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人の欲求にはさまざまな種類があります。その中には、他者と交流したい、他者の力になりたいという欲求も存在します。『庇護欲(ひごよく)』もその一つです。異性や子どもに対して抱く庇護欲について、意味や使い方を解説します。庇護欲の強い人には、どんな特徴があるのでしょうか。
庇護欲とは?意味と使い方
『庇護』は日常ではあまり使われない単語ですが、公式文書や小説などで時折目にします。庇護という単語の意味と、庇護欲がどのような場面で使われるかについて、まずは解説します。
読み方と意味
「庇護欲」と書いて、「ひごよく」と読みます。時折「かごよく」と間違える人もいますが、まだれの中に「比」の文字があり、これが「ひ」と読むことを押さえておくと、いざという時に混乱せずに済むでしょう。
ちなみに庇護の「庇」は「かばう」と読みます。「護」は「まもる」と読み、『庇護欲』とはその漢字の通り、「かばって守りたい欲求」という意味です。
「親が子を庇護」のように使われる
「親が子を庇護する」のように、基本的には立場の強い者が弱い者をかばい、守り抜くという意味合いで使われます。過ちを犯さないように正しく育て、生活や身の安全を保証するというのが、庇護という言葉です。
【例文】
- 親鳥が雛鳥を庇護する
- 難民の家族が、国に対して庇護を申請する
といったように使います。
ベビースキーマが庇護欲を刺激する?
『ベビースキーマ』とは、オーストリアの動物学者であるコンラート・ローレンツによって提唱された、人間や動物の子どもの身体的特徴を指します。
例えば、目が大きくてくりっとしていることや、全体的に丸っこい形であること、動作がぎこちないこと、こういった特徴を持っている小動物を見て、人はかわいいと思ってしまうというものです。
これは、『ベビースキーマ』によって、人間の庇護欲が刺激されることが原因と言われています。
子どもではなくても、子どもと似た特徴を持つウサギやハムスターのような小動物に対しても、人間はかわいいと思ってしまうものです。このように、ベビースキーマは対象の年齢に関係なく、外見的特徴が大きく作用していると考えられています。
保護との違い
庇護と保護は「対象を守る」という使い方をする点では共通しています。
この二つの言葉の違いは「対象の範囲」です。上述したように、庇護は基本的には立場の弱い者に対してしか使いませんが、保護の場合はそうとは限りません。
動物保護、環境保護といった言葉にも見られるように、概念的なものに対しても使われます。要救助者を助けた場合や、泥酔者を警察署で面倒を見る場合にも「保護」という言葉が適用されるでしょう。一方、これらのケースは『庇護』には当てはまりません。
子どもや雛鳥を外敵から守る場合、『保護』と『庇護』のどちらを使っても差し支えありません。このように、保護の方が対象範囲が広いという違いがあります。
庇護欲が特に強い男性の特徴
庇護欲は男女に共通して存在します。パートナーとして選ぶのなら、庇護欲の強い男性が良いと思う女性も多いのではないでしょうか。
庇護欲の強い男性を見分けるための特徴について解説します。
面倒見が良い・甘えられるのが好き
庇護欲の強い男性は、普段から面倒見が良いという特徴があります。
仕事で分からないことがあったときに積極的にヘルプに入ってくれたり、ミスをしたときにさりげなくカバーしてくれたりします。自分から頼まなくても様子を見ていてくれて、何か失敗する前にさりげなくフォローしてくれることもあるでしょう。
また、甘えられる・頼りにされるのが好きという一面も持ち合わせています。常ににこやかな雰囲気であるなど、甘えやすい雰囲気をかもし出しているのも特徴です。
ただし、女性や上司など、人を区別して面倒見が良かったり、甘えられるのが好きだったりする人は、この特徴には当てはまらないので注意しましょう。
仕事や人間関係が順調で余裕がある
人を助けるということは、自身に余裕がなければできない行為です。お金に余裕がない人は、他人にお金を貸すという選択肢がそもそも生まれません。
仕事や人間関係が順調で余裕が生まれることで、視野が広くなり、周りに目を向けられるようになります。自分の周辺に気を配ったり、他者を助けたりするということができるようになります。
