約196万人が暮らす北海道最大の都市・札幌市。同市において住民から愛される街やショッピングに便利な街、教育環境が充実している街はどこなのだろうか?
リクルート住まいカンパニーではこのほど、札幌市に居住している人を対象に実施したWEBアンケート形式による、「SUUMO住んでいる街 実感調査2020 札幌市版」を集計したので、その概要を紹介していきたい。
[札幌] 住民に愛されている(駅)ランキング
・上位10位までの駅はすべて中央区で、特に札幌駅西側エリアの駅が上位にくる傾向に
・1位「静修学園前」3位「西線9条旭山公園通」5位「西線14条」など札幌市電の駅が多くランクイン。「徒歩や自転車での移動が快適だ」など周辺利便性の高さで高評価
・6位「バスセンター前」は今も開発が進むエリアということで「今後発展しそう」で高評価
・高級住宅地として知られる「円山公園」は2位。その周辺エリア駅の4位「西18丁目」7位「西28丁目」が「資産価値がありそう」「人からうらやましがられそう」などを背景にランクイン
「住民に愛されている街」上位の注目の街をPick Up
■1位:下町情緒が残る山鼻エリアの街「静修学園前」
札幌市内でも早くに開拓された山鼻エリアにある静修学園前。代々この地区で暮らす人も多く、街並にどこか懐かしい雰囲気が残っている。札幌まつりや豊平川での花火大会、行啓通商店街のお祭りなどは地域の人はもちろん、遠方からも大勢の人が集まる交流の機会となる。
市電のほか、地下鉄南北線で大通にアクセスしやすい点も魅力だ。札幌コンサートホールKitaraや豊平川も徒歩圏。利便性や自然、文化などさまざまな楽しみ方ができる街だ。
■2位:都心へアクセスしやすく自然も豊か。あこがれを集める「円山公園」
地元の情報誌やテレビの情報番組で何度も紹介されるなど、あこがれの街として不動の人気を誇る円山公園駅周辺。おしゃれなカフェや有名レストラン、個性的なセレクトショップのほか、昔ながらの市場や老舗もにぎわっている。
大通駅までは地下鉄で3駅、徒歩や自転車でも都心へのアクセスがしやすい。札幌有数の桜の名所でもある円山公園や北海道神宮など、四季折々の自然も楽しめる立地は、オンもオフも充実する暮らしが叶う。
■6位:再開発で住みやすさと注目度がアップする「バスセンター前」
かつて工場地帯だった創成川の東側は、再開発によって商業施設やマンションが増え、近年は個性的な飲食店やギャラリーなども進出。レトロな街並と新しい建物が混在する独特の雰囲気がある街は「創成川イースト」と呼ばれ、若い世代を中心に注目されている。
都心に職場がある人は、地下通路を使って天候を気にせず徒歩で通勤できる利便性も魅力。現在は、地下鉄駅北側のエリアからは徒歩圏のJR苗穂駅前でも、新たな街づくりが進められている。「今後発展しそう」を選んだ人も多く、将来への期待感が高い街だ。
徒歩での買い物が便利だと感じる街(駅)ランキング
<ランキングのポイント>
上位10位は、駅から徒歩10分圏内に大型スーパーやショッピングセンター、ドラッグストア、コンビニが点在している街。多くは徒歩で日常の買い物がしやすい街だが、1位のバスセンター前は複合商業施設のサッポロファクトリーが、8位の札幌はJRタワーや大丸百貨店、東急百貨店があり、食品や日用品以外の多彩な買い物も楽しめる。
■注目の街をPick Up
<2位:東札幌>
地下鉄東西線の東札幌駅周辺は、再開発によって2008年に複合商業施設のイーアス札幌(現在のラソラ札幌)がオープンし、以降、マンションが増えるなど活性化につながった。
ラソラ札幌内のマックスバリュや地下鉄駅そばのイオンの営業時間は夜23時まで。仕事で帰りが遅い日の買い物や、休日のまとめ買いも徒歩圏内で便利だ。
