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プロが解説!効率よくきれいに洗車する方法と洗剤、コーティング剤、クロスの選び方

2020.11.23

今年はコロナ禍でレジャーはマイカー利用が重宝する。これまでマイカーにあまり乗っていなかった人も、もしかしたら乗る回数が増えているかもしれない。そんなときに気になるのが、車の汚れ。洗車は効率よく行いたいものだ。

そこで今回は、洗車の流れとより車を綺麗にするコツを、カーケア用品を取り扱い、カーケアに詳しい株式会社インフィニクス(愛知県・額田郡)の代表、松本英司さんに聞いた。

効率の良い洗車の流れ

株式会社インフィニクス 代表取締役 松本英司さん

まずは洗車の流れから。作業順序の大原則は「【洗う】⇒【磨く】⇒【コーティング】」だが、効率良く綺麗にカーケアを進めるために、もう少し細かくすると、次の流れで行うと良いという。

1.足回りを水で流す
2.ホイールとタイヤの洗浄
3.車全体を水で流す
4.ボディーをカーシャンプーで洗う
5.水をクロスで拭き取る
6.下地処理
7.コーティング
8.無塗装樹脂部品のケア
9.ガラスクリーニング

洗車の工程におけるポイントについて、松本さんは次のように解説する。

ポイント1 :まずは足回りから洗浄する

「最初に、ホイールやタイヤ、タイヤハウスの中など、一番ひどく汚れている足回りを洗浄します。ボディーの洗浄より足回りを後回しにすると、汚れた水が周りに飛び散って、せっかく仕上げたボディーを汚してしまうこともありますし、しっかりすすいだつもりでも、洗剤の残りと浮いた汚れの『石鹸カス』がホイールに薄く残り、白くホコリが乗ったように乾いてしまうことがあります。最終的にクロスで拭き取れば、簡単に除去できる汚れではあるのですが、クロスも余計に汚れますし、面倒です。

先に足回りの洗浄作業を終えておけば、次の工程であるカーシャンプーを使った洗車作業で、ボディー洗浄のついでに、もう一度軽くホイール等をなで洗いし、すすぎを行うことで、ボディーに飛び散った汚れも、ホイールに残った石鹸カスも完璧に洗い流せます。

結果、もう一度ボディーを拭いたりする面倒な作業もなくなりますし、お使いのクロスが必要以上に汚れてしまうこともなくなるわけです。当然、仕上がりも変わります」

ポイント2:水は乾かすのではなく拭き取る

「水道水にはミネラル分が含まれています。このミネラル分が塗装面に残ったまま乾くと、水滴跡(イオンデポジット)を作ってしまいます。ですので、洗車後は可能な限り、素早く水滴を拭き取ることがポイントです。

降雨後に水滴が塗装面に残っている状態を大変気にされるオーナーさんが多いと思いますが、不思議と洗車作業では、水滴が残った状態のままでも、かまわず次の作業に進まれる方が多いんです。実は水滴が乾き、水滴跡を残してしまう可能性が高いのは、雨よりも水道水なのです」

水滴は、どんな風に拭き取るのが良いのだろうか?

「カーディテイリングショップなどでは、洗車にミネラル分を除去した浄水を使ったりもします。ご家庭では、そのような水を用意するのは現実的ではありませんので、ボディーに残った水滴を、できるだけ乾かさないように作業していただけると良いと思います。

マイクロファイバークロスといった吸水性の良いタオルを拭き取りに使うのも良い方法です。また、水道水のミネラルを封鎖してしまう成分を含んだカーシャンプーを使うのも効果的です。マイクロファイバーはとても吸水力が高いので、クロスの両端を持って、ボディーの上を滑らせるだけで、綺麗に簡単に水滴を拭きとることができます。そしてカーシャンプーは、拭き取りに時間がかかって水滴を乾かしてしまった場合でも、ボディーに残った水滴が、跡になってしまうことを防いでくれますので、天気の良い日の洗車には本当におすすめです」

ポイント3:コーティング前にしっかり汚れを除去する

「コーティング前には、しっかり汚れを除去することをおすすめします。車には必ずと言っていいほど、洗車だけでは落ちない汚れが付着しています。この汚れを確実に除去してからコーティング作業を行うことで、滑らかで厚い、ツヤのある仕上がりになります。下地処理剤や磨き剤などを上手く組み合わせて、塗装面の汚れを除去してください」

