エレキベース(以下、ベース)で大きな音を出すには「アンプ」などのアイテムを使う必要があります。アンプとは、ベースやギターなどの楽器から出力された電気信号を増幅して音を出す装置。上達の手助けとなり、ベース演奏の楽しさを実感するために欠かせない機材です。今回は、ベースアンプの基礎知識や、自宅練習におすすめの製品を紹介します。
ベースアンプの仕組み
まずは、ベースアンプの仕組みをカンタンにご紹介。アンプは大まかにいうと以下の構造になっています。
[1]プリアンプ:ベースから出力された信号を加工し、音色を調整する。イコライザーやリバーブなどの内蔵エフェクトもここで追加。
[2]パワーアンプ:プリアンプで加工された電気信号を増幅。
[3]スピーカーキャビネット:増幅した電気信号を、空気振動(音)として出力。
なお、アンプは[1][2]の回路の違いで「真空管(チューブ)アンプ」と「ソリッドステート」に分けることができます。
■真空管アンプ……信号を真空管で増幅。温かでパワフルな音色が魅力なものの、定期的なメンテナンスや真空管の交換が必要。
■ソリッドステート……トランジスタなどの電子部品で信号を増幅。真空管アンプと比べて安価で扱いやすく、経年変化も少ないため壊れにくい。
■デジタルモデリングアンプ……真空管アンプなど、あらゆるアンプのサウンド特性をデジタル技術で再現する。近年数多く登場しているアンプのトレンド。
ヘッドとスピーカーが分かれたベースアンプとは?
プリアンプ/パワーアンプ/スピーカーキャビネットが一体となったものを「コンボ(ビルトイン)タイプ」、プリアンプ/パワーアンプから成るアンプヘッドとスピーカーキャビネットが分かれた構造のものを「スタック(セパレート)タイプ」と呼びます。
スタックタイプ(画像)は、アンプヘッドとキャビネットの組み合わせを変えられる面白さがあります。ベースアンプの場合、練習スタジオやライブ会場に置いてあるアンプの多くがスタックタイプなので、初心者の方でも目にする機会は多いかもしれません。
ギターアンプとベースアンプの違いとは?
アンプにはギター用とベース用がありますが、大まかな構造は同じなため、ギターアンプにベースを繋いでも音は出ます。ただし、ベースアンプはギターアンプよりも低い周波数が再生できるよう設計されていたり、ギター用と異なり歪ませない前提で作られていることが多いです。
そのため、ベースのポテンシャルを活かすにはベースアンプ(もしくはギター/ベース兼用アンプ)を使うのがベストといえます。ギターアンプにベースを繋ぐと機材に負担がかかる可能性もあるので、練習スタジオなどの借り物のアンプで行うのは絶対にNGです。
使い方で選ぶベースアンプの出力(ワット数)
ベースアンプを選ぶポイントは「出力(ワット数)」「スピーカー(大きさや数)」「機能(イコライザーのタイプや端子など)」「音の好み」「見た目」「価格」など。
なお、ベースアンプは音域ごとのブースト/カットが調整できるイコライザーが充実している機種も多いです。3~4つのツマミを操作する「パラメトリックイコライザー」や、それぞれの帯域に対応したスライダーを上下させることで細かな調整が可能な「グラフィックイコライザー」などがあります。
ヘッドホン端子? AUXイン? 自宅用におすすめのベースアンプとは
大は小を兼ねるといいますが、自宅用アンプの出力が大きすぎると近所迷惑になる可能性もあるので注意。自宅用であれば30W以下のアンプで十分でしょう。迫力のあるサウンドを楽しみたい方は50Wクラスもアリです。
夜にギターを弾きたい場合は、スピーカーから音を出さずにアンプサウンドが楽しめるヘッドホン端子の有無も確認しましょう。また、オーディオプレイヤーを接続できるAUXイン端子もあると便利です。
小規模な会場でのライブなら持ち運びやすい小型ベースアンプがおすすめ
カフェライブなど小規模な会場であれば、50W~100W程度で対応可能です。持ち運べるモデルもあるので、サイズや重量などを考慮した上で選びましょう。
多彩なアンプサウンドを楽しめるベースアンプシミュレーター
アンプを置くスペースがない方や、いずれは宅録(自宅レコーディング)をしたいと考えている方は、アンプで鳴らしたサウンドをデジタル処理で再現(シミュレート)する「アンプシミュレーター」もおすすめです。
主な種類は、レコーディングで役立つ多機能な「ラックタイプ」、小型で持ち運びやすい「フットペダルタイプ」、PCやスマホアプリの「ソフトウェアタイプ」など。定義については諸説ありますが、デジタルモデリングアンプがアンプシミュレーターの一種とされることもあります。
ベースアンプの定番メーカーは?