自身に余裕があるので、仕事や人間関係のことで悩んでいる同僚や後輩を見ると、つい助けたくなってしまうのです。
全員とは言いがたいですが、実生活で精神的に余裕のある人は、比較的に庇護欲が強い傾向を持ち合わせています。
プライドが高く男気がある
良い意味でプライドが高く、「強い自分でありたい」と思う男性ほど、庇護欲が高い傾向にあると言えます。
『強い男性像』には、弱い子どもや女性を守るというイメージがあり、自身のプライドを維持するためにも困っている女性を庇護下に置きたがる男性もいます。
プライドが高い男性は周囲からよく見られたいという思いも強く、積極的に他者を助けたり、手伝いをしたりするようになります。自己顕示欲と共に、庇護欲も大きくなることがあるのです。
ただし、プライドが悪い方面に作用している男性もいる点には注意です。支配欲の方が勝ってしまい、女性を下に見る男性や、自分の言うことをきかせようと単にワガママな男性も存在します。
男性目線で「守りたくなる女性」の特徴
庇護欲の強い男性が「守りたい」と思う女性とは、どのような特徴を持ち合わせているのでしょうか。守りたくなる女性の特徴を紹介します。
ピュアで優しい性格
ピュアな性格の女性というのは、男性は思わず守りたくなってしまいます。悪意に対して鈍感で騙されやすく見えてしまうため、放っておけません。か弱く見えてしまい、本能的に庇護欲が働いてしまいます。
優しい性格というのも、守りたくなる女性の特徴です。周囲に対して不平や不満を漏らさないため、つらくても我慢しているのでは?と勘ぐってしまいます。
自分がいつも側にいて、守ってあげなければという気持ちが働くのです。
小動物や子どもを連想させる
小動物に対しては『ベビースキーマ』の効果によって庇護欲をかき立てられます。同じように、小動物のような雰囲気の女性は、男性にとって守りたい存在です。
一般的な女性と比べてサイズが小柄だったり、美人系というよりもかわいらしい見た目の女性は、庇護欲をかき立てられます。
内面的には、さみしがり屋だったり、構ってほしそうなオーラを出していたりする女性です。しょっちゅう連絡をとってきたり、どことなく小動物や小さな子どもを連想してしまい、思わず「自分が守ってあげないと」と男性は思ってしまうことでしょう。
自分の弱さは隠して何事も一生懸命
仕事でもプライベートでも、自分の弱さを隠して一生懸命に何かに取り組もうとする女性は、男性の庇護欲を刺激します。
一生懸命な姿は前向きで、見ていて気持ちの良いものですが、脇が甘かったり、自分自身のケアが足りていないように見えることがあるのです。そうした女性を目にした男性は、「自分が庇護するべき女性」だと認識してしまうことがあります。
自分の弱さを隠しているという点も、どこかはかなさや不安定さを持ち合わせているように見えて、庇護欲の強い男性の目に留まりやすくなります。
共感できる?庇護欲がMAXになる瞬間
他の欲望と同様に、庇護欲も常に強いわけではありません。欲求が刺激される瞬間が存在します。
どのようなシーンで庇護欲が刺激されるのでしょうか。庇護欲がMAXになる瞬間について解説します。
普段泣かないのに涙を見せたとき
女性の涙に弱い男性は多いものです。仕事に失敗したり、私生活につまずいてヘコんだときや落ち込んだときの涙は、男性の庇護欲を刺激します。
もっとも、普段から何かにつけて泣いている女性の場合は、それほど効果はありません。重要なところで泣いても「またか」と思われてしまう可能性もあります。
ここぞというときに泣くことで、男性は庇護欲をかき立てられるものです。
普段は涙を我慢している人が、滅多に見せない涙を見せたとき、男性の庇護欲はこれ以上ないほど大きくなるでしょう。
期待以上のリアクションをしてくれたとき
普段の会話や、助けられたときのリアクションが薄いと、男性としても「本当は迷惑だったんじゃないだろうか」と悩んだり、「助けない方が良かった」と後悔したりしてしまうものです。
逆に、男性側が期待していた以上のリアクションが返ってくると、つい嬉しくなり、何かをしてあげたくなります。
喜びの表現の大きな女性は愛らしく見えますし、見ていて楽しくさせられるでしょう。小動物のように無邪気に見えることからも、庇護欲をくすぐります。
何かをしてあげたときに、女性側が期待していた以上に喜んでくれたり、お礼を言ってもらえたりすると、男性の庇護欲は大きくかき立てられるものです。