コロナ禍に伴う外出自粛の影響で、自宅で料理をする機会が増え、栄養価や健康を考慮したレシピに挑戦するようになった人は多いはず。
そんな中、ひそかに「サバブーム」が巻き起こっていることがこのほど、ノルウェー水産物審議会が全国の20~50代男女計400名を対象に実施した意識調査によって明らかになった。
コロナ禍における料理頻度の変化
過去6ヶ月(新型コロナウイルス感染症拡大以降)における1日あたりの料理頻度の増減を見ると、元々料理の習慣がある人を含め「変化がない」と回答した人が61.0%であった。
一方、「料理を作ることが大きく増えた」「料理を作ることがやや増えた」と回答した人が全体の36.6%に及ぶ結果となった。
Q1 過去6ヶ月で1日あたりの料理頻度に変化はありましたか?に対する回答
コロナ禍において自宅での料理で重視するポイント
また、コロナ禍で自宅での料理で重視するようになった点を調査したところ、上位の結果は1位 「栄養バランスの良さ・健康への効果」(33.0%)、2位 「価格の安さ」(32.5%)、3位 「味が好き・おいしい」(29.8%)、4位 「準備の手軽さ・時短」(29.3%)、5位 「安心な素材であること」(19.3%)となった。料理の支度でキーとなるであろう価格や味を抑えて健康への意識が最も高く置かれていることから、社会状況が食事への意識に立ち現れていることがわかる。
Q2 コロナ禍で、自宅での料理で重視するようになった点を教えてください。(複数回答)
2020年上半期のサバ人気とその理由
食事・料理に関する習慣や意識に変化が生まれている中、2人に1人以上(64.7%)がサバ商品を購入しており、依然としてサバが絶大な人気を誇っていることがわかった。
日本で販売される塩サバのうち約7割を占めるノルウェーサバの輸出量が、2020年1月から9月の間で、昨対比で22%増(NSC 2020年上半期輸出レポートより)となっており、コロナ禍でもノルウェーサバが国内で圧倒的な人気を誇っている。
購入したサバ商品の内容は、保存に効くサバ缶(44%)や手軽でアレンジの効く塩サバ(26%)が多く、サバを料理に活用する理由としては、1位 「味が好き・おいしい」(57.9%)、2位 「栄養バランスが良い・健康に良い」(49.8%)、3位 「価格が安い」(41.7%)など、コロナ禍において重視するようになった点の上位5回答すべてに当てはまる理由でサバが選ばれており、大変万能な素材であることが示されている。
Q3 過去6ヶ月でサバ商品は購入しましたか?
Q4 過去6ヶ月でサバを料理に活用した理由は何ですか?(複数回答)に対する回答
サバの健康効果の認知度
サバの健康効果の認知度については、「知らない」または「意識したことがない」人は25.3%で、75.2%の人がサバのポジティブな健康効果を認知していたり、何らかのプラスイメージを抱いていることがわかる。
その中でも「血液をサラサラにする」が53.8%と群を抜いて効能が把握されている一方、サバの持つ幅広い健康効果、例えば病床リスクを減少させる・集中力を高める、整腸作用など、具体的な栄養効果については幅広く知られていないことが判明した。
Q5 サバに健康効果があることは知っていますか?健康効果でしっているものを全て選んでください。(複数回答)
ノルウェーの国立水産物研究所におけるサバの脂肪含有量の調査では、漁期である秋~冬にかけて、ノルウェーサバの脂質量は30%に達することが証明されている。
脂が乗って旨みが最大限に高まったサバはタンパク質やビタミンD、オメガ-3脂肪酸を豊富に含んでいる。オメガ-3脂肪酸は「健康に良い油」とも呼ばれる魚や植物に多く含まれる成分で、αリノレン酸、DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)を含有する。
<ノルウェーサバの効能は?管理栄養士・北嶋さんのコメント>
ノルウェーサバは良質なタンパク源となることができ、豊富なDHA・EPA, ビタミンDなどが特徴的な栄養素として挙げられます。代謝に関わるビタミンB群、抗酸化作用を持つミネラルであるセレンも多く含まれています。
脂質量を多く持つノルウェーサバには、DHAやEPAが豊富に含まれるという特徴があり、脂質が多い分、DHAやEPAを多く摂れることが期待できます。また冷たく澄んだノルウェーの海で育つ為、脂質が霜降り状に乗ることで、身がふんわりとして舌触りが良く、美味しさが際立ちます。
<DHA、EPAとは?>
DHA(ドコサヘキサエン酸)は体内では生成することができない必須脂肪酸の一つで、脳の神経細胞を活性化して情報の伝達をスムーズにし、学習能力や記憶力を高めてくれる。
