季節の変わり目を表す言葉として、春分や秋分などがありますが、そのうちの一つが冬至です。では、そもそも冬至とはどんな日で、2020年の冬至はいつなのでしょうか?冬至の由来や、冬至にまつわる風習も合わせて紹介します。
冬至とはどんな日?
冬至は『とうじ』と読みます。カレンダーなどにも記されているこの冬至とは、どのような日を指すのでしょうか?
日の長さが1年で最も短い日
冬至は1年間の中で、日照時間が最も短くなる日を指します。つまり、昼の時間が最も短く、夜の時間が最も長い日のことです。冬至は、古代中国で考案された『二十四節気(にじゅうしせっき)』がもとになっています。
二十四節気とは、太陽の動きを取り入れた季節の指標で、太陽の通り道である黄道を24等分し、その位置を季節の目安にしたものです。それぞれの位置によって名前が付けられており、春分・秋分・立春・立冬などがあります。
冬至と反対に、1年のうちで日照時間が最も長くなる日は『夏至(げし)』です。冬至と夏至では、日照時間は5時間程度の違いがあり、地域によっては6時間以上も差があります。
2020年の冬至は12月21日
冬至は、例年12月22日頃ですが、必ずしも同じ日ではなく、年によって多少のずれがあります。これは、地球が太陽の周りを一周するのが、ぴったり1年(365日)ではないためです。
4年に1回うるう年があることからも分かるように、地球が太陽の周りを1周するには、1年と約6時間かかります。この6時間の差があるため、年によって冬至の日がずれるのです。
2020年の冬至は、12月21日にあたります。ちなみに、前年の2019年は12月22日が冬至の日でした。2021年は12月22日が冬至になります。
別名は「一陽来復」
冬至には、『一陽来復(いちようらいふく)』という別名があります。この一陽来復の意味を解説しましょう。
運気が蘇るタイミングとされる
一陽来復の由来は、古来中国における占いの理論を解説した『易経(えききょう)』です。易経では占いの根底にある考え方として、積極的なものを『陽』、消極的なものを『陰』と位置付けています。
一陽来復は、陰から陽へと運気が蘇る様子を表した言葉です。これが冬至の別名となっているのは、冬至は1年で最も昼間が短く、この日を境に次第に日照時間が長くなっていく区切りの日になっていることによります。
冬至は太陽のパワーが一番弱まる日になるため陰の底にあたり、翌日からは太陽が生まれ変わって陽が戻ってくるため、運気が蘇るタイミングだと考えられているのです。
物事を始めるのにぴったりの開運日
一陽来復はこれまでの辛い時期が終わり、ここから運気が上向きになる日を指します。さまざまな物事が上昇運に転じるため、新しく何かを始めるのにぴったりの開運日だといわれているのです。
冬至の日に新しく勉強を始めたり、習い事をスタートしたりすれば、良い結果をもたらしてくれるかもしれません。これまでうまくいかなかった事があるなら、気持ちを切り替えるきっかけの日にしてみるとよいでしょう。
冬至の日にゆず湯に入る理由
冬至の日にはゆず湯に入る風習がありますが、これにはどのような理由があるのでしょうか?ゆず湯に入るようになったきっかけと、その効果について紹介します。
もとは冬至と湯治をかけた語呂合わせ
冬至とゆず湯を結び付けるきっかけとなったのは、語呂合わせです。冬至は『とうじ』と読みますが、お湯に浸かって病気を治すことも『湯治(とうじ)』といいます。このことから、冬至の日にお風呂に入り、身を清めるという風習が生まれたのです。
ちょうど冬至の頃に旬を迎えるゆずは香りが強く、昔から邪気を払うものとして知られていました。そのゆずをお風呂に入れて入浴することで邪気を遠ざけ、運気を上げる願いを込めるようになったのです。
