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2022年開業予定のLRTは宇都宮駅から鬼怒川を抜ける東西交通の渋滞を解消し〝雷都〟の未来を変えるか?

2020.11.29

工業団地内を走るLRTのイメージ/宇都宮市提供

2022年、“雷都”に新たなインフラが整備される

実は今、宇都宮がLRTで大きく変わろうとしているのをご存じだろうか。

LRTのデザインは「雷の稲光」をモチーフにしている/宇都宮市提供

JR駅東口の移動はマイカー利用が前提

宇都宮の中心街は、JR宇都宮駅から西に1~2㎞ほど行ったエリアだ。宇都宮二荒山神社や市役所や県庁、繁華街のオリオン通りなどがあり、東武日光駅もあることからバス便も充実している。

一方の東は駅から約2㎞の地点にベルモール(ショッピングモール)がある。市民にとって利用価値は高いものの、マイカー利用が前提のエリアといえる。ただ、さらに東(鬼怒川を渡り)にはニュータウンや工業団地が複数あるため、鬼怒川の橋は車が集中してしまう。ひどい時はわずか数キロ進むのに30分以上かかることもあるという。

その解決策として期待されているのが、2022年開業を目指す公共交通機関「芳賀・宇都宮LRT(Light Rail Transit=ライトレールトランジット)」だ。現在、優先区間として、もっとも渋滞の深刻な駅東口と工業団地(芳賀町)を結ぶべく工事が進められている。

LRT運行ルート図/宇都宮市提供

LRT導入の利点とは

LRTの強みは、専用軌道を走るため時間に正確なこと。停留所と車両に段差がなく、高齢者やベビーカーでもスムーズな乗降りができること。環境に優しいことなどがあげられる。

現在、優先して工事が進められている区間は、駅東口から芳賀町の本田技研北門までの約15㎞。そこに19の停留所を造り、トランジットセンターと呼ばれる核となる停留所には、駐輪場や駐車場、バス停留所、地域内交通乗降場などが設けられる。

つまり、路線から少し離れたところに住んでいても、職場や病院、買い物などに行きやすくなる。たとえ車を運転できなくなっても自宅に引きこもりがちにならず、高齢者にも健康で元気に暮らしてもらうための役割も担っている。

ネットワーク型コンパクトシティ形成ビジョンより抜粋/宇都宮市提供

宇都宮市はLRTによりネットワーク型コンパクトシティを造り、さらに深刻化する少子高齢化社会に対応していく方針だ。

このあたりの狙いは、LRT先駆者である富山市を参考にしているようで、これまで何度も宇都宮市民を対象とした、LRTの体験見学会が富山市で行われている。

LRT停留所にバス停や自転車置き場が併設される=富山地方鉄道岩瀬浜電停付近

車両の概要

導入する車両は全長約30mの3両1編成とし、17編成を駆使して朝6時台~夜23時台まで6~10分間隔で運行する。これはかなりの頻度であり、1時間あたり1885人を運ぶことができる計算になる。

気になる運賃は、150~400円。対距離制を導入している。

支払いは2021年よりサービスを開始する地域連携ICカード「totra(トトラ)」を利用できる。地元を走る関東自動車やジェイアールバス関東でも使えるうえ、JR東日本のSuicaとしての機能も付けられる。これ1枚あれば市民生活はかなり便利になるだろう。

宇都宮市提供

LRT開通で変わること

開通すれば、朝は沿線にある工業団地への通勤、高校や大学への通学でかなりの利用率となると思われる。沿線のニュータウン「ゆいの杜」の住民たちも、今までマイカーに頼ってきた生活が大きく変わるだろう。

LRTは駅東側だけでなく、西側にも伸ばす計画がある。すでにJR宇都宮駅では東西を横断するLRTルートが決定し、駅の東口と西口の両方に停留所を設けることも決まっている。駅下に1か所の停留所にしないのは、新幹線が通る関係上、構造的になかなかいじることができず、先に開業する東口停留所(仮称)から少し北上し、迂回して西口停留所(仮称)と結ぶことになったからだ。

将来、LRTを西に延伸すると、市内を南北に走るJR線や東武宇都宮線と連携させることができ、バスなど東西方向の市内交通と組み合わせれば市内交通の軸となることも期待されている。

都市構造のイメージ/宇都宮市提供

駅前の開発も進んでいる

なお、LRT工事と合わせるように、現在、駅東口は「東口地区整備事業」として、駅前の広大な土地にコンベンション施設や交流広場、駐輪場、公共施設、分譲マンション、ホテルや飲食店が入る複合施設などを整備している。

JR宇都宮駅東口開発事業概略図/宇都宮市提供

2020年10月時点のJR宇都宮駅東口の様子/宇都宮市提供

新型コロナウイルスの影響があるものの、2022年にはほとんどの施設が供用開始となる予定だ。参考までに、LRTと東口地区整備事業により、周辺の土地の値段はここ数年でかなり上がった。今後の宇都宮にぜひ注目していきたい。

取材協力/宇都宮市
https://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/kurashi/kotsu/lrt/index.html

取材・文/西内義雄
医療・保健ジャーナリスト。専門は病気の予防などの保健分野。東京大学医療政策人材養成講座/東京大学公共政策大学院医療政策・教育ユニット、医療政策実践コミュニティ修了生。高知県観光特使。飛行機マニアでもある。JGC&SFC会員。

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