DIME MAGAZINE
■連載／阿部純子のトレンド探検隊
軟水で洗髪するとキューティクルを守ってツヤを保てる？
三菱ケミカル・クリンスイから、シャワーヘッドを交換するだけで髪のダメージを軽減する浄軟水に変える、サロン向けシャワーヘッド「WATERCOUTURE（ウォータークチュール）WS501」（オープン価格）が11月より販売開始した。
ウォータークチュールは2015年にスタートしたブランドで、サロン向け製品の人工炭酸泉装置「SODA SHOWER（WS101）」や、家庭向け製品の「軟水シャワー（WS201）」や「浄水シャワー（WS301）」販売してきたが、今回の「WS501」はサロン向けの取手のないシャワーヘッドのみの商品となっている。
専用シャワーヘッド内に軟水、または浄水カートリッジをセットするだけで、浄軟水または浄水に変わる仕組みは、先行する一般向け商品と同様で、カートリッジは共有のものが使える。※下記画像は家庭用のWS301
水道水に含まれる残留塩素は髪の毛を構成するタンパク質を壊してキューティクルを乱し、髪のパサつきの原因になるといわれる。また、水道水中のカルシウムイオンやマグネシウムイオンなどのミネラルは、髪や頭皮に残留してしまうことがあり、シャンプーやトリートメントなどの薬剤本来の効果を妨げる原因にもつながる。
水道水の硬度成分を除去して軟水に変えることで、どのような変化をもたらすのか。同社では、東京工科大学と美容サロン「uka」の協力のもと、「美容に対する浄軟水の有用性」について研究を行った。その結果、洗髪時に「水道水」と「浄軟水」を使用した場合では、毛髪への影響が異なることが明らかとなった。
○毛髪のツヤ・キメ
水道水と浄軟水に6時間暴露した毛髪の洗浄前後のツヤの数値を測定すると、水道水は洗浄前の数値が39だったのに対し、洗浄後は17に数値が減少。浄軟水は洗浄前ツヤ数値38 に対し、洗浄後も38と数値をキープする結果に。
模擬水道水と模擬浄軟水に毛髪を6時間暴露した毛髪表面を走査電子顕微鏡で撮影したところ、模擬浄軟水で洗浄した毛髪の表面（下記画像右）と比べ、模擬水道水の毛髪の表面（同左）はキューティクルが乱れていることが確認できる。軟水では水道水に比べるとキューティクルを守り、ツヤやキメが変わらないことがわかった。
WS501の浄水カートリッジは髪にダメージを与える残留塩素を除去するので、キューティクルが塩素で傷んでしまうのを防ぎながらシャワーができる。健康な髪（下記画像右）はキューティクルが整っており、軟水のシャワーをすることで、髪のパサつきを防止する。
○水の硬度が毛髪に与える影響
設定温度40度の硬度1500 ppm のお湯と、硬度0 ppmのお湯に毛髪を24 時間浸し、水中への溶出物を計測した結果、硬度0 ppmではタンパク質の溶出がほとんど検出されなかったのに対し、硬度1500 ppmの水中では10.9～32.0 mg /ml の溶出が認められた。
つまり、髪の毛を構成するタンパク質は、水道水では流すだけで溶け出してしまうが、硬度成分が低いほどタンパク質の溶出がないことが判明、水を変えることで髪を守ることがわかった。
浄軟水カートリッジは、残留塩素に加えてカルシウムイオンなどのミネラルも除去するため、シャンプー時の泡がきめ細かくなって泡立ちも増す。そのため髪の摩擦が軽減され、毛穴の奥の汚れまでしっかりと洗い落とせることが期待できる。下記画像右が軟水カートリッジを使用した水での泡立ち。左の水道水とは異なるきめ細やかな泡になっている。
【AJの読み】1回のシャンプーでしっとりとまとまり整髪剤要らず
今回はuka 東京ミッドタウン 六本木の店舗で軟水シャワーを体験させてもらった（uka 丸の内 KITTE 店、uka 恵比寿三越店、BeautyApothecary spa by uka にも導入されている）。施術を担当していただいたのは、ヘアスタイリスト／ヘッドスパ ケアリストの髙野海夕さん。
「使うシャンプーの量もいつもは2プッシュですが、浄軟水カートリッジだと1プッシュで済み、ふわふわとしたきめの細かい泡立ちになります。また、シャンプーした後はいつも手がかさついてしまいますが、軟水の場合はかさつきが少ないので手にも優しい感じです。ヘッドスパのお客様からもリラックスできる、気持ちよさを感じる水だとお声をいただきました」（髙野さん）
軟水カートリッジ1個あたりの軟水供給能力は100L。サロン、家庭用共に1回ごとに交換する。カートリッジの交換はとても簡単で、キャップを30°左に回すだけで脱着が可能。シャワーヘッドは0.3mm径の穴が296個空いた、目の細かい散水板で、穴の数は通常のシャワーヘッドの3倍ほどある。
水量はたっぷりと出ているが、ジャージャーと流れる感じではなく、ふんわりとやわらかく包みこまれるような感覚だ。
使用した薬剤は「ウカ ナイティナイト シャンプー＆トリートメント」。サンダルウッドを主体とした重厚感あるウッディーノートと天然ダマスクバラ花水を使用した、華やかでありながらリラックスできる香り。浄軟水を使用すると、1プッシュのシャンプー量で画像のような泡立ちの良さが。
頻繁にカラーリングするため髪自体が傷んでおり、乾燥するこれからの季節はさらにパサつくのが悩みなのだが、WS501は洗い上がりもさらさらで、触った感触もいつもとは全く違う。髪が広がってまとまらないため、必ず整髪料でスタイリングしていたが、何もつけなくてもまとまり、ツヤのある仕上がりに。
今までさまざまなシャンプーやトリートメントを試してきたが、完全に満足できるものには出合っていなかった。しかし軟水で洗髪すると1回の洗髪で仕上がりの違いが実感できたことに本当に驚いた。
水道水に含まれる残留塩素は髪だけでなく、肌にも悪影響を及ぼすので、サロンで施術を受けて軟水の良さが実感できれば、家庭でも導入できるのが「ウォータークチュール」ブランドの強み。ちなみに家庭向けの「WS301」は、同社の従来品と比較して約38％の節水という利点もある。
硬水地域への海外旅行から帰ると髪がバサバサになっていることがあるが、軟水と言われている日本の水道水でも、環境条件で水質は左右されるため地域によって水の硬度が異なる。肌トラブルやヘアケアで悩んでいるのなら「水を変える」という発想もありかもしれない。
文／阿部純子
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