年賀状には、宛名ひとつ書くにもマナーがあります。特に、連名で差出人や宛名を書くときのルールは、出す相手によって変わるので要注意です。年始早々失礼な書面を送らないように、マナーを踏まえて基本的な書き方を押さえておきましょう。
年賀状を連名で出す相手とは?
年賀状の宛名を連名で書くか否かの判断ポイントは、出す相手によって変わります。友人・親戚・会社関係、それぞれケース別に確認してみましょう。
夫婦ともに面識がある相手
普段から家族ぐるみで交流のある友人など、夫婦ともに面識がある相手には、宛名を連名にして出しましょう。学生時代の友人など個人としての付き合いである場合は、相手のパートナーと面識があるかを判断基準にします。
普段から会う間柄ではなくても、披露宴に出席したり、紹介されたりしたことがあれば面識があると判断し、連名で出しましょう。また、幼稚園など子どもを介しての交流がメインの相手には、親の名前の横に、子どもの名前を入れると喜ばれます。相手のパートナーとの面識がない場合は、面識のある親の名前と子どもの名前のみで出してもマナー違反にはなりません。
親戚なら面識がなくても連名が無難
親戚関係に当たる相手には、パートナーと面識がなくても連名で出すのが無難です。現在、積極的なお付き合いがなくても、親戚同士であればいずれ顔を合わせる可能性も高く、相手の家族構成も把握しているでしょう。
夫の実家からの年賀状の宛名に妻の名前が書かれていなかったり、妻の妹からの年賀状に夫の名前が書かれていなかった場合を想像してみます。無視されているようで、少し寂しい気持ちになるはずです。
会社、面識がない場合は個人名で
自分が勤めている会社の上司や同僚の自宅に送る場合には、上記で紹介した「夫婦ともに面識がある相手」のケースと同様に判断しましょう。しかし、会社の住所宛てに送る際には個人名のみが無難です。
また、会社の住所宛てに送ることが多い取引先への年賀状の場合も、個人名で送りましょう。会社宛てになると、年賀状は個人で保管することが多いため、連名で届くと相手を困らせることになります。お世話になっている相手が、同じ取引先に複数いる場合もありますが、一人ひとり分けて送りましょう。
年賀状を連名で出す際の書き方
年賀状の『差出人(送り主)』と『宛名(送り先)』を連名で書く場合の具体的なルールを解説します。いずれも、基本的な考え方は同じです。
送り主が夫婦連名の場合
こちらから出す年賀状の差出人欄を夫婦連名で書く場合には、夫の名前をフルーネームで書き、その左側に妻の名前のみを記載します。妻が自分の友人や親戚に年賀状を出す場合でも、差出人欄の書き方は変わりません。
注意が必要なのは、取引先などビジネス上の付き合いの相手に年賀状を出す場合です。この場合には、差出人を連名にして出してはいけません。あくまでも、個人と個人としての関係性ですので、マナー違反となります。
送り先が連名だった場合
宛名を夫婦連名にして送る場合にも、夫の名前をフルネームで書き、その左側に妻の名前のみを記載します。『様』などの敬称は必ず一人ひとりに付けましょう。夫婦の名前の間にまとめて一つ様と付けるのはマナー違反です。
相手の子どもも宛先に入れたい場合には、妻の名前の左側に子どもの名前を入れます。子どもへの敬称は『くん』『ちゃん』でも問題ありません。
ただし、小学校高学年以上場合は、子どもであっても『様』が無難です。子どもの人数が多い場合は、連名にすると読みにくくなってしまうので、夫の名前のみフルネームで書き、その左に『ご家族様』『ご一同様』などとまとめましょう。
会社宛てに送る年賀状の書き方
会社宛てに送る年賀状には、連名ルールに限らずいくつか注意すべき点があります。社名や肩書きなど、失礼にならない書き方を押さえましょう。会社宛てに限りませんが、間違いやすい表現も要チェックです。
表書きの正しい書き方
住所は省略せず、都道府県名からビル名まで書きましょう。番地の数字は、漢数字で書きます。間違いを防ぐため、番地が11なら『ーー』ではなく『十一』と記載しましょう。
株式会社などの記載は『(株)』と省略してはいけません。部長などの役職は氏名の上に記載し、『部長様』などと役職に敬称を付けるのはNGです。
住所が長い場合は改行し、改行の冒頭1文字目は1行目よりも少し下げて書きます。会社名を改行するのは失礼になるので、1行に納めましょう。
手書きの一言を添えると好印象
会社から出す年賀状は、裏も表もすべて印刷というケースが多いです。このような年賀状がたくさん届く中で、一言でも手書きのメッセージが添えられていると、受け取る側としては嬉しくなるものです。添える内容は『日頃の感謝』『近況報告』『相手の近況伺い』『新年の抱負』などが適切です。
『皆様のご多幸とご健康をお祈りいたします』のように、相手の幸せを願う言葉も新年の挨拶にふさわしいでしょう。年賀状は新年早々に受け取るものなので、縁起の良いトーンで送るのがマナーです。近況報告をする場合は、深刻な話やネガティブなことを書かないようにしましょう。
間違いやすい点も要チェック
『迎春』『賀正』などの漢字1〜2文字の賀詞は、目上の人に使うと失礼に当たります。注意点としては、賀詞に『明けましておめでとうございます』などと書くと、意味が重なってしまうので併用は避けましょう。「新年明けましておめでとうございます」も、「明ける」と「新年」の意味が重複しています。『明けましておめでとうございます』『新年おめでとうございます』が正しい表現です。
また、忌み言葉と言われる縁起の悪い言葉も避けましょう。具体的には『去る』『失う』『枯れる』『倒れる』などです。『去年』という表現は、『旧年』『昨年』などに置き換えましょう。