また、にぎやかな南郷通沿いにはベーグル専門店や高級食パンの店、幹線道路からはずれた住宅街にも総菜パンの豊富なベーカリーがあるなど、パンの店が多い街でもある。
<10位:琴似>
JR函館本線のほかエリアによっては地下鉄東西線も利用しやすい琴似の街。JR琴似駅はイトーヨーカドーが、地下鉄琴似駅はイオンが直結。雨や雪の日の仕事帰りに、地下鉄駅から外へ出ずに買い物ができる。
また、徒歩約10分のJR駅・地下鉄駅間は、さまざまな専門店や市場、カフェや居酒屋などの飲食店といった生活に密着した店舗のほか、クリニック、スポーツクラブ、学習塾、公共施設などが並ぶ商店街。昼も夜もにぎやかで、JRや地下鉄の駅周辺で、買い物や通院、行政手続きなど生活のほとんどをまかなえる便利な街だ。
教育環境が充実していると感じる街(駅)ランキング
<ランキングのポイント>
上位10位に入った街のうち多くを占めたのが中央区の街。地下鉄東西線の円山公園、西28丁目や、市電沿線の5つの電停がランクイン。これらは習い事や塾の選択肢が多い都心に近く、落ち着いた住宅街だ。1位には北海道教育大学札幌校のあるあいの里教育大が、そのほか、自然環境に恵まれた上野幌、森林公園もランクインしている。
■注目の街をPick Up
<1位:あいの里教育大>
北区に位置するあいの里は、昭和50年代から開発された住宅街。駅周辺に複数の市立小学校、北海道教育大学附属小中学校、隣駅には札幌市唯一の私立小学校の札幌三育小学校があり、小学校入学に関する選択肢が多いエリアだ。幼稚園や保育園、あいの里東中学校、高等支援学校も駅から徒歩圏だ。
また、子ども向けの英会話教室やスイミングスクール、学習塾なども点在している。JR札幌駅から乗車約30分弱の郊外に位置していることもあって、茨戸川緑地やあいの里公園など広い公園が多く、子どもがのびのびと遊べる環境に恵まれている。
<3位:西線16条>
中央区の市電エリアにある西線16条。円山や旭ヶ丘といった緑豊かなエリアに隣接し、電停周辺はマンションと一戸建てが混在する落ち着いた住宅街だ。電停近くには市立伏見小学校、市立伏見中学校がある。
徒歩や自転車でも行きやすい南22条通には、札幌市中央図書館のほかクリニックや学習塾、スポーツクラブなど子育てに必要な施設が集中。
また、市電1本で都心や地下鉄東西線にアクセスしやすい立地のため、都心の学習塾などのほか、市内の他のエリアの高校にも通いやすい点も魅力の街だ。
お祭りなど地域の交流が盛んだと感じる街(駅)ランキング
<ランキングのポイント>
上位10位中8カ所が中央区の街。特に、札幌で最も古くから開拓されたエリアのひとつ山鼻エリアにある行啓通、静修学園前、中島公園通、東本願寺前が上位を占めている。
3位の中島公園や5位の幌平橋も山鼻に隣接するエリアだ。7位の円山公園や8位の発寒南、10位の新琴似は地元の神社や商店街のお祭りなどでにぎわう。
■注目の街をPick Up
<1位:行啓通>
南14条を東西に延びる米里・行啓通と、市電が通る西7丁目通が交差する位置にある行啓通電停。大正12年に開通した市電の終点だったことから、周辺や行啓通商店街は大きく発展し、今も都心に近い住宅街として人気だ。
行啓通で開かれる6月の「行啓通ふれあい祭り」や8月の「行啓ふれあい盆踊り大会」は地域の人々の交流の場に。今年2月に第14回を迎えた「ゆきあかりin中島公園」には地元の山鼻小学校も参加するなど、新しいイベントも定着。また、近くで開催される札幌まつりや豊平川の花火大会も地域の人にとってなじみ深いイベントといえる。
<10位:新琴似>