洗車でありがちな勘違い

洗車の最中、よく勘違いしがちなことを松本さんに挙げてもらった。気をつけて行おう。

●よくある勘違い1
“綺麗に仕上げたくてコーティングのほうに力を入れる”

「綺麗な仕上がりは、コーティングよりも汚れを綺麗に除去できているかが重要です。私は、カーケアは、顔のスキンケアと理屈がとても似ていると思っているんです。顔のスキンケアでは洗顔やクレンジングが非常に重要といわれますが、車も同じです。しっかり汚れを取るカーケアをおすすめします」

●よくある勘違い2
“しっかり汚れを落とすために力を込めて作業する”

「洗ったり、こすって汚れを取ったり、コーティングを塗り広げたり、すべての作業で力を込めてはいけません。クロスや塗装面の汚れで磨き傷が入ってしまいます。人のお肌と同様に考えて作業してください」

●よくある勘違い3
“コーティングさえしておけば、しばらくカーケアはしなくて良いだろうと思っている”

「コーティングは魔法の被膜ではありません、どんな高価なコーティングも、必ず経年劣化します。定期的なカーケア(メンテナンス)は必須だと思ってください」

●よくある勘違い4
“クロスとスポンジは1回の洗車で使い倒しても良いと思っている”

「作業中のクロスやスポンジは、汚れたら使わないでください。汚れ=『何かが付着している状態』です。そのまま作業を続けると、確実に磨き傷を作ってしまいます」

洗車は“愛車とのスキンシップを楽しむ感覚”で

ところで洗車といえば、洗車機で洗う方法と、シャワーなどで手洗いする方法とがある。どんな違いが出るのだろうか?

「洗車機は確かに便利なのですが、ホイールやサイドミラー回りなど、どうしても汚れを落としきれない場所が出てしまいます。手洗いの場合は、そういった細かい場所も確実に洗浄できるという点が大きな違いだと思います。愛車の細かな傷やヘコミも発見もできますし、触って伝わってくる情報から、塗装面の状態、例えば鉄粉の付着などによるザラつきを知ることもできます。愛車の塗装面のコンディションを把握する上でも大変役立ちます。

また、コーティングまたはワックスまで行うメニューで比較すると、仕上がりには大きな差が出てきます。コーティングは、コーティング被膜自身が汚れを受け止めることで塗装を守りますので、当然、経年劣化していきます。経年劣化し、様々な汚れが付着した状態のコーティングは、本来なら次のコーティングの前に除去すべきなのですが、洗車機での洗浄ではそこまでできません。つまり、汚れが残った状態のまま次のコーティングまたはワックスを重ね塗ることになります。

もちろん、手洗い洗車でも洗うだけの作業では洗車機同様にコーティングやワックスを除去できないのですが、手洗いの場合は、そういった状況を確認把握して、劣化したコーティング及び付着した汚れを除去する作業を追加することができます。その後にコーティングを行えば、まったく仕上がりが変わってきます。今ではこの除去作業とコーティングを一度の施工で行える製品もあります。

洗車機と手洗いは、愛車とスキンシップしコンディションを把握できるという点が最大の違いになると思います」

洗車機洗いと手洗いどちらを選ぶ?

実際、洗車機洗いと手洗いどちらか迷うこともあるし、両方組み合わせて行うこともある。どのように選び分ければいいだろうか?

「その方のその時の状況によって組み合わせるのが良いと思います。洗車機の時間短縮洗車には価値があると思いますし、手洗いの洗車ができる環境の有無もありますしね」

●時間がない場合

「時間がないときは、洗車機を有効活用して車を綺麗に洗浄し、後日にスプレータイプのクリーナーや簡易コーティング剤を使って、洗車機で取り切れなかった細かい部分の汚れを取ったり、ツヤを出したりして仕上げていけば充分な仕上がりになります」

●ルーフ洗浄がむずかしいサイズの場合

「ルーフ部分の洗浄が困難なサイズの車は、積極的に洗車機を活用したほうが良いと思います。脚立などを使って手洗いしたり、長い柄のついたブラシで勘を頼りに洗ったりするよりも綺麗になりますし、誤って車体を傷つけてしまうリスクも減らせます」

