「ハンズフリー」とは、どういう状態か?
手を使わないで何かを操作できる状態、あるいは両手に何も持つ必要がない状態であることは言うまでもない。が、その間にスマホはどこへしまっておくのか? バッグの中か、あるいはズボンのポケットの中か。
後者だとしたら、それは少し不便ではないか? と筆者は邪推してしまう。近年、大型化が著しいスマホは、ポケットの容量に必ずしも合致しない。首尾よく入ったとしても、その違和感にウンザリしてしまう人もいるのではないか。
だったら、ウエストポーチを活用してみよう。が、ここに書くウエストポーチとは登山の時に着けるようなものではない。それよりも幾分かスタイリッシュなものだと、筆者は確信している。
無名メーカーの皮革製品
さて、今回の製品はAmazonで購入したものである。Luufanという、読者のみなさんにはあまりなじみがないであろうメーカーのウエストポーチについて解説したい。
筆者がこの製品を購入したのは2020年9月。そこから毎日ベルトに通して使用している。
Amazonの出品ページの説明文によると、
“高級イタリア産本革:イタリア産の本牛革を厳選して仕上げたこのバッグは、耐久性、見た目、手触りに優れています。また、高質の金具プラス一流の革職人がしっかりとした手縫い、適当にお手入れすれば、このベルトバッグは少なくとも20年使用可能です”
とのことらしい。いくら何でも、ホントかよ!? 2380円で売られているこのポーチがもし20年も使えるなら、コスパ面ではこれ以上ないものだと思うが……。
が、もしも数日で壊れたとしても、2380円であり、決して大きなダメージではない。というわけで、筆者も果敢な姿勢でこの製品に臨んでみる。
意外な機能性
このポーチに驚かされたことがいくつかある。
まず、縫製が思った以上にしっかりしていること。今のところはまったくほつれが発生していないし、決して優しいとは言えない筆者の使い方にも十分に耐えている。ベルトを通す部分が若干伸びているが、これは革の性質だからやむを得ないだろう。
それに、ポーチ自体のサイズ感が適切というか、「よく考えられてるな」という気がする。スマホ1台といくつかのカードが入るパスケースを入れるために作られたもので、それ以上大きいものは想定されていない。が、キャッシュレス決済が浸透する現代においてこの容量は都合がいい。
「高級イタリア産本革」という部分は今も謎だが、決して粗悪な製品ではないことは断言できる。
筆者は二輪車に乗るから、こうしたポーチにどうしても頼らざるを得ない。実際、ガソリンスタンドなどでクレジットカードを取り出すのに、このポーチは意外な機能性を発揮する。素早く取り出すことができ、それをポーチの中に戻して口を閉じる。ズボンのポケットに入れるよりも、遥かに安全だ。
数年後には「財布」がなくなる!?
今回紹介した製品よりも高価で構わないから、日本製のものはないのか?
これは筆者の検索の仕方に問題があるのかもしれないが、スタイリッシュなものはなかなか見当たらない。ウエストポーチ自体はあるのだが、「これは若い子は使わないだろうなぁ……」というものばかり。あるいはショルダーバッグに近いような、腰に着けるには大き過ぎるものだったり。
マイナンバーカードと運転免許証との統合計画もある中、マイナンバーカードがスマホと連動するようになれば、財布の必要性が薄れていくかもしれない。代わりに、スマホ1台とお守り代わりのクレジットカードを収納するためのごく小さなストレージが重要になりそうだ。
もちろん、今後はキャッシュレス社会を念頭に置いた製品開発が各社で行われるだろう。新型コロナウイルスは「キャッシュレス後進国だった日本を変化させた」とも言われているが、決済手段が変われば我々が日頃身に着けるものも変わるはず。そういう意味で、人間はやはり進化しているのだ。
取材・文/澤田真一