EPA(エイコサペンタエン酸)もまた、体内で合成されない必須脂肪酸の一つで、DHAと同じく、中性脂肪の低下や血小板凝集の抑制に効果があるとして注目されている。DHAとEPAの両方を摂取することで、血液の流れがよくなり、神経の伝達スピードがアップして頭の回転が早くなる。
おうち時間のカラダの悩みとその改善策
一方、コロナ禍においておうち時間が増えたことによって直面している悩みやその改善策に関する意識も調査した。全体の約7割(67.5%)近くもの人が悩みを感じている中、挙げられた悩みは大きく2方向に分けられ、身体に関連する悩みでは「運動不足」「体重増加」「身体に疲れを感じる」、精神に関連する悩みでは「精神的に疲れを感じる」「イライラする・不安を感じる」「集中力の低下」などが上位に上がる結果となった。
この悩みに対して取り組むべきだと考えている対策について「食事の栄養バランスを整える」と回答した人は全体の約2割(21.6%)に留まり、コロナ禍で食事をゆっくり取れる時間が増えたり料理をする機運が高まっていながら、食事面からの改善に意識を向けている人が多くないことがわかっている。
食事中の習慣では、75.5%もの人が食事に集中できていないことが判明している。その理由の一因である食事中の習慣として、「テレビの視聴」、「スマホ・その他デジタル機器の使用」、「ラジオの聴視」などが挙がり、20代に関しては3人に1人以上が食事中にスマホを使用していることがわかった。
解消しづらい在宅でのストレスも増える中、ご飯を食べる際は「栄養補給休憩」であることを意識し、最も健康に良い形で食事を心掛けることが重要とされている。
Q6 コロナ禍でお家時間が増えたことによって悩みを感じていますか?また、その理由は何ですか?(複数回答)
Q7 おうち時間に伴う悩みの対策として考えているものをすべて選んで下さい。(複数回答)
Q8 食事の際、集中した食事休憩をとっていますか?また、普段の食事習慣について当てはまるものを全て選んで下さい。(複数回答)
<食事に集中しよう!管理栄養士・北嶋さんのコメント>
ご飯を食べる際は、「ながら食べ」をせず、食事に集中することが大切です。もちろんマナーの部分もありますが、最近の研究で「ながら食べ」は、摂取カロリーが増えるという研究結果がでています。食事に集中していないことで食べすぎたり、よく噛まないために満足感が得られないことなどがその理由として考えられます。
また、よく噛んで食べることと栄養素の吸収率の関与も考えられています。唾液にも消化酵素が含まれているため、咀嚼をしてしっかり唾液が出ると、栄養素の分解・吸収がスムーズに行われるためです。食事に集中し、しっかりよく噛んで食べましょう。ひとりだとつい早食いになってしまう方は家族や友人と団欒しながら食べるのもオススメです。
管理栄養士・北嶋さんが「仕事」「健康」「勉強」をテーマにレシピを紹介
ノルウェーサバは簡単に調理できて栄養素もいっぱい。様々なライフスタイルに合わせて栄養補給ができる素材だ。
「忙しい日々でも体を労りたい」「簡単レシピで、サっと料理ができれば」…などの<仕事>軸、「身体の血の巡りを良くしたい」「肌や髪を大切にしたい」…などの<健康>軸、そして「脳を活性化させたい」「集中力を高めたい」…などの<勉強>軸。色々なシーンや目的に応じて、ノルウェーサバで栄養補給をしよう。
■レシピ1<仕事> 簡単レシピでも発酵食品×食物繊維で、脳も腸も活性化!
<塩サバときのこのキムチ炒め>
『塩サバときのこのキムチ炒め』は、きのこ(食物繊維)とキムチ(発酵食品)をかけ合わせたレシピ。「脳腸相関」という言葉がある通り、腸内環境を整えることは脳の活性化にもつながるため、発酵食品と食物繊維を組み合わせつつ、塩サバからはDHAをしっかり摂ることができる。塩サバときのこ数種、キムチをごま油で炒め、最後にポン酢を少々絡めるというシンプルなレシピでありながら、バランス良く栄養素がとれる。
<材料>*2人分
・塩サバ(ノルウェー産)1切れ(150~200g)
・しめじ 1/2袋
・まいたけ 1/2袋
・キムチ 80g
・ごま油 小さじ1
・ぽん酢しょうゆ 小さじ1
・青ねぎ(小口切り)適量
・白すりごま 適量
<作り方>
①塩サバは6等分に切る。しめじとまいたけは石づきをとってほぐす。
②フライパンにごま油を熱し、塩サバときのこを中火で炒める。
サバに焼き色がついたらキムチとぽん酢しょうゆを加え炒め合わせる。
③皿に盛り、青ねぎとすりごまを散らす。
■レシピ2<健康> EPA・リコピン・ビタミンEのかけ合わせでカラダの内側からキレイに!
