DIME MAGAZINE
2020年2月、惜しまれつつこの世を去った野村克也。世界のプロ野球史上初の捕手による三冠王、パ・リーグ最多記録となる9回の本塁打王など、選手として輝かしい記録を多数残し、引退後は監督としてもその才能をいかんなく発揮した。「平成」期間の最多勝利記録を保持するなど、野球界のレジェンドの一人として知られている。
本記事では、野村克也の経歴を振り返るとともに、彼自身の経験やデータを基に記した多くの著書の中から特におすすめのものを紹介する。
【目次】
野村克也とはどのような人物？
1953年京都生まれ。中学2年で野球部に入るとすぐに頭角を現し、補強選手にまで選ばれるようになる。高校でも野球を続けたが、家が貧しくバットが買えないため”海水を入れた一升瓶”で素振りをしていたという。
1954年、新聞の広告に応募したのがきっかけで南海ホークス（現福岡ソフトバンクホークス）に契約金0円のテスト生として入団。成績が揮わなかった2軍時代や、1軍に上がった後の深刻なスランプなどさまざまな経験の中で、「考えること」「研究すること」の有用性に気づき、理論に基づき技術を向上させる独自の「ID野球」の基礎を築いた。
8年連続本塁打王、戦後初の3冠王など華々しい記録を残すが、同時期にセ・リーグで活躍していた長嶋茂雄や王貞治に比べて注目度は少なかった。当時のインタビューで、「王や長嶋はヒマワリ。俺は月見草だ」という名言を残し、以降「月見草」が彼の代名詞となる。
1980年に現役を引退。解説者を経て、1989年にヤクルトスワローズの監督に就任する。データを重視する「ID野球」を掲げ独自の改革を図った結果、チームを4度のリーグ優勝、3度の日本一へと導き、スワローズ歴代でも屈指の「名将」と評されている。
ヤクルトを離れた後も、阪神タイガースや東北楽天イーグルスの監督を務め、特に楽天では球団創設初のAクラス入りを達成するなど手腕を発揮した。2009年にユニフォームを脱いだ後は、再び解説者として活躍。また、自身の唱える野球理論やリーダー論を多くの著書に残している。
野球ファン必見！野村克也が語る野球論満載の本
選手時代、監督時代を通して徹底した研究を重ね、野球を「技術ではなく、頭脳のスポーツ」であると評する野村克也が記した多くの野球本。野球のみならず、スポーツ全般に通じる姿勢や考え方のコツが詰まっている。
野村ノート
野村克也が、選手・監督として50年に渡る野球生活の中で得た原理原則を綴った伝説のメモ。そこに綴られた「配球の原点」「スコアラーからのデータ利用法」「役目を確認させる打撃指導」「弱者の戦法」といった野球理論、そして「人づくりのポイント」「機能する組織の在り方」など、上司としての管理術の数々を明かした本だ。”球界のバイブル”として、34万部のベストセラーに。
執着心
野村克也の提唱するID野球は、前提に「勝利への妥協なき執着心」がある。だからこそ、データを重視し、個人本位ではないチームのためのプレーが生まれるという理論だ。『執着心』はそういった「真のプロらしさ」を論じる、サンケイスポーツの試合論評を書籍化したもの。2012年の巨人のセ・リーグ優勝と日本一の過程をはじめ、過去の日本シリーズの論評も収録されており、特に中高年の野球ファンにとっては非常に面白い内容だ。
出典 公式サイト｜執着心
野村克也 野球論 集大成
選手として輝かしい成績を残し、監督としても一流を極めた野村克也を支えたのは、自ら見出した野球理論を詳細に書き留めた、門外不出のノートだった。本作では、一部の野球関係者しか閲覧することのできなかった”門外不出のノート”を完全初公開。「私にとって、最初で最後の実践向け野球書」と彼自身が語る、まさに集大成の一冊。
出典 公式サイト｜野村克也 野球論 集大成
一流監督、野村克也から学べるビジネス・思考本
プレイングマネージャー時代を含めた通算24年もの監督生活の中で、多くの選手と接し指導してきた野村克也。その豊富な知識と経験を基に綴られた本は、仕事や人生に対する名言が溢れ、ビジネス書としても注目を集めている。
凡人を達人に変える77の心得
監督時代の野村克也が、ミーティングの時に選手に話していたことをビジネスマン向けにまとめた一冊。「仕事の基礎力」をつけるための努力の方法や、基本を身につけた後に飛躍するための考え方、リーダーが備えるべき条件など、人が飛躍的な成長をするために必要な方法を全6章、77項目に渡って詳細に解説している。紙媒体での出版は現時点でないが、Amazonや楽天などで電子書籍として購入できる。
出典 公式サイト｜凡人を達人に変える77の心得
私が野球から学んだ人生で最も大切な101のこと
50年以上の野球人生を通して野村克也が導き出した、「人生で最も大切なこと」を101の項目にまとめた一冊。プロフェッショナル論、組織論、リーダー論、勝負論、さらには人生論や生き方論まで、その内容は多岐に渡る。仕事で行き詰まった時、人生の岐路に立たされた時、迷ったり悩んだりした時に助けになるヒントがたくさん詰まった本だ。
なぜか結果を出す人の理由
同じように努力をしていても、結果に差がついてしまうのはなぜなのか？長年監督として多くの選手を指導し、田中将大をはじめとする名選手を育てた野村克也が、正しい努力と間違った努力の違い、結果を出すための極意を記した本書は、野球のみならず様々な分野において、頑張っているつもりなのになかなか結果が出ない悩みを抱える人にぜひ手に取って欲しい一冊だ。
出典 公式サイト｜なぜか結果を出す人の理由
リーダーとして覚えておいてほしいこと
適材適所の起用と言葉の力で数多の選手を再生、開花させ、「野村再生工場」とまで呼ばれた野村克也が、多くの経験の中で学んだリーダー論を語った本。「部下が雑な気持ちになるのを防ぐ」「仕事は、小さなミスを防ぐことから始まる」といった項目が実際のエピソードを交えてまとめられている。ビジネス本として多くの人に読んで欲しい一冊。
出典 公式サイト｜リーダーとして覚えておいてほしいこと
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文／oki
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