ベースアンプのメーカーは、Ampeg、Hartke、Fender、VOX、Peavey、Roland、EDEN、EBS、Blackstar、Ashdown、Orange、Markbass、Trace Elliot、GALLIEN-KRUEGER、TC Electronicなど、多岐にわたります。それぞれ個性や特長があるので、どれが良いのかは好み次第。好きなベーシストと同じメーカーを使うのも良いでしょう。
自宅用におすすめのベースアンプ&ヘッドホンアンプ
続いて、定番ブランドの製品を中心に自宅用におすすめのコンボタイプのベースアンプを5つと、手軽に使えるヘッドホンアンプをピックアップしました。
自宅練習におすすめのベースアンプ:VOX「PATHFINDER 10 BASS」
ギターアンプでもお馴染みのVOX(ヴォックス)Pathfinderシリーズのベースアンプ「PATHFINDER 10 BASS」。
10W出力とコンパクトながら、5インチスピーカーを2個搭載し、パワフルなサウンドを実現。2種類のサウンドを切り替えられるブライトスイッチなど、幅広い音作りができる点も魅力です。ヘッドホン端子も装備しています。
【参考】VOX公式サイト製品詳細ページ
ベースアンプなしで手軽に練習できるヘッドホンアンプ! VOX「amPlug2」
手軽に使える練習グッズが欲しい方にはVOX「amPlug2」がおすすめです。ベースのジャックに差し込んでヘッドホンと接続するだけで、アンプサウンドが楽しめます。
とても小さいので、持ち運びにも便利。また、練習に便利なリズムパターンを9種類内蔵しています。電池駆動で最大17時間まで使用可能。
【参考】VOX公式サイト製品詳細ページ
自宅練習におすすめのベースコンボアンプ:Orange「Crush Bass 25B」
ドライブ感のあるサウンドとステージ映えするデザインでロックベーシストからの人気が高いOrange(オレンジ)のベースアンプ。
「Crush Bass 25B」は、家庭用におすすめの25W出力のコンボタイプ。クロマチックチューナーやヘッドホン端子、AUXイン端子を備え、自宅練習にピッタリの一台です。
なお、ストレイテナーやNothing’s Carved In Stoneなどでお馴染みの日向秀和さんのアーティストモデル「Crush Bass 25B HINATCH」もラインナップしています。機能性はそのままに、トレードマークの「極」ロゴをスピーカー部にデザインした特別仕様です。
【参考】オレンジ公式サイト製品詳細ページ
自宅練習におすすめのベースアンプ:Fender「Rumble LT25」
ベースの名機を数多く発表しているFender(フェンダー)。ベースアンプのラインナップも豊富ですが、今回は自宅向けの「Rumble LT25」を紹介します。
本機は多彩なアンプサウンドを奏でられるモデリング系アンプで、伝統的なフェンダーアンプをはじめ、様々なトーンを再現。計50個のプリセットを利用可能で、エフェクトも20種類と豊富です。USB端子を使用して、録音やファームウェアのアップデートも可能です。
自宅練習におすすめの小型ベースアンプ:Roland「MICRO CUBE BASS RX」
Roland(ローランド)は世界的に有名な電子楽器メーカー。ローランド・グループのブランドBOSSのチューナーやエフェクターなど、ベーシストにも馴染みが深いです。
「MICRO CUBE BASS RX」は、軽量で持ち運びやすい小型アンプ。ベース用に設計された10cm(4インチ)のカスタムスピーカー4基を搭載し、コンパクトながら迫力のある音圧感を実現します。また、COSMアンプとデジタルエフェクトにより、エフェクターなしでも多彩な音づくりが可能に。リズムガイドやチューナー、AUXイン端子など、練習に便利な機能を豊富に備えています。
※データは2020年11月中旬時点での編集部調べ。
※情報は万全を期していますが、その内容の完全性・正確性を保証するものではありません。
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文/bommiy