洗車機を使うと、磨き傷ができるのが心配という声もあるが…。

「洗車機で洗った場合の磨き傷は、ほぼ気にする必要はないと考えます。最近の洗車機のブラシは、とてもやわらかく傷が入りにくいタイプのブラシですので、そのあたりは手洗いと大差ありません。

ただし、砂塵や黄砂などが車体に付着し、取れづらい状態になっているときは、洗車機の使用には注意が必要です。これは、水はじきが強く油分が多いコーティングを施工している車によく見られます。これらの汚れが洗車機のブラシによって引きずられ、塗装面に磨き傷を作ってしまう可能性があります。そういった場合は、あらかじめ、十分な量の水で汚れを流せるだけ流してから洗車機に入れるとか、またはムートンブラシなどで絶対に力を加えず、優しくなで洗いするなどの方法がおすすめです」

洗剤・コーティング剤・クロスの選び方

インフィニクスは、米国発のカーケア用品ブランド「VOODOORIDE(ブードゥーライド)」の日本総代理店でもあり、松本さん自身、国内外のカーケア用品に詳しいという。そこで、洗剤・コーティング剤・クロスの選び方のポイントを聞いた

●洗剤の選び方

「車専用の洗車剤でお好きなものを選択ください。中性タイプで、コーティング成分などが含まれていない洗剤がおすすめです。既存コーティングに影響を及ぼすこともありませんし、窓ガラスへのコーティング成分の付着を気にせず洗車ができます。天気の良い日は冬でも意外と塗装面の温度が高くなり、シャンプーもすぐに乾いてしまいます。純粋な洗浄成分だけの洗剤であれば、仮に洗車中に洗剤が乾いてしまっても面倒なことにもならず、よくすすぐことで綺麗に洗い流すことができます」

●コーティング剤の選び方

「ご自身で作業する場合、硬化しないタイプのコーティングがおすすめです。硬化するタイプは施工がむずかしく一般の方にはハードルが高いと思います。

透明の膜が一枚塗装面に乗って固まるわけですから、言わば、クリア塗装を塗るようなものです。そう考えていただくと、ご理解いただけると思います。

またよく話題に上がる、撥水や疎水、親水などに関しては様々な意見がありますが、それぞれに一長一短あり、『撥水(玉弾き)=汚れが付きにくいが、水滴跡が残りやすい』『親水や疎水(水がまとまる)=撥水に比べ、汚れは残りやすいが、水滴跡は残りづらい』となります。駐車環境などから、ご自身が求める水引きタイプを選んでいただければ良いと思います。一時的な汚れの残り具合だけをみて判断せずに、その汚れが洗車した際にしっかり落とせたか?という部分がコーティングを判断する上で重要だと考えています」

●クロスの選び方

「やわらかく厚みのあるクロスが良いので、やはりマイクロファイバークロスがおすすめです。一枚で、吸水から磨き、ホコリ取りまで、万能に使えます」

洗車は「薄曇りの日」がおすすめ

洗車を行うのは、どんな天気の日がいいのだろうか?

「みなさん、すでによくご存知だと思いますが、薄曇りの日がおすすめです。具体的にはボンネットやルーフなどが熱くならない日です。とはいえ、カラッと晴れた気持ちの良い日は気分的に洗車したくなりますよね。そういう日の洗車は朝夕に手洗いするとか、または洗車だけは洗車機を活用するなど、洗剤や水が施工中に乾いてしまわない工夫をすれば問題ありません。寒暖の厳しい時期は、できればカーケアをしないほうが良いのですが、作業をされる場合は、熱射病や体を冷やしすぎることに注意してください」

松本さんは、洗車をはじめとしたカーケアについて、次のようにアドバイスする。

「カーケアで愛車を輝かせ続けるために、一番大切なのは継続することなんです。ですので、何より大切にして欲しいのが、車やカーケアを通して楽しんでいただくことだと考えています。楽しいと思ったことは続きます。ぜひ楽しみながら愛車をケアしてあげてください」

秋の休日や年末などに洗車を計画しているなら、ぜひ参考にして、カーケアを楽しみながら行おう。

【参考】
VOODOORIDE https://www.voodooride.jp/

取材・文/石原亜香利

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