札幌市北区に位置する新琴似。JR新琴似駅のほか、エリアによっては地下鉄麻生駅も利用できる便利な街だ。JR新琴似駅そばを石狩市方面に延びる新琴似四番通(樽川篠路線)を中心に、古くから住宅街が広がった。明治20年に創建された新琴似神社では春と秋にお祭りが開催され、神輿が街に繰り出す。
また、昭和41年から続く「新琴似中央夏祭り」など、古くから地域に根づく催しが多彩だ。YOSAKOIソーラン祭りで数多くの受賞歴を誇る「新琴似天舞龍神」の活動も、地元の人々の交流に一役買っている。
写真提供:(左)新琴似中央商店会、(右)YOSAKOIソーラン祭り組織委員会
物価が安いと感じる街(駅)ランキング、今後発展しそうと感じる街(駅)ランキング
<ランキングのポイント>
上位10位を手稲区と北区のJR沿線の街が多く占めた。手稲区は手稲が1位、稲穂が3位、稲積公園が8位にランクイン。JR手稲駅を中心に隣接する3駅の生活圏には複数の商業施設があり、価格競争が物価を下げているといえそう。
手稲駅そばの西友や総合食品スーパー・キテネ食品館のほか、ジェイ・アール生鮮市場や現金問屋、スーパーセンタートライアルなどが点在。北区はJR札沼線沿いの篠路、太平、百合が原と、麻生がランクイン。このエリアもビッグハウスやスーパーセンタートライアルなど複数の商業施設からその日の特売店を選んでの買い物がしやすい。
6位の環状通東、9位の平岸も地下鉄駅から徒歩圏内に複数のスーパーがある街だ。都心の中央区で唯一ランクインした行啓通は、量り売りの総菜店などがある行啓通商店街が地元で親しまれている。
<ランキングのポイント>
上位10位には、再開発の影響で注目を集める街が多くランクインしている。1位のバスセンター前は再開発によって人気の住宅街へと変貌し続けている街。6位の札幌周辺の大型再開発の影響もあり、5位の桑園、8位の北12条とともに、さらに期待度がアップしているといえそう。
2位の円山公園と7位の西28丁目は都心の利便性と自然環境のバランスが良く、人気の高い円山エリアの街。3位の大通はマンションが増え、今後もタワーマンションの供給が予定されていることから、暮らす街としての将来性が高まっている。都心立地の利便性の良さと、落ち着いた雰囲気が共通点の西線6条と幌平橋が4位と10位に。
9位の厚別は、ホテルやマンション、大学、医療施設などが誕生する大規模開発が進行中の新札幌エリアに隣接する街として、今後の活性化が期待される。
■札幌 拠点長コメント
SUUMOでは春に「住みたい街ランキング」を発表していますが、今回新たに発表させていただいたこの「住んでいる街実感調査」は、実際に住んでいる街について、住民の方に回答をいただいた結果です。
「住民から愛されている街は?」「徒歩での買い物が便利な街は?」「教育環境が充実している街は?」など生活者目線で気になる様々な観点を、ランキング化して発表いたしました。
街のイメージが先行する部分もある「住みたい街ランキング」と「住民に愛されている街ランキング」との差分に目をむけてみても興味深いです。例えば、住みたい街ランキング1位のターミナル駅「さっぽろ」は愛されている街の上位には入っていませんし、反対に、愛されている街では、 1位「静修学園前」 、 3位「西線9条旭山公園通」、5位「西線14条」などなど札幌駅から南西側の市電駅が多くランクインしており、日常生活の心地よさを感じられる項目で高評価を得ています。
今年は新型コロナの感染拡大によって、暮らす街で過ごす時間が延びています。実際の住民からの街の評価を、これからの住まい選び・街選びの参考にしていただければと思います。
出典元:株式会社リクルート住まいカンパニー
構成/こじへい