2020年10月23日、世界中に多くのユーザーがいるiPhoneシリーズの最新モデル「iPhone 12シリーズ」から、iPhone 12/12 Proが一足早く発売を開始、11月13日には、iPhone史上最大となる、6.7インチディスプレイを搭載した「iPhone 12 Pro Max」と、5G通信対応のスマートフォンとしては世界最小の「iPhone 12 mini」も発売となりました。
特にiPhone 12 miniを待っていたという人は多いのではないでしょうか。というのも、5G通信に対応した各メーカーのハイエンドモデルは、高速通信を活かした動画視聴などをより楽しむために、大画面ディスプレイを搭載することが多く、片手で操作できるサイズのハイエンドスマートフォンは数が少ないのも事実でしょう。
そこでiPhone 12 miniの詳細レビューをお届けしていきたいと思います。
iPhone 12 mini実機レビュー
早速、iPhone 12 miniを実際に使用してわかった操作性や使用感について紹介していきたいと思います。
なんといっても魅力は超コンパクトなサイズ感!
iPhone 12 miniを語るうえでまず欠かせないのは、やはりそのサイズ感です。ほとんどの人が、まずはそこに注目しているのではないでしょうか。
iPhone 12 miniのディスプレイサイズは5.4インチで、有機ELパネルを採用しています。公式HPで、「世界で最も小さく、薄く、軽い、5Gスマートフォン。」と紹介されている通り、かなりコンパクトです。
ディスプレイの周囲も比較的細く設計されており、本体サイズは高さ131.5×幅64.2×厚さ7.4㎜。質量もわずか133gとなっています。また、前面には「Ceramic Shield」という新しい素材が採用されており、耐落下性能はiPhone 11に比較すると4倍まで向上しているといいます。
左が同時発売のiPhone 12 Pro Max、右には500mlのペットボトルを置いてみました。中心のiPhone 12 miniの小ささがよくわかるかと思います。
様々なスマートフォンに触れてきた筆者ですが、正直この小ささには驚かされました。また、アップルは公表していませんが、動作時間の違いなどを見る限り、バッテリー容量以外のほとんどの性能がiPhone 12と同じと考えられるのも嬉しいポイントでしょう。
最上位モデルと同じチップ搭載で動作もサクサク
iPhone 12シリーズには、全て共通で「A14 Bionic」というチップが搭載されています。つまりiPhone 12 miniは、同じストレージ容量の128GBモデルで比較すると、iPhone 12 Pro Maxが11万7800円なのに対し、iPhone 12 miniが7万9800円(アップル公式HPの価格より)と4万円ほどの差がありながら、同等レベルの処理性能を持っているともいえるのです。
そのため、操作はかなり快適です。ネット閲覧や動画視聴はもちろん、3Dアニメーションを伴ったリズムゲームやFPSゲームなど、重い負荷のかかるゲームでも快適に動作しました。ゲームの動きに定評のあるiPhoneシリーズの、最新チップを搭載したモデルですから、当然といえばそうなのですが、このサイズでも快適に動くとなるとやはり嬉しいですね。
iPhone 12 miniのストレージは、64GB、128GB、256GBから選択できるようになっています。動画をたくさん保存したり、アプリをたくさんインストールして利用するという人は大きめの容量を搭載したモデルがおすすめです。
4K動画撮影にも対応したデュアルカメラ
背面カメラはiPhone 12と同じで、超広角(F値2.4、視野角120°)と広角(F値1.6)のデュアルカメラ構成となっています。デジタルズームは最大5倍で、ナイトモードやポートレート撮影、パノラマ撮影など、複数の撮影モードを搭載しています。
特に紹介したい撮影モードがポートレートモードで、即座に被写体を認識し、背景にかなり強いぼかしをかけてくれます。ハイキー照明や自然光、スタジオ照明など、照明のエフェクトを6種類から選べるようになっているので、ひと口にポートレート撮影といっても、その仕上がりはかなり幅広くなっているのも特徴的です。
ビデオ撮影も進化しています。ナイトモードでのタイムラプス撮影に対応するなど、ビデオ撮影でできる表現の幅が広がりました。また、iPhone 12シリーズは「Dolby Vision」というHDR動画規格に対応しています。
HDRビデオ撮影は最大30fps、さらに4Kビデオ撮影は最大60fpsまで可能。カメラ性能に関しては、トリプルレンズを搭載したiPhone 12 Pro/12 Pro Maxのほうが優れているのは事実ですが、iPhone 12 miniでも十分にきれいな写真・動画が撮影できました。一般的な使い方であれば、こちらで満足できるはずです。
以下は、iPhone 12 miniで撮影した写真です。
IP68等級の防沫・耐水・防塵性能。バッテリーの容量は?
