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猫の本能的なソーシャルディスタンスが「逃亡距離」と呼ばれる理由

2020.11.30

猫にも「ソーシャルディスタンス」がある?

「ソーシャルディスタンス」はコロナ対策のために生まれた言葉のように思えますが、直訳すると「社会的距離」で、本来は自分の身を守るために保つ、他人との適切な距離をあらわす言葉。そして猫や犬など、動物も本能的にこのソーシャルディスタンスの感覚を持っているのです。

ソーシャルディスタンスを保つ野良猫

何十匹もの猫がいっしょに暮している保護猫カフェを取材した時、ケンカをしたり威嚇したりする猫がおらず、みんなマイペースでのんびり過ごしていることに驚いたことがあります。今思えばあの猫カフェはすごい広さがあったので、多くの猫がソーシャルディスタンスを保ち、身の危険を感じることなく過ごすことができたのでしょう(仲の悪い猫同士は、外に出す時間をずらしている、ともおっしゃっていましたが)。

猫のソーシャルディスタンスは、別名「逃亡距離」

この距離は個々の猫の社会性や、相手の猫との関係によっても異なります。社会性がない猫だと、あらゆる猫を敵とみなし、決して近寄ろうとはしません。一般的に社会性が高いのは、最低でも生後8週間くらいまで母猫や兄弟猫と一緒に過ごし、その後もほかの猫と接触があった猫だといわれています。

厚生労働省では、コロナウィルス感染を防ぐために保つべき距離として、相手と2mほど(最低でも1m)を推奨しています。じつは、一般的な猫のソーシャルディスタンスも2mくらいといわれています。これは、見知らぬ猫や動物が近づいてきて、見の危険を感じた時に、逃げられる距離。そのため「逃亡距離」とも呼ばれています。

相手がこの「逃亡距離」を超えて近づいてきて逃げることができない状況になると、猫は自分の身を守ろうと威嚇や攻撃に出ます。これを「危険距離」と呼びます。

餌を食べる猫を見張る猫

危険距離はケースバイケースで、例えば子猫を連れた母猫の危険距離は、数メートルにも及ぶことがあります。つまり、子猫を連れた母猫は、かなりの距離があっても、子猫を守るために攻撃してくる場合があるということ。「かわいい!」と気軽に近寄ると、思わぬ怪我をすることもありますので、ご注意を。

相手によっては、近づくのを許す「個体距離」

くっついて眠る二匹の猫

一方、仲がいいと、社会的距離より近くでも気にしない場合もあります。これを「個体距離」といい、心を許した人間や猫なら、くっついて寝ることもよくありますよね。この個体距離は、相手との関係性でも異なりますが、いつもは添い寝している「個体距離ゼロ」の間柄でも、突然、ソーシャルディスタンスが発生することがあります。それは同居猫が動物病院に行ってきて、大嫌いな病院の匂いをつけて帰ってきたり、飼い主が違う猫の匂いを付けて帰ってきたりした時。ケンカや威嚇はしないまでも、「これ以上近づくな!」と、一定距離以上は近寄らないようになります。

恋人同士のようにものすごく仲のいい黒猫&三毛猫と暮らしていた私の友人が、まさにこの体験をしています。ある時、三毛猫が病気になって動物病院に連れて行って帰ったところ、動物病院の匂いに気が付いた黒猫が、すごい勢いで威嚇するようになったとか。

さらに、威嚇される理由がわからない三毛猫は、仲良しの黒猫の態度の急変に大ショックを受け、ストレスからさらに病状が悪化。あわてて病院に連れて行くと、さらに病院の匂いが上書きされ…と、悪循環。友人は「あっちは鬱、こっちはヒステリーで、どっちの猫を見てもつらくて、家にいるのが本当にしんどい…」とげっそりしていました。

デレデレの愛猫が一転、ソーシャルディスタンスをとりだした

私も、同じような体験をしています。5年前に亡くなった愛猫、きなこは猫バカの夫よりも私に異常になつき、家の中ではまるでストーカーのように私を追いかけまわしていました。

特に悪性腫瘍を患い、死期が近くなってからは、常に私のそばにぴったりとくっつき、しつこくナデナデを催促するように…(それにこたえて、手首が折れそうなくらい撫で続けていました)。今思えば、体調がいよいよ悪くなり、不安でいっぱいだったのでしょう。

でも、とうとう何も食べ物を受け付けなくなったきなこにシリンジで流動食をあげようとしたら、それをとても嫌がり、その時から私に一定距離以上は寄ろうとしなくなったのです。今思えば、あれは身を守るためのソーシャルディスタンスだったんですね…。

寝転がる茶トラ猫

流動食の後の2~3日、傷ついた表情で、目も合わせてくれなくなったきなこ…。

幸いにもその後、また私のそばに寄ってきてくれるようになり、最後の夜は私の腕の中で過ごしてくれました。

もし最後まであの距離で拒否をされていたら、今でも立ち直れなかったかも…。信じていた飼い主からの酷い仕打ちに傷つきながら、最後にそれを許して旅立ってくれたきなこのやさしさを思うと、今でも泣けてしかたがありません…。

文・桑原恵美子(PETomorrow編集部)

参考資料/「ネコの気持ちがわかる89の秘訣」(壱岐 田鶴子著/SBクリエイティブ)

構成/inox.

犬猫の知って得する雑学、爆笑動画、感動記事は「PETomorrow」で配信中。

https://petomorrow.jp

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