『獺祭』という言葉を知っていますか?獺祭は日本酒の銘柄として知られていますが、もとの意味を理解している人は少ないかもしれません。言葉の意味や、日本酒の獺祭という名称の由来の解説に加え、獺祭ブランドの日本酒についても紹介します。
獺が行う「獺祭」とは?
獺祭は『だっさい』と読みます。まずはこの獺祭がどのようなことを意味するのか、解説しましょう。
捕まえた魚を並べる行為
獺祭の獺は『カワウソ』のことを指します。カワウソは水辺で生活し、カエルや魚などを食料とする動物です。
カワウソは、狩りをしたときの行動に特徴があります。魚を捕った後すぐに食べるのではなく、ねぐらや岩の上などに並べていくのです。次々に捕まえては、どんどん並べていくため、その場にたくさんの魚が並ぶことになります。
並べられた魚が先祖へのお供え物のように見えることから、この行為が『獺祭』と呼ばれるようになりました。なお、獺祭はだっさいという読み方の他、『うそまつり』『おそまつり』と読まれることもあります。
季語としても使われる
獺祭は春の季語として使われる言葉です。ただし、獺だけでは季語にはなりませんので注意しましょう。有名な俳句としては、松尾芭蕉が詠んだ『獺の祭見て来よ瀬田の奥』があります。これは、「(春になっていい季節なので)瀬田川の山奥まで行って、獺祭を見てくるように」と勧める俳句です。
また、正岡子規の『茶器どもを獺の祭の並べ方』という俳句では、茶器を獺祭のように並べる様子が詠まれています。
よく似た季語には『獺祭忌(だっさいき)』がありますが、これは正岡子規の命日である9月19日を指しており、秋の季語です。正岡子規は、身の回りに書籍や筆記具などを並べて置いていたことから、自身を『獺祭書屋主人』と称していたため、獺祭忌という言葉が生まれました。
日本酒「獺祭」は獺の習性と関係ある?
獺祭と聞くと、本来の意味よりも先に日本酒の銘柄を思い浮かべる人もいるかもしれません。では、日本酒の獺祭は、魚を並べるという獺の習性と何か関係があるのでしょうか?
そもそも日本酒の獺祭とは
獺祭は、山口県岩国市にある『旭酒造』で造られている日本酒です。酒米の王様ともいわれる、山田錦を原料に造られています。また、酒を絞る際に遠心分離の技術を活用するなど、新たなシステムを取り入れることで、日本酒のおいしさを追求しているのが特徴です。
すっきりとして飲みやすく、日本酒を飲み慣れていない人や、白ワイン好きの人などを中心に多くの人から支持を受けています。日本料理だけでなく、フレンチやイタリアンなどさまざまな料理に合うため、海外でも人気です。
獺祭と名付けられた由来
日本酒の獺祭は、旭酒造のある地名『獺越(おそごえ)』から一字を取って名付けられました。獺越という地名は、『川上村にいた古い獺が、子どもをだまして追越してきた場所であること』に由来したものとされています。
また、自らを獺祭書屋主人と称していた正岡子規は、明治の日本文学に革命を起こした人物でした。その正岡子規にあやかり、「伝統に甘んじることなく、変革と革新を持って酒造りをしていこう」という気持ちも込められています。
日本酒ブームをけん引した獺祭の種類
獺祭ブランドには、さまざまな種類があります。日本酒ブームの一役を担ってきたともいえる、獺祭の商品を紹介しましょう。
獺祭のスタンダード 純米大吟醸45
獺祭のスタンダードといえるのが、2019年に発売された『純米大吟醸45』です。以前は米を50%まで磨いた『獺祭50』がスタンダードでしたが、こちらはさらに、精米歩合を5%アップさせた商品となっています。
すっきりとした口当たりのよさと、繊細な香りを感じられる他、米の甘みも味わえるでしょう。獺祭ブランドの中では主張が少ない方ですが、フルーティーで飲みやすいのが特徴です。
商品名:獺祭 純米大吟醸45 1800ml
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有名なお酒 純米大吟醸 磨き二割三分
獺祭の代名詞ともいえるのが、『純米大吟醸 磨き二割三分』です。
山田錦を23%という極限まで磨いているのが特徴ですが、当初は精米歩合25%を目標に開発していました。しかし、さらに2%磨くことを決断し、長い時間をかけて丁寧に精米することで、他にはない味わいを実現している商品です。
リンゴや花を思わせる華やかな香りが印象的で、口に含むと甘みやうまみがふわっと広がります。爽やかな切れ味を持ちながら、長く続く余韻を楽しめるお酒です。
商品名:獺祭 純米大吟醸 磨き二割三分 「感謝」木箱入り 720ml
Amazon:商品ページ
実は日本酒以外も 獺祭焼酎
日本酒で有名な獺祭ブランドですが、スパークリング日本酒や日本酒仕込みの梅酒、甘酒などもあります。日本酒とともに人気が高いのが、獺祭焼酎です。
焼酎の分類は原料によって、米・麦・芋などがありますが、獺祭焼酎は、酒かすを原料とした『かす取り焼酎』に分類されます。原料が酒かすのため、あまり大量に製造することはできません。アルコール度数は39度と高めですが、獺祭独特の華やかな香りが感じられる焼酎です。
商品名:獺祭 焼酎 720ml
Amazon:商品ページ
構成/編集部