10月より開始された酒税法の段階的改正。第1段階の変更として、ビールの税金が下がり、新ジャンルの税金が上がるなどしているが、これによって売れ行きはどのように変化したのだろうか?
このほど、株式会社リサーチ・アンド・イノベーションは、自社運営する「レシートがお金にかわる家計簿アプリCODE(コード)」で登録された、大量のレシートと商品バーコード情報を基に、酒税法改正が施行された2020年10月1日前後の期間(9月17~23日、24~30日、10月1~7日の1週間ごと計3週間)で買い物データを比較し、調査した。
以下に調査結果の詳細を紹介していく。
購入本数の推移
10月1日の酒税法改正の施行により、ビール系飲料ではビールは税金が下がり、発泡酒は変わらず、新ジャンルは税金が上がり、また、日本酒などの清酒は税金が下がり、ワインなどの果実酒は税金が上がった。(350mlあたりの税金:ビール77円→70円、発泡酒46.99円、新ジャンル28円→37.8円、清酒42円→38.5円、果実酒28円→31.5円)
酒税改正施行日10月1日の2週間前9月17日から1週間ごとの購入本数の変化をまとめたデータが下記になる。(施行日前1週間の9月24~30日を基準の100%としている)
*6本パックや24本ケースも、それぞれ6本、24本でカウント。
*酒税改正2週間前:2020年9月17~23日、酒税改正前1週間:2020年9月24~30日、酒税改正後1週間:2020年10月1~7日
税金が下がるビールは値下がりを見越して直前の1週間のみ、買い控えが起きたと考えられる。酒税改正後は元の水準に近くに戻っているが、それ以上に伸びてはいないようだ。
税金が上がる新ジャンルは駆け込みの購入があり、改正後1週間は買い控えが続いているのが分かりやすくデータに出ている。税金が上がるワインなどの果実酒も、新ジャンルほどではないが、若干の駆け込み購入があり、改正後は買い控えているのがわかる。
日本酒である清酒は、税金は下がるものの、メーカーによっては価格に反映されないこともあるためか、目立った変化は無い結果となった。発泡酒は今回酒税に変化はないのだが、新ジャンルと勘違いした人がいるためか、若干の駆け込み購入とその後の買い控えが起きているように見える。
下記はCODEアプリ内で実際に記録された本数になる。
購入者数の推移と1人あたりの平均購入本数
下記は購入者数にフォーカスした推移グラフだ。
*酒税改正2週間前:2020年9月17~23日、酒税改正前1週間:2020年9月24~30日、酒税改正後1週間:2020年10月1~7日
*施行日前1週間の9月24~30日を基準の100%としている。
ビールと清酒は、本数のグラフと同じような推移を見せているが、新ジャンルと果実酒は、「酒税改正2週間前」と「酒税改正前1週間」の変化が前述本数のグラフより小さくほぼ変わらない。
それは「酒税改正前1週間」に1人あたり、より多くの本数を購入した結果になる。発泡酒に至っては、「酒税改正2週間前」より「酒税改正前1週間」のほうが購入者は減っているものの、一部の人が酒税改正対象と勘違いしたためか、本数は増える結果となっている。
下記は、1人あたりの平均購入本数の推移グラフ。新ジャンルの変化が顕著に出る結果となった。
パッケージ本数購入割合
ビール系飲料のパッケージ本数の割合を期間ごとに比較したグラフになる。
*酒税改正2週間前:2020年9月17~23日、酒税改正前1週間:2020年9月24~30日、酒税改正後1週間:2020年10月1~7日
値下がりするビールにはほぼ変化が見られなかった。値上がりする新ジャンルでは24本ケースが「酒税改正2週間前」から「酒税改正前1週間」で2倍になっており、「酒税改正後1週間」ではその前週と比較して一気に8分の1にまで減少している。発泡酒も、新ジャンルと混同した人による若干の影響を受けて24本ケース、6本パックの比率が上がっている。
性別・年代別購入本数、購入者数の推移
*酒税改正2週間前:2020年9月17~23日、酒税改正前1週間:2020年9月24~30日、酒税改正後1週間:2020年10月1~7日
*施行日前1週間の9月24~30日を基準の100%としている。
性別をみると、ビールでは男性が女性より10ポイント近く購入本数、購入者数ともに変化が大きく、新ジャンルでは、女性が男性より約10ポイント以上購入本数、購入者数ともに変化が大きい。
年代別にみると、どの年代も新ジャンルはほぼ一律して低下しており、清酒は20代、30代で変化が少なく、発泡酒は40代の変化が少ない。60代以上は他年代と比べて低下へのポイント振り幅が大きい結果となった。
出典元:株式会社リサーチ・アンド・イノベーション
https://r-n-i.jp/
構成/こじへい