<塩サバとアボカドのトマ味噌煮>
『塩サバとアボカドのトマ味噌煮』は、トマト(リコピン)とアボカド(ビタミンE)をかけ合わせたレシピ。和食にも合わせやすい味噌風味で、にんにくで香りを出したオリーブオイルで塩サバを焼き、トマト缶でアボカドと一緒にさっと煮る作り方だ。
塩サバのEPAと合わせて、抗酸化作用の強いリコピンやビタミンEを取るのと同時に、ビタミンEは血流を良くする働きもある。EPAで血液をサラサラに、また良質なタンパク質が豊富で弾力と潤いのある美しい肌や艶のある髪の維持を目指せる。
<材料>*2人分
・塩サバ(ノルウェー産)1切れ
・にんにく 1かけ
・玉ねぎ 1/4個
・パプリカ(黄)1/2個
・アボカド(少し固めのもの)1/2個
・オリーブオイル 小さじ2
・トマト缶 1/2缶
・水 1/2カップ
・味噌 小さじ1
・粉チーズ 適量
<作り方>
①塩サバは食べやすい大きさに切る。
にんにくはみじん切り、玉ねぎ、パプリカは乱切りにする。
②鍋にオリーブオイルとにんにくを熱し、香りが立ってきたら玉ねぎ、パプリカ、サバを炒める。
玉ねぎがしんなりしてきたらトマト缶を加えさっと炒め、水を加えて弱火で10分煮る。
③味噌をスープで溶いて加え、ときどき混ぜながら水気を飛ばして、
アボカドを一口大に切って加えざっくり混ぜ、器に盛り粉チーズをかける。
レシピ3<勉強> レシチンとカルシウムで脳も骨も強くしながら、集中力を高める!
<塩サバのカレーチーズピカタ>
『塩サバのカレーチーズピカタ』は、卵(レシチン)とチーズ(カルシウム)をかけ合わせたレシピ。塩サバにカレー粉と薄力粉をまぶし、卵とチーズを合わせた衣にくぐらせてさっと焼いて作る。カレー風味とチーズで子供うけも間違いナシで、お弁当にもぴったり。脳を活性化するレシチンや、塩サバの豊富なビタミンDの摂取に加え、骨を強化するカルシウムも同時に補給できる一品だ。
<材料>*2人分
・塩サバ(ノルウェー産)1切れ
・卵 1個
・薄力粉 適量
・カレー粉 小さじ1/2
・ピザ用チーズ 20g
・オリーブオイル 小さじ2
・ケチャップ 適量
[付け合わせ]
・フリルレタス、ミニトマト 適量
<作り方>
①塩サバは食べやすい大きさに切る。卵は溶いてピザチーズを混ぜておく。
②サバにカレー粉と薄力粉をまぶし、卵液にくぐらせる。
③フライパンにオリーブオイルを熱し、2を皮面から焼く。残ったチーズを上にのせ、両面こんがり焼く。
■管理栄養士・北嶋佳奈さん プロフィール
北嶋 佳奈 (きたじまかな)
管理栄養士、フードコーディネーター
株式会社 Sunny and 代表取締役
大学卒業後、飲食店勤務や料理家アシスタントを経験し独立。「こころもからだもよろこぶごはん」をテーマに美容・ダイエット・健康に関する料理本の出版、雑誌でのレシピ開発やコラム執筆、ラジオ・テレビ・イベントへの出演などで活動。オーダーメイド食事サポートサービスも展開中。近著に「遅夜ごはん 疲れていてもこれなら作れる」(宝島社)など。ホームページ:http://321and.com/
※ノルウェー水産物審議会調べ
<調査概要>
調査対象者:全国20~50代男女 計400名
調査期間:2020年9月5日~9月6日
調査方法:インターネット調査
出典元:ノルウェー水産物審議会
構成/こじへい