小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

喘息治療に使われるステロイド薬で骨粗しょう症や脆弱性骨折のリスクが高まる可能性、英ノッティンガム大学研究

2020.11.26

喘息治療に使われるステロイド薬で骨が脆くなる?

喘息コントロールのためにステロイド薬を使用している患者は、骨粗鬆症や、わずかな外力で生じる脆弱性骨折のリスクの高いことが、英ノッティンガム大学のChristos Chalitsios氏らの研究で示唆された。詳細は、「Thorax」10月21日オンライン版に発表された。

喘息の治療に使われるステロイド薬には、気道の炎症を抑えるために広く使用されている吸入ステロイド薬や、コントロールが難しい喘息に対して処方されることの多い経口ステロイド薬がある。

経口ステロイド薬については、特に高用量での使用により、骨密度が低下する可能性のあることは以前から指摘されていた。

また、吸入ステロイド薬に関しても、骨密度低下を示唆するエビデンスが存在する。しかし、これらの治療薬が骨の健康に及ぼす影響については、いまだ一致した見解が得られていない。

Chalitsios氏らは、プライマリケアの縦断的データベースであるClinical Practice Research Datalink(CPRD)Goldと、これに関連付けたHospital Episode Statistics(HES;英国の病院の入院・外来・救急に関するデータベース)のデータを利用して、コホート内症例対照研究を実施。2004年4月1日~2017年12月31日の間に喘息と診断された18歳以上の成人6万9,074人を割り出した上で、骨粗鬆症、または脆弱性骨折の経験の有無について確認した。

そして、骨粗鬆症または脆弱性骨折の経験がある喘息患者1人に対して骨の疾患のない同性・同年齢の喘息患者を最大4人まで抽出し(対照群)、比較した。

骨粗鬆症の喘息患者は1,564人(対照群3,313人)、脆弱性骨折の経験がある喘息患者は2,131人(対照群4,421人)であった。

解析の結果、過去1年間の経口ステロイド薬の累積投与量と処方回数が多くなるほど、骨粗鬆症や脆弱性骨折のリスクが上昇することが明らかになった。

過去1年間で2~3回の経口ステロイド薬処方は、骨粗鬆症リスクの有意な上昇と関連していた。

リスクが最も高かったのは、同薬の処方回数が9回以上、累積投与量が2,500mgを超えた患者で、経口ステロイド薬を処方されなかった患者と比べて、骨粗鬆症リスクが4倍以上、脆弱性骨折リスクが約2倍高かった。

一方、吸入ステロイド薬の使用も骨粗鬆症や脆弱性骨折のリスク上昇に関連していたが、経口ステロイド薬ほどのリスク上昇は認められなかった。

吸入ステロイド薬を1年間に11回以上処方された患者では、同薬を処方されなかった患者と比べて骨粗鬆症リスクが60%、脆弱性骨折のリスクが31%高かった。

また、同薬の1年間の累積投与量が120mg以上の患者では、脆弱性骨折のリスクが20%上昇することも判明した。

ただし、今回の研究は観察研究であり、ステロイド薬と骨粗鬆症や脆弱性骨折の因果関係を証明するものではない。

その点を踏まえた上でChalitsios氏は、「喘息患者の気道の炎症をコントロールするためには吸入ステロイド薬が不可欠である。喘息患者は吸入ステロイド薬の使用を中止すべきではない」と強調。

その一方で、医師に対しては、「ステロイド薬を処方する場合、疾患コントロールに必要な最低限の用量を処方すべき」と注意を促している。

一方、米マウントサイナイNational Jewish Health Respiratory InstituteのLouis DePalo氏は、「ステロイド薬による骨への影響を抑えるために必要とされるビタミンDやカルシウムの正確な用量は不明だが、少なくとも患者の血液検査でビタミンDが欠乏していないかどうかは確認すべきだ」との見解を示している。

Chalitsios氏は、今回の研究の対象となった骨粗鬆症や脆弱性骨折が生じた喘息患者の多くが、過去1年間にビスホスホネート製剤を使用していなかったことを指摘。

骨密度の低下を抑える作用を有する同製剤を使用することも、一部の患者には有益かもしれないと話している。(HealthDay News 2020年10月22日)

Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://thorax.bmj.com/content/early/2020/10/05/thoraxjnl-2020-215664

Press Release
https://www.bmj.com/company/newsroom/steroid-inhalers-pills-for-asthma-linked-to-heightened-risk-of-brittle-bones-and-fractures/

構成/DIME編集部

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2024年4月16日(火) 発売

DIME最新号は「名探偵コナン」特集!進化を続ける人気作品の魅力、制作の舞台裏まで徹底取材!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。