最近、甘いものが決して嫌いじゃなくなってきた。
で。ウチの近所に『喫茶M(仮名)』っていう昔ながらの喫茶店があるんですよ。
店頭に食品サンプルが飾られててさ。そこに鎮座しているリンゴやバナナがツンツン突き刺さったパフェが何か気になってた。
それで試しに入ってみた。平日の午後1時頃。
木目調の重厚なイスに座り、メニューを見れば……ちょっと待て。
「酒もあるじゃん!!」
アルコールは全部500円なんだけど、生ビールはもちろん、ジンライムなんてのもある!!
ジンライムといえば、チャンドラーの『長いお別れ』でもおなじみのカクテル『ギムレット』と、作り方が違うだけで内容は似たような、強めの酒ですよ。
午後1時なんでまさしく〝ジンライムには早すぎる〟かもしれんが、もう呑みたくてたまんない。
さらに、お目当てのパフェ系よりも、もっと豪華な『プリンローヤル』なんてのが、パフェより50円高い650円である。〝ロイヤル〟じゃなくて〝ローヤル〟とくるセンス!! ローヤルを肴にジンライムを呑む!
何たるローヤルチックな呑み方! しかし、注文には勇気いったね、昼の喫茶店だもん。いきなり〝ジンライム〟ってのも怪しい客と思われそうなんで、まずは、
「プリンローヤルください」
と言ってから、さも〝じゃあついでに〟的に、
「ジンライムも」
と付け加えたんすが、ジンライム以前に、60近いオヤジの「プリンローヤル」だけですでに十分怪しかったのか、ウエートレスのお嬢さん、マスクの下でちょっと、
「エッ!?」
って表情してたもん。「ジンライムも」の段に至っては、あきれ返ってたかもしれない。でも下を向いてジッと耐えながら、注文の品が来るのを待つ。
そして到着、ジンライム!
いわゆるコーディアルのライムジュースをジンに混ぜたと思われる薄緑色の液体にレモンスライスとチェリーののってる姿がすてき!
さらにプリンローヤル登場!
プリンに生クリームがニュルと盛られ、アイスクリームにリンゴ、バナナ、缶詰のミカンに桜桃、さらにはウエハース……ローヤルだなァ~。そんな甘いものをツマみ、ジンライムを呑む!
そうだ。ジンライムには小皿に入った柿の種も付いてたんだ!
クリーム舐めてはジンライム呑んで、柿の種をポリポリやって、ジンライムすすって、ミカンを食べる。甘→酒→辛→酒→甘……オレ、新しいことしてないか!?
ん~ジンライムには早すぎる……なんてことは全くないッ!
ジンライム呑んでから、結局『ウイスキーロック』を勇気振り絞って頼んでしまった。もはやウエートレスさんは無表情だ。思えばこの日、TOKIOの元メンバーが飲酒運転で逮捕されたニュースが朝から流れていた。
「アレが噂の依存症?」
そんな気持ちもあったかもしれない。しかし言っとく。オレは最近、休肝日のために週の半分は酒抜いてるんだ! だからこそウマイなぁ~昼からローヤル&酒!
さすがに3杯を頼む勇気はなく、2杯で店を出たが、そういう3杯は呑めない空気も体にいいじゃん。
最近は昼から食堂で呑むってのもポピュラーになってきちゃったし、これからは喫茶店で呑むってのが新しいかもしれない!
そうなってくると今度はローヤルなしの柿の種だけでも十分だなぁ~。『喫茶M』に依存しそうだ。
■ 新丸子の『喫茶M(仮名)』
オヤジナリティー……★★★
家計貢献度……………★☆☆
エルドラ度……………★☆☆
コロナ対策度…………★★★
文/カーツさとう
コラムニスト/プロドランカー。グルメ、旅、サブカル、サウナ、ネコ、釣りなど幅広いジャンルに精通しており、新聞、雑誌、ラジオなどで活躍中。