リチウムイオンには専用充電器が不可欠
軽くて便利なバイク用のリチウムイオンバッテリー「IT12B-FP」はリチウムイオン電池対応充電器を使う必要がある。なぜなら鉛電池用の充電器には鉛バッテリーの電圧低下の原因となるサルフレーションを除去するための機能が搭載されている事が多い。この機能がリチウムイオンバッテリーを傷めるのだ。メーカーもリチウムイオン対応充電器の使用を必須としている。
そこで今回はAZ Battery純正のリチウムイオンバッテリー対応充電器「ACH-200」を使ってみよう。本機はAZのリチウムイオンバッテリーだけでなく、各社の鉛バッテリーにも対応。また急速充電も可能で、IP65の防水防滴仕様である。使い方はシンプルでバッテリーに接続して電源ケーブルをコンセントに挿すだけだ。
重量は実測でワニ口クリップ込みで510gと軽量、幅165×高さ70×奥行き45mmと小型軽量だ
インジケーターで動作状態が分かる。画像の状態は充電中を意味する
専用ケーブル付属でメンテナンス充電もできる
「ACH-200」にはメンテナンス充電機能がある。これはリチウムイオンバッテリーの弱点である微弱な電流が流れ続けることで発生する電圧低下を防止する機能だ。最近のバイクは盗難防止機能のイモビライザーやドライブレコーダーなどを搭載して、キーをOFFにした後も微弱な電流が流れ続けるケースがある。鉛バッテリーなら問題ないがリチウムイオンバッテリーはこれに弱い。
そこで付属の車両側ケーブルを使って、バッテリーをバイクから取り外すことなくメンテナンス充電がおこなえる。これは電圧降下を検知した場合のみ最大13.6Vまで補充電をおこなう機能で、バッテリーの寿命を縮めずにいざという時にセルが一発で回る状態をキープしてくれる。私も使ってみたいのだが、残念ながらガレージにAC電源が来ていないのだ。バッテリーを外す手間を惜しまないなら、自宅に保管して本機と接続すればメンテナンス充電がおこなえる。
付属する車両側ケーブル。これをバッテリーに接続してバイクのフレームなどに固定しておく
接続部分のカプラーにはキャップがあり防水防塵仕様になっている
通常の充電はワニ口クリップが付いたケーブルを接続しておこなう
約50分でリチウムイオンバッテリーが回復
それでは実際に何分ぐらいでリチウムイオンバッテリーを充電できるのだろうか。ケースバイケースだが、「IT12B-FP」のバッテリーチェッカーでLEDが1個しか点灯しない要充電状態から充電を開始して50分でLED3個が点灯した。これでセルは回せる。そのまま接続すると最大2時間後からバルク充電をおこない、最後に押し込み充電をおこなって充電が完了すると説明書には記載されている。
リチウムイオンバッテリーの場合も満充電のLEDが点灯すれば充電完了で、これにはさらに1時間ぐらいかかった。ツーリング当日にバッテリーが上がっていても早起きしていれば充電が間に合うぐらいの急速充電と言えるだろう。使い方はシンプルで間違えようがないが、万一、プラスマイナスを逆に接続しても保護回路が働き、インジケーターで教えてくれる。多機能タイプの充電器は設定を間違えそうだが、専用タイプで切替スイッチやボタンなどが一切ないのがいい。
ただしリチウムイオンバッテリー対応と言っても同社の採用するセルLiFeP04(リン酸鉄リチウム)専用タイプなので、他社のリチウムイオンバッテリーとの互換性はない。私は同じタイプのSKYRICHのリチウムイオンバッテリーを試してたところ充電可能だったが、あくまで保証範囲外である。もし対応充電器を持っていないなら、リチウムイオンバッテリー購入時に同時購入することをオススメする。リチウムイオンは高価なバッテリーなので安心料と思って純正の充電器を選びたい。
写真・文/ゴン川野