耐水性能もiPhone 12と共通で、IP68等級となっています。これは、最大水深6メートルで最大30分間まで耐えられる性能となっているので、お風呂場での利用も可能といえるでしょう。もちろん、まったく故障しないというわけではないので、水回りでの取り扱いには注意しましょう。
バッテリーの容量は具体的に公表されていませんが、ビデオ再生が最大15時間、ビデオのストリーミング再生が最大10時間、オーディオ再生が最大50時間となっています。
1日持ち歩いて使用しましたが、バッテリー容量が極端に少ないという印象はありません。外出中にゲームを長時間プレイするなどせず、一般的な使い方をすれば、電池切れの心配はあまり必要ないでしょう。
また、iPhone 12シリーズから採用されている「MagSafe」も使用できます。本体背面に磁石が内蔵されており、対応するマグネット式の充電機で充電できるほか、マグネット式のアクセサリも使えます。アップル正規品の「MagSafe対応iPhoneレザーウォレット」はiPhone 12 miniにピッタリのサイズ感となっているので、同時に使用しても快適でした。
本体が薄く設計されているので、レザーウォレットを着用してもぶ厚くて持ちにくいといったことはありませんでした。
コンパクトスマートフォン好き待望のハイエンドスマートフォン
iPhone 12 miniは、名前の通りコンパクトサイズのスマートフォンでありながら、性能としてはほとんどiPhone 12と変わらないハイエンド仕様で、SNSや動画視聴、ゲームなども快適に行えます。
冒頭でも触れた通り、5G通信に対応したハイエンドモデルは、大画面ディスプレイを搭載したモデルが多いので、コンパクトで高性能なスマートフォンを待っていたという人も多いでしょう(実際筆者もその一人です)。片手での操作も快適な端末となっているので、ぜひ試してみてください。
iPhone 12 mini詳細スペック
OS:iOS 14
チップセット:A14 Bionic
ディスプレイ:5.4インチ有機EL、解像度2340×1080
本体サイズ:高さ131.5×幅64.2×厚さ7.4㎜
質量:133g
ストレージ:64GB/128GB/256GB
防沫性能、耐水性能、防塵性能: IEC規格60529にもとづくIP68等級(最大水深6メートルで最大30分間)
カメラ:デュアル12MPカメラシステム(超広角 F値2.4 視野角120°、広角 F値1.6)、2倍の光学ズームアウト、最大5倍のデジタルズーム、Dolby Vision対応HDRビデオ撮影(最大30fps)、4Kビデオ撮影(24fps、30fpsまたは60fps)
インカメラ(TrueDepthカメラ):12MPカメラ F値2.2、ナイトモード撮影対応、Dolby Vision対応HDRビデオ撮影(最大30fps)、4Kビデオ撮影(24fps、30fpsまたは60fps)
生体認証: TrueDepthカメラによる顔認識の有効化
電子決済:Apple Pay対応
バッテリー:非公表(ビデオ再生最大15時間、ビデオストリーミング再生最大10時間、オーディオ再生最大50時間)、最大15WのMagSafeワイヤレス充電、最大7.5WのQiワイヤレス充電
取材・文/佐藤文彦