世界中のたくましい男たちが、ただ栄誉のためだけに頂点をめざす、ラグビーワールドカップ。この世界大会が日本で行われている。連日の熱戦に、涙が出た!熱くなった!!もうラグビーに夢中。なんて良いスポーツなんだ、、、との声が日増しに大きくなっている。そんな中、「うちの子にもやらせたい!」という方も増加中。そんな方々のために3つの疑問にお答えします!
たくましい子どもに育てたかったら今すぐAKB!ラグビーやらせたいと思ったら知っておくべき3つのコト
■1:ラグビーは危なくないのか?
子どもにこそ経験させたい全身を使うトータルバランスに優れたスポーツ。『観るスポーツ』としてのラグビーは、迫力あるプレーの連続で、大変エキサイティングなスポーツ。一方で『するスポーツ』としてのラグビーは、危ない、怪我が多い、というイメージを持つ人も多いだろう。
格闘技の要素もあるスポーツなので、確かに怪我のリスクはある。しかし、小学生までのスポーツとしてはどうだろう。子どもには余計に危ない、と思われる方も多いだろうが、じつは子どもにとっては怪我のリスクは低く、むしろ理想的な運動特性を持っている、と言う意見もある。
じっさいに、ラグビースクールの中では、3歳からの受け入れをしているところもある。外科医であり、20年あまりラグビースクールの運営を続けている村上栄司さんに話を聞いた。
「ラグビーは、走る、ボールを投げる、蹴るという動作に、ぶつかったり、転んだりという要素も入ってくる。ルールが煩雑なようにみえて、じつは自由度の高いスポーツ。こんなスポーツは他にないでしょう」
なるほど、運動としては全身を使う多様性に富んだスポーツで、カラダの片側だけに負担がかかるというバランスの悪いことがない。
「成長期には、この運動の多様性が大切」と村上さんは言う。いくら運動として良いといっても、怪我のリスクが大きいと心配だ。この点もあまり心配はないと村上さんは言う。
「小学生は、まだあまり体格が大きくなく、カラダに柔軟性があるので、怪我をしにくいと言うことは言えます。20年以上ラグビースクールを指導していて、そう感じます。女子もプレーヤーも結構います。小学6年生の平均では身長・体重ともに女子の方が大きいです。ラグビーではチームのエースやキャプテンが女子であることもざらにあります」
中学生になると少し事情が変わってくる
ただし安全性について中学生になると少し事情が違ってきます。
「中学生になると、体格差も出てきます。誰にでも出来るスポーツではない、とスクールの保護者には話しているんです。トレーニングして、ある程度の筋肉をつけて、肉体的に安全にプレーできる準備をしていくことも必要になってきます。けれども、運動面とは別の価値がラグビーにはあります。精神性の高さといいますか、品位とか、仲間を作る、大事にする。また尊敬の念をもつ。そういったことを練習や試合を通じて学びます。得られることは大きいと思います」
編集部の見解としては、近所の空き地や公園で、疲れ切るまで走り回って遊ぶ機会の少なくなった現代の子どもにこそ、ラグビーは有効と考えている。現代社会は子どもにやや過保護な部分もあるので、たくましくも優しい人間に育てるにはラグビーはぴったりだと思うのだ。
危ない、汚くなる、バカになって遊べる。そんな時間を子どもたちには与えてあげたい。危ない「A」、汚くなる「K」、バカになれる「B」……頭文字をとってAKBが子どもにとっては大人になる前に経験しておくべき大切な時間になると信じている。
■2:子ども向けにどんな種類がある?
ラグビーにはいろいろな種類がある。一般的には1チーム15人のものが知られているが、オリンピックの正式種目となっている7人制(セブンズと呼ばれる)も知られるようになってきた。
この他に13人制や10人制なども盛んに行われている国がある。それらが横方向のカテゴリーとすれば縦方向のカテゴリーが年齢別。19歳以下(U19)やU15、U12(小学生)となると、安全面に配慮するなどルールにも若干の違いが出てくる。
たとえば小学生がプレーするとなると「ミニラグビー」がまず考えられる。
高学年では60m×40m以内のピッチで1チームが9人。20分以内のハーフが原則。スクラムは3人で組んで、押し合いはなし。中学年になるとピッチが少し小さくなり、60m×35m以内。1チーム7人。
低学年は40m×28m以内のピッチで1チーム5人というルールだ。スクールや学校にクラブがあるところもあり、独自のルールで展開しているところも。ミニラグビーはタックルがあるが、タックルがないラグビーも存在する。それがタグラグビー。
50m×30m以内のピッチに1チーム5人。7分ハーフで試合をする。相手とぶつかったり、タックルしたりができないのがミニラグビーとの大きな違い。タックルのかわりに腰につけた2本の「タグ」(ひも)をとってタックルの代わりとし、2011年から施行されている小学校の学習指導要綱の解説に例示されて以来、多くの学校で導入されている。
この他にも、3対3のストリートラグビーやビーチラグビー、聴覚に障がいを持つ方のデフラグビー、パラリンピックでメダルが期待される車椅子を使ったウイルチェアラグビーなど日本でも数種類のラグビーが楽しまれている。
■3:どこでできる?
そんなに気張らずに、まずはお父さんやお母さんとパスからはじめてもいい。原っぱや広い公園でボールの取り合いやおっかけっこをするだけでも楽しい経験になる。もし少し本格的にラグビーを学びたい、学ばせたいと思ったら、ラグビースクールの門を叩くのもいいだろう。
ミニラグビーは全国に400以上存在するラグビースクールで体験・プレーできる。興味のある方は、日本ラグビーフットボール協会の一覧からチェックしてみてほしい。
学校によってはタグラグビーに力をいれて、全国大会を目指して練習をしているところもある。ぜひ注目してみていただきたい。
ミニラグビーとタグラグビーに関する情報はこちらから!
日本ラグビーフットボール協会
登録ラグビースクール一覧
https://www.rugby-japan.jp/RugbyFamilyGuide/Rugby-school.html
タグラグビーオフィシャルウェブサイト
http://www.tagrugby-japan.jp
全国小学生タグラグビー選手権公式サイト
https://tag.rugby-japan.jp
※記事は『80min.』(日本ラグビー応援ムック 2018年小学館刊)より加筆訂正して再録しました
文/80min.編集部