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燕三条の切れ味はやっぱり凄い!ブロック肉も両断できちゃうTOJIRO×TSBBQの軽量包丁

2020.12.15

2020年は「ソロキャン」ブームが発生した。

それまでキャンプというものは、複数人でやるものだった。いや、そのような固定観念があったと表現するべきか。が、キャンプはもっと自由であってもいいはずだ。どんな分野でも、固定観念が崩れ去った瞬間に新しいものが生まれる。

一方で、変わらない部分も存在する。大人数だろうとソロだろうと、刃物で食材を切るという行為が消えることはないはずだ。

今回は、日本有数の「金物の町」新潟県三条市の包丁を試してみたい。

「工」と「商」が栄えた燕三条

製品検証を始める前に、今回の製品を生産した土地について解説する必要がある。以下の記述は話が飛躍していると思われるかもしれないが、どんな製品にも必ず「故郷の風」というものが染みついている。それは無視することのできない要素だ。

新潟県三条市は、刃物を含む金属加工産業でその名が広く知られている。

江戸時代は農具や大工道具、建築用の釘を全国に供給する地域として機能し、同時に三条出身の商人が全国を行脚した。自動車も鉄道もない時代だから、「行脚」は文字通りである。

三条市と隣の燕市は、現代でも「実業家を輩出する地域」と言われている。そう、ここは「工」と「商」の町なのだ。

三条市が生んだ著名人と言えば、プロレスラーのジャイアント馬場である。

若い頃は読売ジャイアンツに投手として在籍していたこともあるこの人物は、実は三条商人の子孫らしい才覚を持っていた。

野球選手として大成しなかった馬場正平は、前々からプロレス転向を持ち掛けていた力道山の道場に入門し、1年3か月後にアメリカへ渡る。アジア人離れした巨体を持つ馬場は、東海岸地域でも五大湖地域でも引っ張りだこのスターになった。

力道山の死後、マネージャーのグレート東郷から「このままアメリカに残れ」と言われ、同時に提示されたギャラは年27万ドル。時は1964年、1ドル=360円の固定相場だった頃だ。ちなみに、64年度の巨人軍長嶋茂雄の年俸は1400万円だった。つまり、この時の馬場は巨人軍ですら出せないほどのギャラを望める選手だったのだ。

しかし馬場は、グレート東郷に差し出されたこの契約書を蹴っている。絶対的権力を持っていた力道山はこの世を去り、あとに残されたレスラーはいずれも馬場ほどの集客力を持っていない。目先の27万ドルにつられるよりも、日本プロレス興業株式会社の経営を先輩の豊登や芳の里に任せつつ祖国のリングで戦ったほうが、のちのち自分にとって有利に働くと考えたからだ。

学歴を積んで名の知れた企業に就職し、定年まで勤め上げるのが人生の王道と思われていた時代、三条の青果店の次男坊は自身の能力、状況、今いる土地の気質、近い未来の展望を冷静に分析し、前例に縛られない方法のビジネスを日米間で展開していた。「三条商人とは何か?」と問われたら、以上に書いたことがその回答になるのではないか。

ブロック肉を断ち切れる軽量包丁

新型コロナウイルスの影響で、あらゆる分野の産業が縮小を余儀なくされる現在。

そんな状況で、クラウドファンディングに資金など集まるのか? そもそも、このような時世に新製品を投入するのはあまりに無謀なのではないか? 商才のない筆者はついそう考えてしまうが、プロジェクトを出している側に言わせれば「今だからこそ」ということなのだろう。

今現在の空気を考慮しつつも目先の利益に飛びつかず、来年あるいは再来年の光景を見越してこの行動に踏み切る。それこそまさに、ジャイアント馬場のような三条商人の子孫が得意とする展開だ。

さて、今回筆者が取り寄せた製品は三条で作られたもの。クラウドファンディングMakuakeのページでは『アウトドア料理が極まる。TSBBQ×藤次郎、燕三条が本気で作った3種の包丁』という題がつけられているが、これで肉を切ってみたい。

まずは当該の製品を手に取ってみる。鎚起銅器をモチーフにしたというハンドルは、持つとかなり太く力強い印象。にもかかわらず、重量自体は決して大きくない。特に手首を返した時、まるで何も持っていないかのような軽さである。

今回は近所のスーパーマーケットで買った牛バラブロックをカットしてみよう。軽い分だけ「本当に切れるのか?」という疑問が湧いてしまうが、それは余計な心配だった。

軽いということは、己の力を込めやすいということだ。腕から発せられる圧力が直接包丁に伝導する感触、これは一体どう書けばいいだろうか。気がつけば、赤身も脂肪も綺麗に断ち切られている。

下手に重量のある包丁よりも、この製品を1本台所のどこかに置いておいたほうがよほど便利だと筆者は確信する。昔の香港映画に出てくるような肉屋の包丁では、このような綺麗な断面にはならないだろう。

1本の包丁がもたらす「変革」

「今だからこそ、これが人々に求められるはずだ」

モノを提供する会社の経営者は常にそう考えているが、その先の結果は運と時世と才覚に左右されることは言うまでもない。が、筆者はあらゆる製品を検証する物書きとして「これがあれば間違いなく人生が楽しくなる!」と感じることが多々ある。

2020年を生きる我々は、キャンプに対して新しい概念を導入できるということを目の当たりにした。そして、そこで使える道具にも魅力的なものがあり、誰もが購入できる場所に並べられている。1本の包丁が新しい文化様式を作り、新しい形のビジネスを成功させ、新しい価値観を我々にもたらすこともある。

それはまさに、三条商人の子孫たちが瞼の裏に描いている理想の光景だ。

※クラウドファンディングには立案会社の問題でプロジェクトが頓挫する可能性や支援金が戻らなくなるリスクも稀にあります。
出資に当たっては、読者様ご自身でご判断いただきますようお願い致します。(編集部)

【参考】
アウトドア料理が極まる。TSBBQ×藤次郎、燕三条が本気で作った3種の包丁-Makuake

取材・文/澤田真一

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