ゆずが使われるのは、『ゆず』と『融通(ゆうずう)』との語呂合わせもあります。冬至と湯治の語呂合わせと合わせて、『湯治で一年中融通よく』という意味を表しているのです。
習慣が広まったのは江戸時代
冬至の日にゆず湯に入るという習慣は、それほど古いものではありません。このような習慣が広まったのは、江戸時代といわれています。
昔は各家庭にお風呂はなかったため、毎日お風呂に入る習慣はありませんでした。その後、江戸時代に銭湯ができたことにより、一般庶民に入浴の習慣が広まったとされています。その銭湯が客寄せのために、冬至の日にゆずを入れてゆず湯にしたのが始まりです。
心身への良い効果に期待
ゆずの果汁や果皮にはさまざまな栄養が含まれており、心身への良い効果が期待できます。例えば、ゆずはビタミンCの含有量が非常に高く、柑橘類の中でもトップクラスです。
ゆずの果皮には豊富なビタミンCが含まれているため、皮ごと浴槽に入れることで、お湯にビタミンCが溶け出し、美肌効果が期待できるでしょう。果皮にはリモネンも含まれますが、リモネンには血行を促して体を温める効果があるとされており、寒い冬至の時期にはぴったりのお風呂といえます。
また、ゆずの爽やかな香りはお湯に入れることでさらに際立つため、気持ちをスッキリさせてくれるでしょう。
参考:第2章 日本食品標準成分表 PDF(日本語版) 7果実類:文部科学省
冬至の行事食といえばカボチャ
冬至には、カボチャを料理して食べる風習があります。では、なぜカボチャを食べるのでしょうか?冬至にカボチャを食べる理由や、その他に冬至に食べるとよいとされている食材を紹介します。
カボチャを食べる理由
冬至には、『ん』の付く食べ物を食べると、運が向いてくるといわれており、この風習を『運盛り(うんもり)』と呼びます。『ん(運)』の付く食べ物を食べることで、運を引き寄せるという意味です。カボチャは『南瓜(なんきん)』とも呼ばれているため、『ん』の付く食べ物に含まれます。
また、一陽来復に表されるとおり、冬至は陰から陽へ転換するタイミングです。陰を北、陽を南と捉えることで、『南瓜』と書くカボチャは、冬至にぴったりの食べ物だと考えられています。
また、冬至にカボチャを食べるのは名前だけが理由ではありません。ビタミンAやカロテンなど、栄養が豊富な食べ物なため、寒い時期を乗り切るためにしっかり栄養を取って、力を付けるという意味もあります。
他にも「ん」で終わる食材が良しとされる
カボチャの他にも、『ん』で終わる食材はいくつかありますが、中でも特によいとされているのが、次の六つのように、名前に『ん』が二つ付く食材です。
- 蓮根(れんこん)
- 人参(にんじん)
- 銀杏(ぎんなん)
- 金柑(きんかん)
- 寒天(かんてん)
- 饂飩(うんどん・うどん)
この六つにカボチャを加えた七つを、『冬至の七種(ななくさ)』と呼びます。『ん』が二つ付くことで、さらに運気が上がるとされているのです。
蓮根や人参などはビタミン類を多く含む食材でもあり、風邪の予防などへの効果も期待でき、うどんは消化によく体を温めてくれます。語呂合わせだけでなく、冬至の頃に食べて寒い冬を乗り切るために、効果的な食材ともいえるでしょう。
冬至がゆも楽しもう
冬至に食べるメニューとしては、小豆を使った『冬至がゆ』がよく知られています。小豆は赤い色をしていますが、古来より赤は邪気を払う色と考えられていました。
赤い小豆を使ったおかゆを食べることで、邪気を払い、運気を上げる願いが込められています。お祝いの席で赤飯を食べる習わしも、こういった理由によるものです。冬至がゆは小豆がベースですが、一緒にカボチャを入れたものを冬至がゆとする地域もあります。
また、冬至がゆ以外にも、小豆とカボチャを使った『冬至カボチャ』、別名『いとこ煮』という煮物も、冬至の日に食べるものとしてよく知られているメニューです。
構成/編集部