。
七福神を模した基本のレシピ
恵方巻の基本レシピはシンプルです。白米(あるいは酢飯)に具材を乗せて、焼き海苔で巻いていくだけです。巻くために必要な「巻きす」という道具は、最近は100均でも見かけることがあり、入手難易度はそれほど高くありません。
恵方巻に使う具材ですが、基本は7種類が良いと言われています。その理由は、七福神と同じ数だからです。具材自体は、これでなければいけないという決まりはありませんが、元々は江戸から幕末にかけてをルーツとするという説が濃厚なため、その頃から使えたものが定番のようです。
- かんぴょう
- しいたけ
- だし巻き
- ウナギ
- 桜でんぶ
- エビ
- きゅうり
などがよく使われる具材です。
さまざまなアレンジもおすすめ
具材の数や種類は、上記で紹介した通りでなくても問題はありません。好みに応じてさまざまにアレンジしてみましょう。
ただ、七つも使うとなると組み合わせによっておいしさが変わってくるかもしれません。そうしたときには、統一性やテーマを考えてみるのもおすすめです。
まぐろやウニ、イカなどの素材を使って海鮮丼風味に仕上げてみたり、牛肉とサラダ菜で焼き肉風にしたり、ウインナーを入れて子どもが喜ぶレシピにしても良いでしょう。
自分の家だけのオリジナルな恵方巻を考えてみるのも、家で作る際の楽しみと言えます。
構成/編集部