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動物兵器「地雷犬」を発案した人々に起きた報い

2020.11.17

「地雷犬」を発案した人々に起きた報い

戦争は、人間たちが自分の都合で起こすものであるが、そのために無関係な多くの命も奪ってしまう。

科学が発展すると人間は火薬を満載した飛行機や、大砲を積んだ戦艦でドンパチをやりあうようになり、果ては原爆で土地を焦土にするようにもなった。

お察しのように、死ぬのは人間だけじゃない。巻き込まれた無関係な動物たちも、戦争の犠牲者なのである。

ここまで大局的な話をしなくても、もっと小さな視点。局地的な目線を持ってみたって、やっぱり昔から戦争に巻き込まれる動物はいるものだ。

特に、人間の古くからの友人である犬などは、その候補に選ばれやすい。

動物兵器として訓練された犬たち

軍事的な目的のために、特殊な訓練を受けた生き物のことを、動物兵器と呼ぶ。もっとも有名なのは軍馬だろう。

大昔から馬は、世界中で機動力を確保しつつ進軍するために活用されてきた。

また、イルカに訓練を施し、水中で敵軍が撒いた機雷を発見させるというプロジェクトも、かつては存在していた。

そして犬。

犬の場合は前線で兵士とともに行動することがよく知られているが、それ以外の目的として活用が検討されていた時期もある。

旧ソビエトでは第二次世界大戦中、ドイツとの戦闘の折に地雷犬としての使用を試みていた。

目的は、ドイツ軍戦車の破壊である。

そしてそのためには、犬の命など使い捨て。まさに犬死にを要求していたのであった。

地雷犬として訓練された犬。そしてその結果

地雷犬とはその名の通り、犬そのものを地雷として使うための動物兵器である。
対戦車犬とも呼ばれていた。

あらかじめ犬に対して、餌を投げたらそれを追いかけて食べるという訓練を施しておく。
そこまで練度が高くなくても実践できる訓練なので、逆を言えばそれだけ多くの犬が戦争のための消費対象となる。

そして戦場において、地雷犬は実際に消費されていた。
犬の身体に爆薬を巻き付け待機させておき、ドイツ軍の戦車を見つけたら、そちらの方向に餌を投げる。
すると犬は訓練通りに戦車近くに落ちた餌を食べるために突進するが、このときに起爆させ、犬ごと戦車を爆発させようというわけだ。

恐ろしい発想の兵器である。
一説にはこの方法で、ドイツ軍の戦車300輌が撃破されたとされる。

が、こういった悪魔のような兵器運用をしていれば、報いは受けるもの。
やがてドイツ軍が地雷犬対策として、迫ってくる犬を追い払うための火炎放射器を搭載した戦車を運用するようになる。
すると火炎に恐れをなした犬は自分の味方の方向に逃げ帰り、そのまま自爆するという事態も起きることとなった。

それ以前に誤爆で自軍に被害を出す地雷犬も出ていたため、地雷犬計画はやがて完全に凍結されることになったのである。

おわりに

とにかく、人間のパートナーである犬を利用するという地雷犬は、本当に残忍な兵器であった。こういったことを平気でやれるようになるなんて、つくづく戦争という行為は恐ろしい。

地雷犬はこれ以降、何度か紛争中の他国でも実用化に向けての訓練がなされていたという。

たとえばイラクでは、2007年頃にゲリラが地雷犬を使っていたという記録もある。

文/松本ミゾレ(PETomorrow編集部)

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